ヘルス&メンタル
2024年9月24日

太りたい人のための食事&トレーニングを、筋肉博士・山本義徳先生に聞く!

食べても太れない、ガリガリ体型に悩む男性向けに、見た目を普通体型に近づけるための食事と筋トレを、筋肉博士・山本義徳先生に教えてもらいました。

ボディビルダーの世界大会で優勝した経験を持ち、数多くの有名アスリートを指導した経験もある山本先生は、VALXのYouTubeチャンネル『VALX 山本義徳 筋トレ大学』でさまざまな情報を発信しています。

──食べても太れない人に多い原因は何でしょうか?

山本先生:あまり太らない人というのは、すごく活動的な日常生活を送っています。階段を使う、立っている時間や歩いている時間が長いなど。こういった人はあまり太れないし、太らないですね。

そういう人が太るためには、できるだけぐうたらした生活に変える(笑)エスカレーターやエレベーターを使ったり、寝ている時間を増やしたり、トレーニングの時間も短くし、頻度も空ける。そのようにして“消費カロリーを減らす”ことが一番大事になってきます。

逆に痩せられない人というのは、それをやってるんですね。痩せられない人は結構ぐうたらした日常生活になっている。それを変えるだけで痩せられるようになります。

──食べる量が少ないのが一番の原因なのかと思っていました。

山本先生:むしろ食べる量より日常生活のほうが大事ですね。太れない人は無理して食べると逆に食べられなくなっちゃう。胃腸を壊して、結局、摂取カロリーが少なくなるということもありますから、頑張って食べることよりは、消費カロリーを減らすことが大事です。

あと、摂取カロリーを増やすという点では、胃腸に負担のないものを選ぶことです。私のおすすめは『マッスルシェイク』です。

冷凍バナナ、はちみつ、アイスクリーム、プロテイン、100%ジュースをミキサーにかけて飲むと、カロリー・炭水化物・タンパク質を一緒にとることができますので、それを一日二回ぐらい食後に飲む。

そういうドリンクだと、胃腸への負担も少なく、簡単に摂取カロリーを増やすことができます。

──健康的に太りたいと考える人は、「摂取カロリーを増やす」と「消費カロリーを減らす」、どちらに力を入れるべきでしょうか?

山本先生:やはり「消費カロリーを減らす」ほうですね。筋肉を増やしたいと思ってたくさん筋トレをしちゃうのが良くないですね。

むしろ、これだけでいいの? みたいな、1回15~30分のトレーニングを週3ぐらいで大丈夫です。太れない人はそれくらいでも筋肉は増えますので。

そして体を休める、食事をしっかりとるというだけで、体重は増えてくると思います。

──トレーニングは自重で大丈夫でしょうか。ウエイトやマシントレーニングのほうがよいでしょうか。

山本先生:太れないということは体重が軽く、自重トレーニングだと簡単にできてしまうのではないかと思われますので、そのような方はダンベルなどのウエイトを扱うのがよいでしょう。

普通だと10回×3セットとかですが、太れない人は5回×3セットと少し重くして、回数を減らす。そのほうが消費カロリーも少なくなりますし、筋肉も増えやすいです。

──健康的に太るための食事方法として、どのようにして食べるのがよいでしょうか。お相撲さんのように一気にたくさん食べるなど。

山本先生:まず、小刻みに食べるのがいいですね。そのほうが胃腸の負担が少ないためです。あと、食べられない人は、胃があまり膨らまない傾向にあります。

大食いチャンピオンや力士のように、いっぱい食べる練習をして胃を広げる練習をすると食べられるようになるという手もあるにはありますが、普通の人が真似するとお腹を壊すだけになっちゃいます。なので、小分けにして何度も食べていくと、胃腸への負担も少なく、トータルカロリーも増やすことができます。

先ほど話したマッスルシェイクを食後に飲むというのもいいですし、普通に三食いただいて、間食にマッスルシェイクというのもいいと思います。

──どのようなものを食べるのがおすすめですか?

山本先生:消化の早いものです。普通のご飯よりも、雑炊とかおじやのほうが、いっぱい食べることができます。あとスープですね。液体状のほうがすぐ消化されますので、そうしたものを食事メニューに入れていく。

あとは、栄養の吸収を良くするために、発酵食品を多めに食べたほうがいいですね。腸内細菌の善玉菌が多くなると吸収も良くなってきます。善玉菌を増やすような発酵食品、たとえば納豆やみそ汁、キムチなどを多めに食べるといいですね。

──食欲が湧かないとき、おすすめの食べ物はありますか?

山本先生:そういうときはですね、暑い国の食事が参考になります。タイやメキシコなどの暑い国では、食欲を増やすために辛いものを多めに食べるんですね。ですので、唐辛子系の辛いものを食事に多めにとり入れると、食欲が自然と増してくるでしょう。

辛いものが苦手、お腹を壊してしまう場合は、胃酸を増やすことが大事です。胃酸を増やすときに大事なのは塩分です。塩分をとらないと胃酸が作られません。夏は食欲が減ってしまいがちなのは、水分をいっぱいとって体内の相対的な塩分が少なくなり、胃酸があまり作られなくなって食欲が減るというのも要因です。

ということで、胃酸を増やすために塩分を多めにとる。ちょっと多めにとったとしても、健康な人であれば悪影響はありませんので、お味噌汁を少し多めに飲むなどはよい方法です。

あとは、脂肪も少し多めにとると、胃酸が出てきて食欲が湧いてくると思います。

──食べてもすぐにお腹を下してしまう人には、どんな対処法があるでしょうか。

山本先生:先ほど話した「小分けにして食べる」ということが一番大事ですが、すぐにお腹を壊してしまう人は、腸の状態が良くないと考えられます。そのような状態だと栄養がうまく吸収されませんので、発酵食品とかで善玉菌を増やすということと、あとはよく嚙むことがおすすめです。

しっかりと噛んで、口の中でアミラーゼが出て糖質が分解されないと、腸でうまく分解されないので、きちんと噛んで食べるということも大事になります。

──ガリガリ体型の人が普通体型になりたい場合、率先してどこを鍛えるべきでしょうか。

山本先生:パッと見て体が大きいと感じさせる部位は「肩」だと思います。胸や背中、腕なども大きいですが、上半身で一番大きい筋肉は肩です。そのため、肩の筋肉を大きくしてみるといいと思います。肩幅も広くなりますし。

あと、自分だとなかなか分からないんですけれども、「背中」の筋肉もかなり大事です。肩が第一優先で、第二優先は背中ではないかなと思います。

初心者におすすめの肩トレは「ダンベルショルダープレス」と「シーテッドサイドレイズ」、そして「シーテッドリアレイズ」です。

(左)スミスマシンショルダープレス、(右)シーテッドサイドレイズ

回答者プロフィール

山本義徳(やまもと・よしのり)

静岡県出身の日本のボディビルダー、トレーニング指導者。メジャーリーガーや総合格闘家などをはじめ、多くのクライアントを指導している。サプリメントにも精通しており、サプリメント博士の異名を持つ。2019年4月に開設したYouTubeチャンネル『山本義徳 筋トレ大学』は登録者数72万人を超える。一般社団法人 パーソナルトレーナー協会理事。

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

【You Tube】
山本義徳先生の知識と経験に基づいたトレーニング方法や、プロテインやサプリメントの情報を科学的根拠(エビデンス)に基づいて、YouTube動画を随時更新しています。
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<Edit & Photo:編集部>