
子どものEQ(心の知能指数)を下げてしまう「親のNG言動」とは (1/5)
子どもの心の発達は、感情のコントロールや人間関係などに大きな影響を与えます。非認知能力のひとつで心の知能指数とも言われる「EQ」は、子どもの将来の社会適応力や自己肯定感に深く関わっています。
しかし、親の何気ない言動が、子どものEQを低下させてしまうことがあるのです。今回は、子どものEQに悪影響を与える親のNG言動を紹介し、どのように改善すれば良いのかを考えてみましょう。
監修は、プロ野球選手やボートレーサーなどアスリートのパーソナルサポートを行う、株式会社脳レボ代表の川谷潤太さんのもと解説していきます。
EQ(心の知能指数)とは
EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、感情を理解し、コントロールしながら適切に他者と関わる力を示す指標です。
1995年にアメリカの心理学者ダニエル・ゴールマンが著書『Emotional Intelligence』で提唱したことで広まりました。
IQ(知能指数)が論理的思考力や問題解決力を示すのに対し、EQは人間関係や自己管理能力など、社会性や感情面での適応力を示します。
EQが高い人は、自分の感情をうまくコントロールし、他者との良好な関係を築くのが得意です。
「EQ」と「非認知能力」は何が違う?
EQは感情のコントロールやコミュニケーションに直結し、非認知能力は問題解決力や自立心の強化に関わります。EQは対人関係に、非認知能力は生き抜く力に影響を与える点が異なります。
●EQ・・・自分や他人の感情を理解・コントロールし、人間関係を円滑にする能力。主に自己認識・感情の管理・共感力・社会的スキルなどが含まれます
●非認知能力・・・自己肯定感・忍耐力・好奇心・協調性など、数値化しにくいスキルを指します
EQは専用のテストで測定可能ですが、非認知能力は行動観察で評価されます。
親の言動が子どものEQに与える影響とは
親の言動は子どものEQに非常に大きな影響を与えます。
EQの基礎は幼少期に親との関わりの中で育まれるため、親の態度や接し方がEQの発達に直結します。
たとえば、親が子どもの感情を受け止め、共感しながら対応すると、子どもは「自分の感情を理解してもらえた」と感じて安心し、EQが高まりやすくなります。
一方で、親が子どもの感情を無視したり、否定的な言葉をかけ続けると、子どもは自分の感情をうまくコントロールできず、EQの発達が妨げられます。
子どものEQを下げてしまう親のNG言動
以下のような親の言動は、子どものEQを低下させる原因となります。
「泣くな!」「悲しむな」など感情を否定する
例:「そんなことで泣くな!」「男のくせに泣くなんて情けない」
子どもが泣いているときに感情を否定されると、「自分の感情は受け入れられない」と感じてしまいます。結果的に自分の感情を抑え込むようになり、感情のコントロールが難しくなります。
OK例:「悲しいんだね。つらかったね」と受け止める