フィットネス
2021年1月4日

「片腕・片足」で筋トレすると、どんな効果がある?

片腕あるいは片足だけで行うか、体の片側に大きく負荷をかける筋トレ種目を「Unilateral Training(ユニラテラルトレーニング)」と呼びます。

その内容とメリット、おすすめのトレーニングメニューもあわせて紹介します。

ユニラテラルトレーニングで筋肉のバランスを整える

通常のスクワットやデッドリフトは両足へ均等に体重をかけますが、どうしても筋力が強い方の足が、弱い方の足を助けてしまいます。そのため、左右の筋力のアンバランス(不均等)がそのままになってしまうことがあります。

また、上半身を鍛えるベンチプレスでも、腕や肩の筋力に同様のアンバランスが起こることがあります。これを「bilateral deficit(バイラテラル・デフィシット)」と呼び、とくに筋トレを始めて間もない初心者によく起こります。

放置しておくとケガの原因にもなりかねないため、ユニラテラルトレーニングを行い、筋力のバランスを向上させるのが望ましいでしょう。

また、筋トレをスポーツに役立てたい人は、ユニラテラルトレーニングを積極的に取り入れることをおすすめします。ほとんどどのスポーツの局面において、両足を踏ん張った状態や、両手を同時に同じ方向へ動かすような動作はあまりありません。

投げる、蹴る、打つ、走る、泳ぐといった動きをイメージしてください。右手と左手、あるいは右足と左足はいつでも違う方向に動いています。そのため、ユニラテラルトレーニングで筋肉のバランスを整えるのが望ましいでしょう。

ユニラテラルトレーニングにおすすめの筋トレは?

ランジ

両足を前後に大きく開き、後ろの膝を地面につけます。前膝は90度に曲げましょう。下半身全体と体幹を鍛える効果があります。

前方に歩くやり方と、その場で片足ずつ交互に入れ替えるやり方があります。

どちらも重要なポイントは、体幹をまっすぐに保つこと。写真では片手でダンベルを頭上に維持することで負荷と難易度を高めていますが、もちろん何も持たないで行っても効果はあります。

片足ルーマニアン・デッドリフト

ケトルベル(なくても構いません)を両手あるいは片手に持ち、上半身を前方に倒すと同時に片足を後方に挙げます。

上半身が地面と平行になるか、あるいはケトルベルが地面に着いたら、一旦停止してバランスを保ってください。

この動作で鍛えられるのは、おもに太腿の裏側(ハムストリングス)とお尻の筋肉です。この部分の可動域が狭く、デッドリフトがうまくできない人にも効果的です。

片足を連続して行うやり方と、左右交互に行うやり方があります。

片足スクワット

通常のスクワットと同じように両足を肩幅に広げ、お尻が膝より下の位置に来るまで下ろします。浮かせた側の足は、前方に伸ばして重心のバランスを取りましょう。

軸足のかかとが地面から浮かないようにしてください。

片足を連続して行うやり方と、左右交互に行うやり方があります。

なお、何も持たずに行っても効果はあります。どうしてもこの動作ができない人は、ポールや壁などにつかまって行ってもよいでしょう。

難易度が高い種目のため、重心のバランスの取り方が重要。足首と股関節の柔軟性も大事な要素です。

片腕ダンベルショルダープレス

肩を鍛える代表的な種目「ダンベル・ショルダープレス」を片腕で行います。

挙げる側の腕は、耳につくくらい上に伸ばしましょう。筋力のバランスを取ることが目的なので、膝はロックし、反動をつけないで行う(ストリクト)のがよいでしょう。

肩は左右の筋力に差が出やすい部分であり、大抵の人は利き腕の側が強くなります。

そのような場合は扱えるダンベルの重量、あるいは動作を行う回数に左右で差が出ますので、差をなるべく少なくするように行いましょう。

トレーニング上級者ともなれば筋力のアンバランスは克服しているかもしれませんが、ケガをしたときのリハビリメニューとして覚えておいても損はないでしょう。

 

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text & Photo:角谷剛>