ウェルネスフード
2023年11月16日

カフェインは筋トレやダイエット効果を高めるのか。1日の摂取量と中毒症状を防ぐ飲み方、コーヒー豆知識[管理栄養士監修] (1/4)

朝の目覚めのコーヒー、仕事途中のティーブレイク、肉体的な疲れを感じたときの栄養ドリンク……。そこに共通するのは「カフェイン(caffeine)」です。嗜好品から医薬品まで幅広く使われるとても身近な存在ですが、その“正体”はご存知ですか?

「カフェインの効能って眠気覚ましだけじゃないの?」
「カフェインって健康にいいの? 副作用とか中毒性が気になる」

そんな疑問にお答えするため、カフェインの効能やメリットを徹底解説。気になる運動への影響や上手な摂取方法から、ノンカフェイン(デカフェ)、コーヒー豆の歴史まで、管理栄養士の深野祐子さんにアドバイスをいただきます。

カフェインとは。その効能を解説

カフェインは有機化合物の一種です。たんぱく質やビタミンのような栄養素ではありませんが、以下のような作用を持っています。

●覚醒作用・利尿作用

カフェインは脳内のアデノシン受容体に拮抗するため、適量を摂取することで覚醒作用、利尿作用などが期待できます。

●解熱鎮痛作用(血管拡張作用)

痛み止めの医薬品にも使用されています。たとえば、血管収縮作用があるため、血管の拡張によって引き起こされる頭痛に効果があります。

●興奮作用

交感神経を刺激することで食欲を抑える作用があるともいわれます。

●脂肪燃焼作用

脂肪細胞中のホルモン感受性リパーゼ(脂肪分解酵素)を活性化する作用があり、脂肪の分解促進を促すといわれています。

カフェインは筋トレや脂肪燃焼に有効なのか?

ここからが本題です。カフェインはトレーニング中のカラダにどのような影響を与えるのでしょうか?

カフェインは、おもに持久的な運動能力を向上させます。脳の興奮水準を高め、長時間運動時の疲労を軽減、パフォーマンスアップにひと役買ってくれます。また、運動中の脂肪利用を促進し、糖質(グリコーゲン)の枯渇を予防し、運動持続時間を延長することも知られています。

カフェインを摂取するなら運動前がおすすめです。前段でふれたように、カフェインが脂肪分解酵素を活性化することによって体脂肪の分解や代謝がより促進され、高い脂肪燃焼効果が期待できるからです。

個人差はありますが、摂取・吸収されてから30分~2時間でその効果が現れます。半減期は約4時間といわれていますが、こちらも人によって異なり、2~8時間の幅があります。

これもたくさん摂ればいいわけではなく、「運動開始60分程度前に、3~6mg/体重をカプセルなどで摂取」するのが最適で、これ以上摂取量を増やしてもさらなる効果は期待できないとされます(注2)。

(注2:『スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる』寺田新:著 東京大学出版会 234Pより)

そこまで厳密でなくとも、開始前の1杯のコーヒーが、体脂肪減少のための有酸素運動(ダイエットのためのウォーキングやジョギング)などの脂肪燃焼効果を高め、フルマラソンなど持久系のスポーツではパフォーマンスアップに役立ってくれるでしょう。

ちなみに、興奮作用があるカフェインは、かつてドーピングの対象になったことがあります。2004年以降、世界アンチドーピング機構による禁止薬物リストから外されていますが、今も監視プログラムに指定されています(禁止物質ではないが、ドーピングに使用される危険性がある物質として放置せずに監視対象とするもの)。

次:カフェインが含まれる食品と1日の摂取量の目安

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