水仕事や手洗いが多い人へ!専門医が教える「感染予防」と「あかぎれ解消」どっちも叶えるコツ
冬は感染症のリスクが高まる時期です。その予防に欠かせない手洗いですが、頻繁な手洗いは肌の乾燥を招き、あかぎれになりやすくします。
家庭での水仕事が多い人や、飲食店従業員、美容師など、水に触れる機会の多い仕事をしている人々を悩ませる「あかぎれ」。
冬の手指ケアについて、よしき銀座クリニック院長 吉木伸子先生に伺いました。
痛くて手を洗いたくない「洗い控え」が64%も発生
ニチバン株式会社が、あかぎれ・ひび割れに悩む全国の20~60代男女(300名)を対象に2023年11月に実施した冬の乾燥対策に関する意識調査によると、あかぎれ・ひび割れで悩んでいる時に手を洗うことについて、64%が「痛くて洗いたくない」「痛みがないが悪化が怖くて洗いたくない」と回答しています。
およそ3人に2人が、水に触れることによって感じる痛みや、あかぎれ・ひび割れの悪化を気にして洗いたくないという「洗い控え」が発生していることがわかりました。
手洗いは感染予防に不可欠ですが、同時に手荒れにも注意が必要です。感染予防と手荒れ防止の両立が、冬の健康管理の鍵となります。
この「手洗いジレンマ」を解決することが、冬の健康的な手指ケアの第一歩となるのです。
あかぎれの正体 皮膚科医が解説する原因と影響
「あかぎれは手指の肌荒れの一種で、特に寒い時期に肌が乾燥することが主な原因です。あかぎれは手指の皮膚が深くひび割れ、ピリピリとした痛みを伴うことがあります」とよしき銀座クリニック院長 吉木伸子先生は説明します。
「皮膚の表面は『皮脂膜』で覆われており、その下にある角層内には『セラミド』という成分があります。これらが肌の潤いを守っていますが、手洗いや家事での洗剤使用、冷えによる血行不良、頻繁なアルコール消毒により洗い流されたり失われると、肌の潤いが失われ、手指の肌荒れが起こりやすくなります」(吉木先生)
早期対応がカギ!皮膚科医が教える冬の手指ケア術
吉木先生は、「手洗いや水仕事ではぬるま湯を使用し、手が濡れたらすぐに拭く、肌が弱い人は除菌ソープの使用を控える、保湿剤(ハンドクリームやワセリンなど)を使用するなど、日常生活での適切なケアと保湿が重要」とアドバイスします。さらに、あかぎれのケアには「ハイドロコロイド素材を使用した治癒促進タイプの絆創膏を使うのが効果的です。治癒促進タイプの絆創膏は、あかぎれを治すのに適した潤った環境をつくり、皮膚がきれいに再生するのを促し、あかぎれの痛みを和らげます。キズ以外の部分もハイドロコロイドで覆ってしまうと、肌がふやけやすくなります。また、絆創膏がはがれやすくもなります。ハイドロコロイドはキズの部分だけにあてるのが理想です。水仕事が多いひとは、防水タイプが良いでしょう」と説明します。(吉木先生)
あかぎれケアの新常識 治癒促進タイプの絆創膏が効果的
モイストヒーリング(湿潤療法)は痛みを軽減し、キズやつらいあかぎれを早くきれいに治します。
たとえば有名なのはニチバン株式会社の「ケアリーヴ治す力」。キズぐちをハイドロコロイド素材のモイストパッドで保護し、周りの健康な肌は伸縮性と通気性のよいテープで覆うアイテムです。指先用や防水タイプもあります。
監修者プロフィール
よしき銀座クリニック 院長 吉木伸子先生
横浜市立大学医学部卒業、慶応義塾大学病院皮膚科学教室に入局。浦和市立病院(現さいたま市立病院) 皮膚科勤務、日本漢方研究財団附属渋谷診療所での研修等を経て、現在はよしき銀座クリニック 院長。レーザー、ケミカルピーリングなどの美容皮膚科学と漢方を取り入れた皮膚科療法を行っている。
<Edit:編集部>