あずき茶が持つ栄養と5つの効能|効果的な飲み方、簡単作り方、余ったあずき活用術
昔から和菓子や赤飯などで、日本人に愛されてきたあずき。お祝いごとや縁起物としてのみならず、近年はスーパーフードとしても注目されています。
そんなあずきの健康効果を手軽に摂取できるのが、あずき茶(小豆茶)です。あずき茶にはどんな栄養成分が含まれており、健康的なメリットがあるのでしょうか。効果的な飲み方や、家でできる簡単な作り方、余ったあずきの活用術もお届けします。
<このページの内容>
あずき茶とは「炒ったあずきを煮出したもの」
炒ったあずきを煮出したものがあずき茶です。
あずきを煮ると煮汁が紫を帯びた赤褐色に染まるのですが、この色素はあずきに豊富に含まれるポリフェノールの一部です。
ほかにも水溶性のビタミンやミネラル、食物繊維など、私たちのからだを健康に保つ成分が溶け出ています。
あずきを調理する過程では、この煮汁は捨てられてしまうことがほとんどです。健康効果の詰まったあずきエキスを捨ててしまうのは、もったいないですよね。
あずき茶はこのエキスをお茶として楽しみながら、栄養素を余すことなく摂れる健康ドリンクです。
あずき茶の栄養素と期待できる働き
あずき茶には、あずきから流れ出たさまざまな栄養素が含まれています。ここでは、主要な3つの成分をご紹介します。
サポニン
サポニンはあずきに含まれる代表的な成分です。強い抗酸化力を持ち、肥満予防や血流改善、利尿作用などの効果があります(※1)(※2)。
あずきの外皮に多く含まれており、あずきをゆでると泡が立つのはサポニンの影響です。渋みや苦みのもとになるため、普通の調理ではアクとして取り除かれてしまうことも多々あります。
あずき茶なら溶け出てしまったサポニンも余すことなく摂れるうえに、お茶の風味のひとつとしておいしく摂取できます。
ポリフェノール
あずき茶には以下の5種類をはじめとしてたくさんのポリフェノールが含まれています(※3)(※4)(※5)。
- カテキングルコシド
- カテキン
- ルチン
- プロシアニジン
- アントシアニン
ポリフェノールはサポニンと同じ抗酸化作用をもつほか、以下の3つの作用があります。
- 毛細血管を強くする
- コレステロールを下げる
- 血糖の上昇を抑える
高血圧や動脈硬化、肥満などの生活習慣病が気になる方は、積極的に摂りたい栄養素です。
カリウム
あずきにはカリウムも豊富に含まれています。カリウムは体内の余分な塩分を排出して、水分バランスを調節する働きがあります。このため、塩分の摂り過ぎや高血圧の予防、むくみ解消に効果的です。
カリウムは水に溶けやすいミネラルです。乾燥あずきにはカリウムが1,300mg含まれていますが(※6)、ゆでた後のあずきでは430mgと大きく減少してしまいます(※7)。
ゆでる過程で流れてしまったカリウムを効率よく摂取できるのも、あずき茶ならではのメリットです。
あずき茶に期待できる5つの効能
栄養価の高いあずき茶には、以下の5つの効能が期待できます。
ダイエット効果
期待できる効能の1つ目は、ダイエット効果です。
あずき茶に含まれるサポニンとポリフェノールには、脂質の吸収を抑え、血液中のコレステロールと中性脂肪を下げる働きがあります。
実際にあずき飲料を用いた研究では、あずき飲料を継続して飲むことで、飲用前と比較して血清中性脂肪値が低下したという研究結果もあります(※8)。
サポニンとカリウムには利尿作用があるので、むくみが気になる方にもおすすめです。
冷えの改善
あずき茶には血流をよくする働きと体内の熱産生を促す働きがあるので、冷えの改善に効果的です。
先述した通りサポニンには血流改善効果があり、体内の血液循環を促進します。手先や足先の細い血管も血液がスムーズに流れるようになり、つらい冷えの改善につながります。
さらに、あずき茶には糖や脂肪、タンパク質の代謝を助けるビタミンB群が豊富です。体内のエネルギー産生が促されるので、体温が上がりからだが温まりやすくなります。
老化の防止
あずき茶に豊富に含まれるサポニンとポリフェノールの注目すべき点は、強い抗酸化作用です。
私たちのからだは紫外線やストレスなどによって「酸化ストレス」が増加すると、体内で活性酸素が過剰発生し、体が酸化してしまいます。酸化が進むと細胞が傷つき、老化の進行や肌のシワ・シミの原因になります。
そこであずき茶の強い抗酸化作用がケアをしてくれるのです。
血流の改善
あずき茶のサポニンとポリフェノールの作用により、血流の改善効果が期待できます。
全身の血液の巡りがよくなると、疲労感の軽減や肩こり解消、生理痛や肌荒れの改善に役立ちます。
さらに、サポニンとポリフェノールには血中の余分な脂質を抑え、血液をサラサラにする作用もあります。健康診断でコレステロールや中性脂肪の値が高めに出てしまう方にもおすすめです。
腸内環境の改善
あずき茶には水溶性の食物繊維が含まれているので、腸内環境を整える働きがあります。水溶性の食物繊維は腸で善玉菌のエサになるので、悪玉菌を抑える活動が活発になります。
加えてプラスに働くのが、あずき茶のオリゴ糖です(※9)。
オリゴ糖は腸内でビフィズス菌などを活性化させるプレバイオティクスとしての効果があります。あずき茶を飲むと腸内フローラのバランスが整い、便秘や下痢の改善、肌荒れにも効果が期待できます。
あずき茶の効果的な飲み方。飲むタイミングは「食前~食事中」
あずき茶は食前や食事中に飲むと効果的です。脂肪や糖の吸収を抑える働きが期待できるので、油の多い料理を食べるときに相性がいいでしょう。
あずき茶の成分は水溶性で体外に排出されやすい傾向にあるため、水分補給としてこまめに飲むのもおすすめです。ノンカフェインで優しい味わいなので、大人から子供まで楽しめます。
自宅でできる、あずき茶の簡単な作り方
あずき茶の材料は2つだけです。基本的にあずきを炒って煮出すだけなので、とても簡単に作れます。
材料
- あずき100g
- 水1〜1.5L
作り方
1. あずきをボウルに入れ、水で優しく洗いましょう
2. あずきをザルにあけ、水を切ります。キッチンペーパーで水分を拭き取り、鍋に入れて弱めの中火で炒ります
3. 10分ほど炒って香りが立ってきたら、水を入れましょう。鍋が熱くなっているので、沸騰した水が跳ねないよう注意してください
4. 中火で加熱し、沸騰したら弱火にかけ30分ほど煮出しましょう
5. ザルでこして、あずき茶と豆を分けたら完成です
保存は冷蔵庫で2〜3日が目安です。
完成したあずき茶は、ほっと気持ちが落ち着くどこか懐かしい味わい。炒ることで香ばしい香りが立ち、口当たりもよくなります。ぜひお試しください。
残ったあずきは捨てないで! こんな活用方法がある
ここまであずき茶について解説してきましたが、残ったあずきにも栄養素がたくさん含まれています。捨てずにしっかり活用しましょう。
煮出したあずきには硬い粒も含まれているので、少しの間水に浸して柔らかくすると活用の幅が広がります。
ヨーグルトに混ぜる
残ったあずきをヨーグルトに混ぜると、ヘルシーなスイーツに大変身。
抽出後のあずきには、不溶性の食物繊維がたっぷり含まれています。不溶性食物繊維は水分を含むと膨張するので、腸の運動を活発にして便通を促します。
乳酸菌やビフィズス菌が豊富なヨーグルトと合わせて食べることで、腸内環境の改善や便秘、おなかの張りなどに効果的です。
お好みではちみつを加えるなど、甘さを足して楽しみましょう。
おかずにちょい足し
普段のおかずにちょい足しして、料理のアクセントにするのもおすすめです。
- サラダに混ぜてあずきサラダに
- ご飯を炊くときに入れてあずきご飯に
- カレーに混ぜてダールカレー(豆のカレー)に
- スープに入れて食べごたえのあるあずきスープに
- ミートソースに混ぜて栄養たっぷりパスタに
あずきは料理の味を邪魔しないので、さまざまな場面で活用できます。上手に取り入れて、健康効果を余すことなく堪能しましょう。
あずきは漢方食材としても昔から重宝されてきた
あずき茶の栄養素と効能、作り方を解説しました。古くから健康効果があるとされ、漢方としても活用されてきたあずき。あずき茶を毎日の習慣にして、健康的なライフスタイルを送りましょう。
<参考文献>
※1 公益財団法人長寿科学振興財団健康長寿ネット「サポニンと効果と摂取量」
※2 名古屋経済大学自然科学研究会会誌 第49 巻 第1・2号 堀尾 拓 之,越後 瞳「あずきの歴史と栄養」
※3 農研機構「小豆の抗酸化活性の変動要因と簡易評価技術」
※4 農研機構「アズキの栄養価」
※5 吉田久美ほか「赤小豆種皮に含まれ餡の紫色を担う新規色素、 カテキノピラノシアニジンの構造」
※6 食品成分データベース「豆類/あずき/全粒/乾 - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類」
※7 食品成分データベース「豆類/あずき/全粒/ゆで - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類」
※8 北海道立農業試験場集報第91号 相馬ちひろ,奥村理,加藤淳「あずき熱水抽出物が人体の生理調整機能に及ぼす影響」
※9 豆煮汁に含まれるオリゴ糖の構造特性及びプレバイオティック効果
監修・執筆者プロフィール
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
<Edit:編集部>