股関節が痛い時にやってはいけないこと[医師監修] (1/2)
股関節は、立つ、歩く、座るといった基本的な動作を支える重要な関節です。痛みがあるとストレッチや鎮痛薬など自己流で対処しようとする方も多いでしょう。
しかし、股関節が痛いときに「やってはいけないこと」があります。まえだ整形外科リウマチクリニック 院長・前田 俊恒先生監修のもとお届けします。
<このページの内容>
股関節の痛み、なぜ起こる?
股関節は、骨盤の「臼蓋(きゅうがい)」と大腿骨の「骨頭(こっとう)」をつなぐ球関節で、人体の中でもっとも大きな関節の一つです。
体重を支えながら、歩行や屈伸などさまざまな動きを可能にしています。

股関節の痛みは大きく分けて2つ
股関節の痛みは、大きく分けて「関節自体の問題」と「関節周囲の筋肉・腱の問題」の2つに分類されます。
関節自体の問題としては、軟骨がすり減る変形性股関節症、股関節唇の損傷、関節内の炎症などがあります。一方、関節周囲の問題としては、腸腰筋や臀筋の硬さ・疲労、腱炎、滑液包炎などが挙げられます。

整形外科では股関節の痛みの原因として、変形性股関節症、臼蓋形成不全、大腿骨頭壊死症、股関節唇損傷、大腿骨寛骨臼インピンジメント、大転子滑液包炎などが代表的な疾患として知られています。
また、腰椎の疾患が原因で股関節周辺に痛みが出ることもあります。痛みの原因は自己判断では特定しにくいため、痛みが続く場合は医療機関での診断が重要です。
股関節が痛い時にやってはいけないこと
股関節に痛みがあるとき、良かれと思ってやっていることが、実は症状を悪化させていることがあります。以下の5つのポイントに注意してください。
1. 痛みを我慢して運動を続けてしまう
適度な運動は確かに股関節の健康維持に重要ですが、痛みがあるときに無理をするのは逆効果です。
痛みは、身体が発している「これ以上負担をかけないで」というサインです。このサインを無視して運動を続けると、炎症が悪化したり、関節や周囲の組織にさらなるダメージを与えたりする可能性があります。
とくに注意が必要なのは、以下のようなケースです。
1)運動中に痛みが増す
2)運動後に痛みがひどくなる
3)翌日まで痛みが残る
こうした症状がある場合は、運動の強度を下げるか、一度休止して様子を見ましょう。「痛みがあっても動けるから大丈夫」ではなく、「痛みがない範囲で動く」ことが大切です。
ランニングやジャンプ動作など、股関節に強い衝撃が加わる運動は、痛みがある時期には控えることが重要です。

ウォーキングやストレッチといった軽い運動でも、痛みを感じる場合は中止してください。痛みが引いてから、徐々に活動量を戻していくのが基本です。
2. 長時間同じ姿勢を続けている
同じ姿勢を長く続けることも、股関節の痛みを悪化させる原因になります。
長時間座り続けると、股関節の前側にある腸腰筋が縮んだ状態で固まり、立ち上がったときに痛みやこわばりを感じやすくなります。
また、座っている間は股関節に体重がかかり続けるため、関節への負担も蓄積されます。

逆に、長時間立ちっぱなしの姿勢も問題です。片足に体重をかけて立つ癖がある人は、片側の股関節に過度な負担がかかり、痛みが悪化することがあります。
対策として意識したいこと
1)デスクワーク中は、30分〜1時間に一度は立ち上がって軽く歩く
2)座り姿勢では、足を組まない、浅く座らない
3)立ち仕事では、両足に均等に体重をかけることを意識する
姿勢を変えるだけでも、股関節への負担は軽減されます。
3. 自己判断で強いマッサージやストレッチを行ってしまう
股関節が痛いとき「ほぐせば楽になるはず」と思って、強くマッサージしたり、無理にストレッチをしたりしていませんか。これは症状を悪化させる原因になることがあります。
まず、痛みの原因が炎症である場合、その部位を強く刺激すると炎症がさらに悪化します。腫れや熱感がある場合は要注意。炎症がある場合には、無理に動かすよりも安静にし、場合によっては冷却などの対処が有効なこともあります。

また、股関節周囲には複雑な筋肉や腱、靭帯が集まっています。どこが問題なのかを正確に把握せずに強い力をかけると、問題のない部位を傷つけてしまったり、かえって筋肉が緊張してしまったりすることがあります。
ストレッチについても同様です。痛みがある状態で無理に関節を動かすと、周囲の組織にダメージを与える可能性があります。
「痛気持ちいい」を超えて「痛い」と感じるストレッチはやりすぎです。








