フィットネス
2020年8月16日

筋トレ効果がイマイチなのは「筋力の左右差」が原因かも。直し方をトレーナーが解説 (1/2)

 ダンベルを持って肘を曲げ伸ばしする筋トレ種目「バイセップカール」を思い浮かべてください。両手に同じ重さのダンベルを持つと、利き腕は楽に感じても、反対側の腕は重く感じることはないでしょうか。利き腕の筋力がそうでない腕より強い人は多いですし、ある意味では自然です。

▲バイセップカール

 しかし、その筋力差が極端になると、思わぬ怪我に繋がることもあります。また、筋トレ効果が上がらない原因になることもあるでしょう。こうした筋力の不均衡がなぜ起こるのか、その見分け方や直し方、予防について解説します。

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主動作筋と拮抗筋の不均衡にも注意

 左右の腕力の違いはとても分かりやすいのですが、少しわかりにくいのが、あらゆる身体動作における主動作筋と拮抗筋の不均衡です。

 前述したバイセップカールを例にすると、肘を曲げたときに盛り上がる力こぶ「上腕二頭筋」が縮むことで力が出ます。そして腕の反対側にある「上腕三頭筋」は逆に伸びます。この肘を曲げる動作では上腕二頭筋が主動作筋、上腕三頭筋は拮抗筋になります。

 主動作筋と拮抗筋は、あらゆる動作において常に反対の働きをします。バイセップカールの例を続けると、曲がった肘を伸ばすときには主動作筋と拮抗筋が入れ替わります。つまり、上腕二頭筋は緩んで拮抗筋となり、上腕三頭筋は固くなって主動作筋となるのです。

 主動作筋と拮抗筋の間で筋力の差が大きくなると、当然ながら動作パフォーマンスは落ちますし、ときには怪我の原因になることもあります。特に、体幹周辺の筋力不均衡には注意が必要です。

 たとえば腹筋と背筋は主動作筋と拮抗筋の関係にありますが、これらの不均衡は腰痛などの深刻な事態を誘発しかねないからです。

筋力の不均衡はなぜ起こる?

 筋力の不均衡には、大別すると不健康な生活習慣から生じるものと、誤った運動習慣によるものがあります。イスに長時間座っている人は股関節屈筋が短くなり、臀部などの筋肉の不均衡を引き起こすことがよくあるでしょう。スマホなどの画面をうつむいて見ている人は、首の周辺に問題が生じやすくなるもの。バッグなどの荷物を常に同じ側で持つ人は、片方の腕や肩だけを使うことになります。

 運動の習慣がある人も、同じ種類の運動を繰り返して行っていると同じような問題が筋肉に生じます。よく使う筋肉とあまり使わない筋肉ができると、当然ながらそれらの筋力にも差が出るからです。

▲ジムに行くと毎回ベンチプレスばかり行う人は多い

 分かりやすい例で言えば、野球の投手やテニス選手などは利き腕ばかりを使うので、そちら側は強くなりますが、反対側の腕は意識して鍛えない限りは弱くなっていきます。

筋力不均衡の見分け方

 痛みや筋肉の張りは、もっとも分かりやすい筋力不均衡の兆候です。また、見た目のバランスが崩れるときもあります。まっすぐに立っていても、片方の肩が高い位置にあるような場合です。

 筋トレ種目の得意不得意も、筋力不均衡を明らかにすることがあります。たとえば膝を伸ばす「レッグエクステンション」は太股の前面(大腿四頭筋)を主に使い、膝を曲げる「レッグカール」は太股の裏側(ハムストリングス)を主に使うトレーニングです。この2つの種目で挙上重量に大きな差があったとしたら、それはそれぞれの筋力に不均衡があることを意味します。

▲レッグエクステンション

 また、スクワットやデッドリフトのような複合関節動作では、数多くの筋肉が動員されます。そのどれかが極端に弱いと、パフォーマンスは上がりません。これらの種目があまり上達しない人は、筋力不均衡を原因のひとつとして疑ってよいでしょう。

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