ウォーキング
フィットネス
2025年8月22日

痩せる歩き方の科学|正しいフォームと筋肉の使い方で脂肪燃焼を最大化

毎日の「歩く」も、意識を変えれば立派な「トレーニング」に変わります。

体幹を安定させ、大きな筋肉をしっかり動かすことで、歩くたびに脂肪燃焼を高めることができます。

スポーツトレーナー・森竜次さん監修のもと、正しいフォームや呼吸法、筋肉を意識した歩き方について解説します。

痩せる歩き方の基本フォーム

正しいフォームは効率よく脂肪を燃やす第一歩です。姿勢や腕の使い方を整えることで、全身を連動させて歩けるようになります。

かかとから着地、母趾球へ体重を移動する

着地は必ずかかとから行い、足裏全体を通して母趾球(親指のつけ根)へ重心を移動させます。これにより大臀筋(お尻)やハムストリング(太もも裏)が自然に働き、下半身全体を効率よく動かすことができます。

つま先から着地するとふくらはぎばかりを使い、脚のラインが崩れる原因になるので注意しましょう。

背骨を一直線に保つ姿勢

歩く

背筋を伸ばして歩くと、体幹の筋肉が働き姿勢が安定します。頭から糸で引っ張られているイメージを持ち、肩や腰が前後に傾かないよう意識しましょう。腹筋と背筋をバランスよく使うことで、代謝を高めながら美しい歩き姿にもつながります。

腕を後方に振ることで代謝を促進

腕は前に振るよりも、後ろへ引くことを意識します。脇を軽く締め、肩甲骨を寄せるように動かすと広背筋や背中の筋肉が活性化します。

上半身をしっかり動かすと、歩幅とスピードが自然に上がります。下半身の大きな筋肉がより働くことで消費エネルギーが高まり、脂肪燃焼効率が向上します。さらに肩回りの血流が良くなり、肩こりの予防にもつながります。

脂肪燃焼を高める歩幅とスピード

歩幅や歩く速さを工夫すると、同じ時間でも消費エネルギーは大きく変わります。下半身の大筋群をしっかり使うために、適切な歩幅とスピードを意識しましょう。

普段より10cm広い歩幅で歩く

歩幅は普段より靴1足分ほど広く取るのが目安です。かかとから着地したときに、後ろ脚の膝が自然に伸びるくらい(かかとが自然と離れるくらい)がちょうど良い歩幅になります。

股関節から脚を前に押し出すように歩くことで、大臀筋(お尻)やハムストリング(太もも裏)がしっかり働きます。足を上に持ち上げるのではなく、あくまで前へ、大股で歩く意識をしましょう。

会話できる速さが脂肪燃焼に効果的

歩くスピードは「やや息が弾む程度」が理想です。誰かと一緒に歩いたときに会話が続けられるくらいの速さは、最大心拍数の60~70%にあたり、脂肪燃焼効率が高まるゾーンとされています。

息切れするほど速く歩くと酸素を十分に取り込めず、糖のエネルギー消費が中心となり脂肪燃焼は進みにくくなります。逆にゆっくり過ぎると運動強度が低く、効果が出にくくなります。「少しきついけれど無理はしていない」と感じる速さを目安にしましょう。

インターバルウォーキングで燃焼効率を上げる

短時間で脂肪燃焼を高めたいときは、速歩きと通常のペースを交互に行う「インターバルウォーキング」が効果的です。

たとえば、会話が難しくなるくらいの強度で1分間速歩きしたら、次の1分間は会話ができるくらいの速さに戻すといった方法です。これを繰り返すことで心拍数が上下し、脂肪燃焼効率が高まります。

同じ時間でも消費エネルギーが増えるうえ、筋肉への刺激も強まり、基礎代謝アップにもつながります。忙しい人でも取り入れやすい方法です。

インターバルトレーニングの「シンプル」なやり方!効果を最大化するコツも

脂肪燃焼効率を上げる呼吸と心拍数の整え方

呼吸と心拍数を意識することで、同じウォーキングでも脂肪燃焼効率が変わります。酸素を十分に取り込み、心拍数を適切に保つことが大切です。

腹式呼吸で酸素摂取を増やす

ウォーキング中は胸だけで呼吸するのではなく、腹式呼吸を意識しましょう。鼻から吸ってお腹を膨らませ、口から吐いてへこませると、酸素を多く取り込めます。十分な酸素が筋肉に行き渡ることで、脂肪燃焼が促進されます。

脂肪燃焼ゾーンの心拍数を維持する

脂肪を効率よく燃やすには、最大心拍数の60~70%を保つのが目安です。「220−年齢」で最大心拍数を算出して、その値の6~7割を目標にします。スマートウォッチなどを使うと把握しやすく、運動強度の調整に役立ちます。ただしこの基準をキツく感じる方もいらっしゃいますので、ご自身のレベルに合わせて行いましょう。

リズム呼吸で歩行を安定させる

「3歩で吸って、3歩で吐く」といったリズム呼吸を取り入れると、呼吸が安定して、長時間歩いても疲れにくくなります。リズムが整うことで心拍数も一定に保ちやすくなり、持久力向上にもつながります。

筋肉を意識した歩き方のポイント

歩くときにどの筋肉を使うかを意識することで、ただの移動がトレーニングに変わります。体幹や下半身の大きな筋肉を活用すると、脂肪燃焼と引き締め効果が高まります。

大臀筋を使って、脚を後ろに蹴り出す

歩幅を広げるときは、脚を前に出すよりも後ろにしっかり蹴り出すことを意識します。大臀筋が働くことで下半身の推進力が増し、消費エネルギーが高まります。ヒップラインの引き締めにもつながるため、美しい後ろ姿を目指せます。

腹横筋を締めて、骨盤を安定させる

お腹を軽くへこませるようにして歩くと、体幹を支える腹横筋(インナーマッスル)が働きます。骨盤が安定することでブレが減り、正しいフォームで長く歩けるようになります。下腹部の引き締めにも効果的です。

膝とつま先を正面に向けて、内転筋を動かす

内転筋群

歩くときに膝やつま先が内側や外側に向くと、ふくらはぎや太ももに余計な負担がかかります。進行方向にまっすぐ向けて歩くことで内転筋(太ももの内側)が自然に働き、脚のラインが整いやすくなります。内股やがに股の癖がある人は特に意識しましょう。

ダイエット効果を高める+αテクニック

基本の歩き方に少し工夫を加えると、ダイエット効果はさらに高まります。日常生活に取り入れやすい方法を選び、自分に合った習慣として続けましょう。

朝の空腹時にウォーキングで脂肪を燃やす

朝食前に歩くと、エネルギー源として体内の脂肪が使われやすくなります。低血糖を避けるために、水分補給をしっかり行い、必要なら飴やバナナを少量摂ってから始めましょう。無理のない範囲で続ければ、体脂肪の減少に効果的です。

筋トレと組み合わせて代謝を上げる

スクワットやプランクなどの筋トレを取り入れると、下半身や体幹の筋肉量が増え、基礎代謝が高まります。筋肉が増えると普段のウォーキングでも消費カロリーが上がるため、痩せやすい体質に近づきます。有酸素運動と無酸素運動をバランスよく行うことが重要です。

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正しい靴やギアでフォームをサポート

靴はかかとが安定し、クッション性があるものを選びましょう。ヒールや革靴はフォームが崩れやすく、膝や腰への負担につながります。ウォーキングをするときは、スポーツ用のウォーキングシューズを使うことで、自然に正しい着地や体重移動がしやすくなり、長く歩いても疲れにくくなります。

よくある疑問Q&A

痩せる歩き方を実践するうえで、多くの人が気になる疑問をまとめました。歩く時間やタイミングなど、基本的なポイントを押さえておきましょう。

毎日どれくらい歩けば痩せる?

目安として1日30分以上、可能なら1時間のウォーキングが理想です。連続して歩く時間が取れなくても、10分や15分を数回に分けて合計30分以上を確保すれば脂肪燃焼につながります。継続することが最も大切です。

夜のウォーキングでも効果はある?

夜でも効果は期待できます。夕食後は血糖値が上がっているため、摂取したエネルギーを効率よく消費できます。ただし眠る前に強度の高い運動をすると睡眠を妨げることがあるので、就寝2時間前までに済ませるのが望ましいです。

ランニングよりウォーキングの方が痩せる?

消費カロリーだけを見ればランニングですが、継続しやすさを考えるとウォーキングも十分効果的です。結局は継続できるかどうかが大切なので、1回の運動量ではなく、自分にとってどちらが継続していけるのかを大切に選択しましょう。

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監修者プロフィール

パーソナルトレーナー・スポーツトレーナー
森 竜次

森 竜次私は専門学校にてパーソナルトレーニングとアスリートへのスポーツ指導について学び、NSCA - CPT(パーソナルトレーナー資格)とJSPO - AT(スポーツトレーナー資格)を取得し、4年制大学体育会系アメリカンフットボール部で食事指導やリハビリ指導・トレーニング指導など4年ほど経験。パーソナルトレーナーとしても24時間ジムにてフリーランスのトレーナーとして2年ほど、全国に展開するパーソナルジムでも勤務しておりました。前職での経験も生かし、怪我や痛みに悩む方でも安全なトレーニング、コンディショニングやパフォーマンスUPなども得意としておりますのでお気軽にご相談ください!

実績
FWJ(Fitness World Japan)(https://fwj.jp/)
2021年 APRILIS CHAMPIONSHIPS Men's physique 3位
2022年 POWERHOUSE GYM CLASSIC Men's physique 4位
2023年 BLAZE OPEN Men's physique 4位

保有資格
NSCA-CPT(https://www.nsca-japan.or.jp/)
JSPO-AT(https://www.jrc.or.jp/)

The Personal Gym:https://the-personal-gym.com/

<Edit:編集部>