生死を問うバーベルがひらめきを生む。Pepperに感情を与えた研究者・光吉俊二に聞く武道の魅力(前編) (2/2)
―ちなみにひらめきを促す筋トレなんてあるんでしょうか?
ひらめきを促すなら、バーベルかな。バーベルを落としたら自分がバーベルに潰されて死ぬからね(笑)。(バーベルを)上げるか死ぬかの世界になると無心になれるからその後ひらめきを促しやすいかもしれない。リセットされるからね。それにバーベルは持ちこたえる筋肉を鍛えることができるから、持久力がつく。ちなみに俺52歳で83kgなんだけど、毎日150キロをワンセット、10キロづつ落として、10セットあげてるよ(笑)。
もっと極めるなら、スミスマシン(ラックにガイドがついていて、ガイドに沿ってバーベルを上げ下げするマシン)。押すだけの力だから純粋に力が解放されて、パワーが上がるんだよね。俺は240kgまで上げたことあるけど、その時はさすがに内出血して胸筋が真っ黒になっちゃった。治すのに1ヶ月はかかったね(笑)。それが80kgの人間の限界。回復したあとは強くなるけど。
パンチ力を上げるならスミスマシンだね。普通この年齢になったら、頭が真っ白になることないからね。すごく快感だよ。はははー!
後編では武道と学問の関係や、芸術・学問・スポーツの共通点などをお届けします!
後編:ロボットに道徳をインストールする。その原点は武道。Pepperに感情を与えた研究者・光吉俊二に聞く武道の魅力(後編)
[プロフィール]
光吉俊二(みつよし・しゅんじ)
1965年生まれ。東京大学大学院工学系研究科道徳感情数理工学講座特任准教授。工学博士。1988年に多摩美術大学を卒業後、彫刻家として活動。2006年に徳島大学大学院博士課程を修了。「Pepper」の感情エンジンでも使われている「感情マップ」を作ったことでも知られる
<Text:高橋優璃(H14)/Photo:久保誠>