ウェルネスフード
2023年5月15日

運動前にカフェインを飲むと、脂肪燃焼が高まるってホント?

 有機化合物の一種であるカフェイン。たんぱく質やビタミンのような栄養素ではありませんが、覚醒作用・利尿作用、血管拡張作用、興奮作用のほか、脂肪細胞中のホルモン感受性リパーゼ(脂肪分解酵素)を活性化する作用があり、脂肪の分解促進を促すといわれています。

 ところでカフェインは、筋トレやランニングといったトレーニング中のカラダにどのような影響を与えるのでしょうか? 管理栄養士の深野祐子さんにアドバイスをいただきます。

カフェインはトレーニングに有効なのか

持久力を高め、長時間運動を可能にする

 カフェインは、おもに持久的な運動能力を向上させます。脳の興奮水準を高め、長時間運動時の疲労を軽減、パフォーマンスアップにひと役買ってくれます。

 また、運動中の脂肪利用を促進し、糖質(グリコーゲン)の枯渇を予防し、運動持続時間を延長することも知られています。

筋力増強の直接的な影響はない

カフェインには筋力増強効果があるという研究結果については、飲むことで筋力が高まるのではなく、疲労の軽減により質の高いトレーニングを継続でき、結果的に筋力が高まるからと考えられています。

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脂肪燃焼を高める効果が期待できる

さらにカフェインには、脂肪燃焼を高める効果もあるとされています。体脂肪を分解する酵素を活性化し、体脂肪の分解が促進されるという説、あるいは疲労の軽減によって長時間運動を続けられるからという説があります。しかしまだ詳しく解明されていない点も多く、これからも研究が続けられることでしょう。

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コーヒー豆

カフェインを摂るタイミングと量

運動の60分ほど前に飲むとよい

 カフェインを摂取するなら運動前がおすすめです。前段でふれたように、カフェインが脂肪分解酵素を活性化することによって体脂肪の分解や代謝がより促進され、高い脂肪燃焼効果が期待できるからです。

 個人差はありますが、摂取・吸収されてから30分~2時間でその効果が現れます。半減期は約4時間といわれていますが、こちらも人によって異なり、2~8時間の幅があります。

量は3~6mg/体重ほど

 これもたくさん摂ればいいわけではなく、「運動開始60分程度前に、3~6mg/体重をカプセルなどで摂取」するのが最適で、これ以上摂取量を増やしてもさらなる効果は期待できないとされます(注2)。

(注2:『スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる』寺田新:著 東京大学出版会 234Pより)

[監修者プロフィール]
深野祐子(ふかの・ゆうこ)
管理栄養士・ジョギングインストラクター。Japanマラソンクラブでインストラクター兼フードアドバイザーとして市民ランナーに向け走り方の指導や食事の指導を行う。
【Japanマラソンクラブ公式サイト】https://www.jmcrun.com/

※本記事はMELOSで公開された記事「カフェインの正体。効果的な摂り方、1日の摂取目安量、摂りすぎの影響、筋トレとの関係を解説[管理栄養士監修]」を再編集したものです。

<Edit:編集部/Text:渡辺幸雄/Edit:京澤洋子(アート・サプライ)>