インタビュー
2023年1月1日

正解はない、親は子どもをよく見てどれくらいなら耐えられるのかを判断すべき 元プロ野球選手・五十嵐亮太(後編)|子どもの頃こんな習い事してました #34 (1/2)

スポーツ界の第一線で活躍しているアスリートに、幼少期の習い事について訊く連載。自身の経験を振り返っていただき、当時の習い事がどのようにその後のプレーに活かされたか、今の自分にどう影響しているかを伺います。

子どもの頃は水泳、ピアノ、そろばん、習字⋯⋯さまざまな習い事を楽しんでいた五十嵐亮太さん。両親の教育方針は「好きなことを続ける」。しかし好きなことをしていても苦しい時期は訪れます。その乗り越え方についてアドバイスいただきました。

前編:どんな習い事も、野球に役立てようと思えば役立つ。絵を描くことも野球に活きた 元プロ野球選手・五十嵐亮太(前編)

「子どもが夢中になって楽しくできていること」こそが喜び

――投手になったのは高校からだそうですね。

小学生の頃にもやっていて、中学3年間は全然やっていませんでした。高校の監督がピッチャー経験者で、僕が入ったときにすぐにピッチャーをやらせてくれて。僕はもともとピッチャーをやりたかったので楽しかったですね。守備が上手いわけでもないし、足が速いわけでもないし、でも肩が強かったので、活かせるとしたらピッチャーぐらいだろうなと思ってたんです。だからその監督に出会ってなかったら、僕はプロ野球選手になってなかったんじゃないかと思います。出会いやタイミングって大事だと思います。

――今、「プロ野球の選手になりたい」と練習に励んでいる子どもやその親御さんに何かアドバイスはありますか。

子どもが夢中になって楽しくできていることに喜びを感じていいと思います。その先はわからないことなので、期待してもどうにもならない。うまくいけばいいけど、そうじゃなかったときにがっかりされても、子どもの知ったことじゃない。親が勝手に期待するのは子どもにとって迷惑な話ですよね。

今、野球を楽しんでいるのは、そういったことに巡り合ったという証拠。そういうことに巡り合えない子どもたちもやっぱりいると思うんです。やりたくてもできないとか、自分に合うものに出会えないとか、いろんな形がある中で、好きなことをやって汗をかいて泣いたり喜んだり、この時間が大事。

運動して心も体も健康な状況で、なおかつ好きなことに夢中になれる。そういった時間を過ごせた子どもは、その先もその経験を思い出して、仕事などに繋げていけるかもしれない。指導や教育は大事ですが、子どもは子どもなりに感じていることがあって、親が教えていなくてもとっくに知っていることもあるので、その辺は緩やかに見てあげたほうがいいと思います。

――そう頭では考えていても我が子にはついアツくなってしまうという方も多いのですが、五十嵐さんご自身のお子さんに対しても「ああしなさい、こうしなさい」と言わず大らかに見守る教育方針ですか。

我が家はそういうタイプ。「好きではないことをやったところで⋯⋯」というのがあるので、逆に、僕があんまり言わなすぎて問題があるかもしれない。もちろん我慢を学ぶことも大事だけれど、子ども時代を振り返ったときに、苦しかった、つまんなかっただけで終わるのは寂しいじゃないですか。なので、子どもが喜んでいる姿さえ見られればOKなんじゃないのかなと思います。

――「夢中になって楽しくできていることに喜びを感じていい」とのことですが、五十嵐さん自身が子どものころを振り返って、強く思い出に残っていることはありますか。

基本、楽しいことばっかり。今の時代は、子どもは勝負だけにこだわらなくていいという考え方もあるけれど、やはり勝ち負けがスポーツの魅力。勝つ喜びや負ける悔しさを感じることで成長に繋がると思う。僕自身、小学生の時に地域の強いチームに勝ったときの喜びは今も覚えています。

子どもが「サボりたい」と言ったとき、親の判断は?

――お子さんはどのような習い事をしていますか?

大学生の娘と中3の息子がいますが、僕がやったような習い事は一通りやりました。2人とも幼稚園から今も続けているのはクラシックバレエ。妻がクラシックバレエをやっていたというのがあって、アメリカにいたときも習っていて、東京に帰ってきてからも続けています。

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