眠れない、夜中目が覚める…“秋の睡眠不調”は「何不足」が原因? (1/2)
夏から秋への季節の変わり目で不調を感じる人は半数以上。6割が例年より不調を感じており、眠れない、中途覚醒、疲れやすい、気分の落ち込みなどさまざまな不調が出ているようです(日光浴ナビゲートデバイス「LNES」提供日本ゼオン株式会社調べ)。
これらの理由と解消法について、睡眠負債の専門家・白川修一郎先生と、ビタミンDの専門家・斎藤糧三先生による見解を紹介します。
秋の不調の原因は「夏の暑さの疲れ」と「寒暖差疲労」
睡眠負債の専門家である白川修一郎先生によると、秋の体調不良、いわゆる秋バテは、夏の暑さによる疲れの蓄積と、寒暖差による自律神経疲労が関係しています。
「夏場のクーラーによる室内・室外の寒暖差や、気温・気圧の変化により自律神経が乱れたまま秋を迎えて、一気に夏の疲れが出ることで起こります。これにより、結果的に睡眠の質の低下を引き起こしている可能性があります」(白川修一郎先生)
夏に蓄積した自律神経の疲労をひきずっている
夏から秋にかけて日長時間が短くなっていきます。生体リズムが、軽い時差ボケ様の状態になりやすく、気温や気圧の変化が起きやすい時期です。
軽い時差ぼけ様状態で気温や気圧の変化にさらされると、自律神経が不調になりやすく、さらに夏の暑熱にさらされて蓄積した自律神経の疲労をひきずってしまうことで、心身の不調を感じやすくなるのでしょう。
◆自律神経のバランスが崩れ、「睡眠の質の低下」が続いている
猛暑日が多い年は、涼しくなっても夏の暑さによる自律神経の負債が解消できていないことがあります。
交感神経がしっかりと休息モードに入らないと、質の良い睡眠は保証されません。交感神経と副交感神経のバランスが乱れたままだと、交感神経が夜に休息モードに入りにくいことが知られています。
交感神経と副交感神経のバランスを調整し、交感神経が夜に休息モードに入りやすくするには、生体リズムを整えることが、まず第一です。
◆睡眠負債が蓄積すると、気分が落ち込みやすくなる傾向も
脳や体の疲労の回復には、なんと言っても良質で適切な時間の睡眠が効果的です。
睡眠不足が続く、睡眠の質が悪い状態が続くと「睡眠負債」が蓄積します。睡眠負債が蓄積すると、気分が落ち込みやすくなることが分かっています。
夏から秋、秋から冬へと日照時間は段々と減っていきます。太陽光を浴びる時間が少なくなると気分が落ち込み、何をやるにもおっくうになってしまう人が、日本人の中に少なからずいることも報告されています。
秋は、しっかりと日光浴をして気分を爽やかにして体を動かし、その結果として夜の睡眠の質を向上させることが、秋バテや秋うつに対抗する有効な手段です。
睡眠の質向上するための必要条件
こうした状態を解消するためには、以下の3つが大切だといいます。
- 朝9時前に、10分程度の日光浴(生体リズムを調整し、睡眠負債を解消)
- 1日を通じて1時間以上の日光浴(夜のメラトニン分泌を増大させ、睡眠負債を解消)
- 週に数日、7時間以上の睡眠をとる(秋バテ解消)
夜の睡眠の質を向上させるには、朝に10分程度、太陽光を浴びて生体リズムを調整し、日中に1時間程度の日光浴で夜のメラトニン分泌を増大させることが、この秋に良好な睡眠をとるための秘訣です。
また、昼間の気分向上に関わるセロトニンは、メラトニンの前駆物質です。夜間のメラトニンを増やすことは、昼間のセロトニンを増やすことにもつながります。
朝食と昼食にセロトニンとメラトニンの元となるトリプトファンを多く含む食品(大豆製品や乳製品など)をしっかりととることも大切です。
睡眠評価研究機構代表日本睡眠改善協会理事長医学博士
白川修一郎先生(『LNES® SL-04』監修)
睡眠評価研究機構の代表を務め、睡眠科学の専門家として広く社会に貢献している。長年にわたり睡眠に関する研究を行い、特に睡眠の質やその改善に注力してきた。多くの書籍や論文を執筆し、講演活動も行っており、睡眠の重要性とその管理方法について社会啓発している。テレビ、ラジオや雑誌などのメディアでも頻繁に取り上げられ、睡眠に関するアドバイスを提供している。
・著書:『睡眠力を上げる方法永岡書店』『命を縮める睡眠負債を解消する』祥伝社など
・テレビ出演:「NHKスペシャル」/ 「あさイチ」など
また、ビタミンDの専門家である斎藤糧三先生は、秋バテには「ビタミンD」も重要であるとしています。
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