インタビュー
2017年11月28日

神戸にいた“武術の女の子”が女優になるまで。山本千尋が語る太極拳(前編) (3/3)

そうでもないですね。長拳の動きというのは簡単に言うと、「素早くて美しい動き」なんです。その動きをもとにして、剣も槍もやっています。(動きがゆっくりな)太極拳の人が長拳をやるのはすごく難しいんですが。

――国際大会に採用されていないものも含めると、数え切れないほど沢山の「拳」があるようですね。

よく聞くのが、ジャッキー・チェンの映画に出てくる酔拳(すいけん)とか螳螂拳(とうろうけん)とかですね。伝統武術になるんですけど、それも武術太極拳の中にあるもので。ほかにも八極拳(はっきょくけん)とか翻子拳(ほんしけん)だとか蛇拳(じゃけん)とか虎拳(とらけん)とか……もういっぱいあります(笑)。

――武術太極拳=中国拳法の総称というふうに考えればいいのでしょうか?

そうですね、はい。

――世界大会で数々の優秀な成績を収めた後、山本さんは女優の道に進んだわけですが、何かきっかけがあったのですか?

中学生のときに、武術太極拳をやっていると言っても、いつも「それって何?」から始まるので、それがすごくもどかしくて……。何でこんなに好きなスポーツなのに知ってもらえないんだろうなと。それが高校一年のときの世界大会で優勝したことをきっかけに、「武術の女の子」ということでメディアに取り上げていただけたり、学校からも表彰してもらえたり、周りの子たちからも「かっこいいスポーツだね」と言ってもらえるようになって。

自分のしているスポーツを好きで良かった、頑張ってよかった、と思った瞬間でもありました。そこから「もっと武術太極拳をみんなに知ってもらいたいな」という感覚に変わったんです。それで、昔から人に見てもらえるのも好きだったので、もしかしたら自分の好きな場所かもしれないなと思って、女優という道に進んだ理由の一つではあります。

▼後編はこちら

「私もジャッキー・チェン様やジェット・リー様のようにかっこよくなりたい」山本千尋が語る太極拳(後編) | ビューティ×スポーツ『MELOS』

[プロフィール]
山本千尋(やまもと・ちひろ)
1996年生まれ。兵庫県出身。幼少期から太極拳をはじめ、2008年に「第2回世界ジュニア武術選手権大会」の槍術で金メダルを、長拳で銀メダル獲得。以降も数々のジュニア大会で優勝を果たす。2010年~2012年の「JOCジュニアオリンピックカップ」では長拳、剣術、槍術で3年連続優勝。女優としては、2014年にヒロインを演じた映画「太秦ライムライト」でデビューし、ジャパンアクションアワード ベストアクション女優優秀賞を受賞。中国武術、アクション、殺陣を得意としており、アクション女優として注目されている。現在放送中のドラマ「ウルトラマンジード」ではヒロイン・鳥羽ライハ役を、映画「BRAVE STORM ブレイブストーム」(11月10日公開)では春日はるか役を熱演。2018年には映画「劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!」(2018年3月10日全国公開)の出演が決定している。
【公式Instagram】@chihiro_yamamoto_pi
【「BRAVE STORM ブレイブストーム」公式サイト】http://www.bravestorm.jp/index.html

<Text:大久保徹/Photo:久保誠>

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