インタビュー
2017年9月26日

気持ちは谷底に置く。親は子どものチャンスが見えても冷静に┃内村周子の子育て論(前編) (1/3)

 長崎県諫早市の一般社団法人ShuWaアカデミー(スポーツクラブ内村、Shuバレエスタジオ)で子どもたちに体操とバレエを指導する傍ら、東京・渋谷の「渋谷スポーツ共育プラザ&ラボ すぽっと」でも体操教室を月に6講座開催する内村周子さん。

 この東京での体操教室は公式HPで参加申し込みが開示されると即日いっぱいの人気ぶり。その魅力はMELOSでもレポートしましたが、周子さんは子どもたちをとにかく褒める。小さな子どもたちを飽きさせないパワフルな指導。これが超一流のアスリートを育て上げた母の姿なのだと誰もが納得の45分間でした。

 果たして、そんな内村周子さんの子育てとは、どのようなものだったのか。息子で、オリンピック金メダリストである航平選手の小さな頃のお話を交えて、『子育てのヒント』を伺いました。

小さい頃から体操に没頭していた航平選手

−−ご主人と周子さんが経営する体操教室で、航平選手が体操を始めたのは3歳でしたよね。

 はい。でも、航平にオリンピックでメダルをとってほしいとか、もっと体操で強くなってほしいとかは思ったことはないし、今でも思ってません。ただ彼は小さい頃から体操が大好きでした。まだ航平が小学生くらいのときに、体操ばかりしてほしくなかったので、「野球とかサッカーとかもしたら?」と言ったことがあります。ところが、ひとこと「楽しくないからいい。それだったら家で体操の練習をしている方が楽しい」と言うのです。部屋でピンクパンサーのぬいぐるみを使って体操の技をさせて遊んでいたり、学校でも教科書の隅に体操の絵を描いていたり。それをしていないときは寝てばかりいました。

——やっぱり金メダリストは違いますね。

 私には言わなかったけれど、家でも外でもずっと体操のことを考えていたんじゃないかと思います。だから親がそれ以上に体操の話をしてもかわいそうで。主人も私も家に帰ってまで体操の話をしたり、大会前に「今度の試合頑張ろうね」なんて言えませんでした。航平が自分から体操の話をする分には笑って聞いていましたけど。

子どもにストレスを与えない『のびのび教育』

——両親の体操教室で、手も目も届くところで息子さんが体操に打ち込んで成長する姿を見てこられたというのはすごいことですよね。

 そうですね。でも私は、もっとほかのお友達と一緒に体操以外の何かに没頭してくれたほうが、精神的に自立していくんじゃないかとも思っていました。その一方で、どうせいずれ巣立っていくのなら、甘えさせられるうちは甘えていてもいいのかな、と。今思えば、それが良かったのかなと思います。

——それが『良かった』というのは?

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