2026年7月8日

エアコンの冷房は一晩中つけるべき?タイマーがいい?睡眠専門家が警鐘

「夜中に何度も目が覚める」「朝起きても疲れが取れない」。その原因は、暑さによる“中途覚醒”かもしれません。

パナソニックは、寝室環境・睡眠の専門家である和洋女子大学の水野一枝教授に、夏の睡眠とエアコンの使い方について取材。水野教授は、「暑い夜はエアコンを一晩中つけっぱなしにすることが快眠につながる」と話します。

水野一枝
和洋女子大学 生活環境学科 服飾造形コース 教授。獨協医科大学 第一生理学教室、産業技術総合研究所 NEDOフェロー、東北福祉大学 特任研究員などを経て現職に。寝室の暑さや寒さ、寝具や寝衣と睡眠に関する研究に従事し、睡眠によい室内の温熱環境を追及している。日本生理人類学会評議委員、日本睡眠環境学会理事。

「眠っているつもり」でも実は目覚めていることも

水野教授によると、睡眠中の覚醒は脳波によって判定されます。そのため、自分では目が覚めた自覚がなくても、脳波上では覚醒しているケースがあるといいます。

こうした中途覚醒が繰り返され、睡眠効率が低下すると、抑うつや肥満、糖尿病、高血圧、便秘といった生活習慣病のリスクが高まるほか、免疫力の低下やケガ・事故のリスク増加にもつながると指摘しています。

また、子どもでは学力低下や感情コントロールの低下、夏場は日中の体温調節機能が低下することで熱中症リスクが高まる可能性もあるとしています 1)

室温28℃が快眠の目安

では、なぜ暑い夜は目が覚めやすくなるのでしょうか。水野教授は、「睡眠中に深部体温が上昇すると、中途覚醒につながる」と説明します。

睡眠中は体温を調節する機能が起きている時より低下するため、暑い環境では身体が睡眠より体温調節を優先し、目が覚めやすくなると考えられています 2)

これまでの研究では、快適に眠れる室温の上限は28℃とされており 3)、28℃を超える場合はエアコンの使用を検討してほしいと呼びかけています。

湿度はエアコン運転によって自然に下がるため、まずは室温管理を優先することが大切だとしています。

「切タイマー」より朝まで運転がおすすめ

水野教授らの研究では、エアコンを睡眠前半だけ使用した場合は、一晩中運転した場合よりも中途覚醒が増えるという結果が得られています 4)

電気代を気にして切タイマーを設定しても、暑さで途中で目が覚めて再びエアコンをつけるなど、睡眠が途切れやすくなる可能性があるといいます。

そのため、暑さを感じる夜や熱帯夜が予想される日は、エアコンを朝までつけっぱなしにすることを推奨しています。

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冷えが心配なら寝具で調整を

一方で、冷えすぎが気になる場合は、エアコンを止めるのではなく、掛け布団やタオルケットを足元に用意し、寒くなったらすぐに掛けられるようにしておくことを勧めています。

水野教授は、「暑い環境では寝具や衣類だけで快適な睡眠を確保することは難しい」としたうえで、「就寝前に暑い、不快と感じたら我慢せずエアコンを使ってほしい」と呼びかけています。

夏の睡眠では、節電のためにエアコンを止めるよりも、室温を適切に保つことが快眠と熱中症予防の鍵になりそうです。

1) 水野一枝 堀江佑佳 睡眠と健康・熱中症の関係 : 夏を乗り切る快眠法 地方公務員安全と健康フォーラム 31 (3), 10-13, 2021
2) Jennings, J. R., REYNOLDS III, C. F., Bryant, D. S., Berman, S. R., Buysse, D. J., Dahl, R. E.,& Monk, T. H. (1993). Peripheral thermal responsivity to facial cooling during sleep. Psychophysiology, 30(4), 374-382.
3) 梁瀬度子 (1999): 温熱環境,睡眠環境学,(鳥居鎮夫編), 152-157,朝倉書店.
4) Okamoto-Mizuno, K., Tsuzuki, K., & Mizuno, K. (2005). Effects of humid heat exposure in later sleep segments on sleep stages and body temperature in humans. International journal of biometeorology, 49(4), 232-237.

<Edit:編集部>