麦茶にカフェインは含まれている?管理栄養士「カフェインゼロです!」
暑くなってくると、出番が多くなる麦茶。コンビニやスーパーなどで購入される方も多いのではないでしょうか。また寒い季節もホット麦茶を愛飲している人もいます。
中には「麦茶にはカフェインが入っているのだろうか?」と疑問に思う方もいるでしょう。麦茶はノンカフェインなのでしょうか? 管理栄養士・小原水月さんに聞きました。
<このページの内容>
麦茶にカフェインは含まれない!
麦茶は、カフェインが含まれていない飲み物です。
緑茶や紅茶など、茶葉から作られるお茶には、苦み成分のひとつとしてカフェインが含まれています。一方、麦茶は大麦から作られるためカフェインを含んでいないのです。
そのため、カフェインが苦手な方や、カフェインの摂取を控えたほうがよい妊婦・授乳中の女性、小さな子どもも安心して飲めます。
さらに、カフェイン以外の苦み成分も含んでいないため、お茶の苦みが苦手な方にもおすすめの飲み物です。
カフェインは過剰摂取が「本当によくない」
カフェインには、交感神経を刺激する作用があり、過剰摂取で不安感や興奮感、神経の過敏などの症状が生じます。
また、心拍数の増加による動悸や、胃酸の分泌過多による胃痛や胃のもたれ、下痢などの消化器の不調にもつながります。(※1)
また、覚醒作用もあり、カフェインを多く含むコーヒーやお茶を夜に飲むと、睡眠の質を低下させ、不眠症の原因にもなる可能性があります。(※2)
日本では具体的な摂取上限量は示されていませんが、世界保健機関(WHO)や米国などでは1日のカフェイン摂取上限量は300〜400mgと示しているため、飲み過ぎには注意しましょう。(※3)
カフェインが含まれるお茶一覧
では、カフェインが含まれるお茶とその量を比較してみましょう。
ほうじ茶
ほうじ茶のカフェインの量は比較的少なく、100mlあたり約20mg。(※3)ほうじ茶は煎茶などを強火で焙焼するため、カフェインが少なくなるのです。
緑茶
緑茶のカフェイン含有量は煎茶や玉露などの種類によって異なります。
- 煎茶・・・約20mg
- 玉露・・・約160mg(※3)
茶葉のカフェインは新芽に多く含まれるため、新芽を多く使う玉露のほうがカフェインの含有量が高くなります。
玄米茶
玄米茶にも100gあたり10mg程度のカフェインが含まれています。
ウーロン茶
ウーロン茶は、100mlあたり約20mgのカフェインが含まれています。(※3)
麦茶を飲むと、どんなメリットがあるのか
カフェインを含まない麦茶ですが、飲むことでどのようなメリットが期待できるのでしょうか。
妊娠中にも飲むことができる
妊娠中にカフェインを過剰摂取すると、胎児に悪影響を与える可能性があり、低出生体重や流産、死産のリスクが高まるとされています。
カフェインの摂取量に関しては、WHOではコーヒーを1日3〜4杯までに抑えるよう勧告しています。
しかし、麦茶にはカフェインが含まれていないため、妊娠中でもカフェインによる心配をせずに飲める安心感があります。
美容効果が期待できる
麦茶には抗酸化作用を持つ「ポリフェノール」が含まれており、体内の酸化を防ぐことで、肌の老化予防や健康維持が期待できます。
活性酸素は細胞を傷つけ、シミやシワなどの原因となるため、ポリフェノールの抗酸化作用は美容面でも効果的です。(※4)
また、紫外線やストレスによる肌トラブルを防ぐ働きもあるため、日常的に飲むことで健康的な肌を保つサポートができるでしょう。
ダイエットをサポートする
麦茶は低カロリーであり、さらにむくみの改善や血流の向上に役立つ成分を含んでいます。
とくに、カリウムは利尿作用を持ち、体内の余分な水分や老廃物の排出を促進するため、水太りやむくみの解消に役立ちます。
また、麦茶の香ばしい香り成分であるアルキルピラジンには血流を改善する作用があり、血液循環をサポートします。
これにより代謝が活性化され、脂肪の燃焼が進みやすくなるため、ダイエット中の水分補給としても適しています。
麦茶の「この栄養」に注目!
続いて、麦茶に含まれる栄養成分の中から、とくに注目したい栄養について解説します。
ピラジン
ピラジンは麦茶の香り成分で、血流を改善する効果が期待されています。
ピーナッツや大麦などの食品に含まれるこの成分は、血管を拡張し、血液がスムーズに流れるようサポートします。
そのため、冷え性の改善や、全身への酸素や栄養を供給してくれます。
カリウム
麦茶にはカリウムも含まれており、体内の余分な水分やナトリウムを排出する働きがあります。むくみや水分代謝が気になる方にとって、麦茶は適した飲み物です。
ただし、腎機能が低下している方は、カリウムの排出がうまく行えない場合があるため、過剰摂取には注意が必要です。(※5)
カルシウム
麦茶には微量ながらカルシウムも含まれており、歯や骨の健康をサポートします。
カルシウムは骨密度を維持するために必要不可欠な栄養素であり、不足すると骨粗鬆症のリスクが高まるため、日常的に食事から摂取することが重要です。
麦茶だけでは1日の摂取量を賄うことは難しいため、他の食品と併用してバランスの良い栄養摂取を心がけましょう。(※6)
<参考文献>
※1 日本農芸化学会「カフェイン コーヒーと茶の機能性と新たな展望」
※2 NCNP病院「カフェインと睡眠」
※3 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
※4 公益財団法人長寿科学振興財団「抗酸化による老化防止の効果」
※5 公益財団法人長寿科学振興財団「カリウムの働きと1日の摂取量」
※6 農林水産省「大切な栄養素カルシウム」
監修・執筆者プロフィール
あんしん漢方 管理栄養士
小原水月
管理栄養士・健康食育シニアマスター。社員食堂で300以上の料理を修得、ダイエット合宿所・特定保健検診の業務に携わり600人以上の食事と生活習慣改善を個別サポート。自身の出産後の体調不良から食事と漢方で体調改善/増進の経験を生かし、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。「心も体も食べたものだけで作られる」をモットーに簡単で時間もお金もかけずに元気になれるレシピを発信中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。
<Edit:編集部>