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カフェインは筋トレ効果を高めるのか。1日の摂取量と中毒症状を防ぐ飲み方、コーヒー豆知識[管理栄養士監修] (1/3)

朝の目覚めのコーヒー、仕事途中のティーブレイク、肉体的な疲れを感じたときの栄養ドリンク……。そこに共通するのは「カフェイン(caffeine)」です。嗜好品から医薬品まで幅広く使われるとても身近な存在ですが、その“正体”はご存知ですか?

「カフェインの効能って眠気覚ましだけじゃないの?」
「カフェインってカラダにいいの?」

そんな疑問にお答えするため、カフェインの効能やメリットを徹底解説。気になる運動への影響や上手な摂取方法から、ノンカフェイン(デカフェ)、コーヒー豆の歴史まで、管理栄養士の深野祐子さんにアドバイスをいただきます。

カフェインとは。その効能を解説

カフェインは有機化合物の一種です。たんぱく質やビタミンのような栄養素ではありませんが、以下のような作用を持っています。

●覚醒作用・利尿作用

カフェインは脳内のアデノシン受容体に拮抗するため、適量を摂取することで覚醒作用、利尿作用などが期待できます。

●解熱鎮痛作用(血管拡張作用)

痛み止めの医薬品にも使用されています。たとえば、血管収縮作用があるため、血管の拡張によって引き起こされる頭痛に効果があります。

●興奮作用

交感神経を刺激することで食欲を抑える作用があるともいわれます。

●脂肪燃焼作用

脂肪細胞中のホルモン感受性リパーゼ(脂肪分解酵素)を活性化する作用があり、脂肪の分解促進を促すといわれています。

カフェインが含まれる食品とその含有量をチェック

カフェインはコーヒー豆、茶葉、カカオ豆、ガラナなどに天然に含まれている食品成分のひとつです。多く含まれる食品の代表は、やはりコーヒーとお茶でしょう。

そのほかにもコーラ、チョコレート、眠気覚ましのチューイングガムなどの食べ物が挙げられます。

●食品中のカフェイン濃度

(2019年における日本食品標準成分表2015年度版(七訂)のデータ更新 より作成)

エナジードリンク類は缶や瓶で購入することが多いと思いますが、成分表示は100mlあたりで表記されていることが多いので、1本(1瓶)あたりどれくらいの量が含まれているのかを確認しておく必要があります。

一覧を見ると玉露のカフェイン濃度の高さが際立ちます。しかし、実際に淹れるときに使用する茶葉は1人分ティースプーン1杯(2g)、お湯の量は50ml程度ですので、1杯あたりのカフェインは表の約1/5ほどになります。

高級な玉露は煎茶のようにガブガブと飲むものではないので、問題ないと思われます。

コーラやチョコレートにもカフェインは含まれている

ちなみに「コカ・コーラ」に含まれるカフェイン量は10mg/100mlで、レギュラーコーヒー(浸出液)の約1/6ほど(ただし飲む量によってはコーヒーと同等程度かそれ以上になる場合もあります)。

また、チョコレートは含まれるカカオマスの量によって異なり、ミルクチョコレート50g(板チョコ1枚ぐらい)で15mgのカフェインがあり、カカオマスの多いハイカカオチョコレートではカフェインの量も増えます。

関連記事:高カカオ(ハイカカオ)チョコレートの効果と食べ方。健康やダイエットにいいってホント? [栄養士監修]

カフェインの1日の摂取量の目安は?

カフェインの摂取に関しては、国際機関などにおいて注意喚起がなされています。以下、詳細をまとめたリストです。

●海外の専門機関による主なリスク評価

(食品安全委員会ファクトシートより転載)

※注1 乳児に健康リスクは生じない 
※注2 1回あたり摂取量約3mg/㎏体重以下(例:体重70㎏の成人で約200mg以下)であれば急性毒性の懸念は生じない

管理栄養士の深野裕子さんはこう注意します。

「カフェインの感受性には個人差が大きく、健康におよぼす量を正確に評価することができないことが理由となり、日本では1日の摂取許容量の設定がなされていません。とはいえ上限がないわけではなく、1日のカフェイン摂取量は300mg/日(5mg/・体重)にとどめるべきとする報告(注1)もあるので、この辺を目安にしておくといいでしょう」

(注1:『日常生活の中におけるカフェイン摂取 -作用機序と安全性評価- 』栗原 久 東京福祉大学・大学院紀要 第6巻 第2号 (Bulletin of Tokyo University and Graduate School of Social Welfare) pp109-125 (2016,3))

摂りすぎに注意!カフェイン中毒の症状

眠気覚ましなどの効果があるカフェインですが、その感受性は個人差が大きく、人によっては気分が悪くなることがあります。

カフェインに弱い人でなくても、過剰に摂取すると中神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気などの健康被害をもたらす場合があるので注意が必要です。

しかも、日常的に多くのカフェインを摂っていると感受性が次第に低下し、カフェインを摂取しないと眠気や疲労感、集中できない状態になってしまうこともあります。すると、摂取量がどんどん増え、最後には中毒症状を引き起こす量まで増加。これがカフェイン依存症です。

カフェインは筋トレや脂肪燃焼に有効なのか?

ここからが本題です。カフェインはトレーニング中のカラダにどのような影響を与えるのでしょうか?

カフェインは、おもに持久的な運動能力を向上させます。脳の興奮水準を高め、長時間運動時の疲労を軽減、パフォーマンスアップにひと役買ってくれます。また、運動中の脂肪利用を促進し、糖質(グリコーゲン)の枯渇を予防し、運動持続時間を延長することも知られています。

カフェインを摂取するなら運動前がおすすめです。前段でふれたように、カフェインが脂肪分解酵素を活性化することによって体脂肪の分解や代謝がより促進され、高い脂肪燃焼効果が期待できるからです。

個人差はありますが、摂取・吸収されてから30分~2時間でその効果が現れます。半減期は約4時間といわれていますが、こちらも人によって異なり、2~8時間の幅があります。

これもたくさん摂ればいいわけではなく、「運動開始60分程度前に、3~6mg/体重をカプセルなどで摂取」するのが最適で、これ以上摂取量を増やしてもさらなる効果は期待できないとされます(注2)。

(注2:『スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる』寺田新:著 東京大学出版会 234Pより)

そこまで厳密でなくとも、開始前の1杯のコーヒーが、体脂肪減少のための有酸素運動(ダイエットのためのウォーキングやジョギング)などの脂肪燃焼効果を高め、フルマラソンなど持久系のスポーツではパフォーマンスアップに役立ってくれるでしょう。

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ちなみに、興奮作用があるカフェインは、かつてドーピングの対象になったことがあります。2004年以降、世界アンチドーピング機構による禁止薬物リストから外されていますが、今も監視プログラムに指定されています(禁止物質ではないが、ドーピングに使用される危険性がある物質として放置せずに監視対象とするもの)。

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