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2017年10月21日

ビリから1位へ成長させる「忍者ナイン」の運動教育とは?(後編)

 「うちの子は運動ができないから……」と悩んでいる親御さんもいるのでは? しかし運動の能力は生まれつきではない、育むことができるもの。スポーツ教室「忍者ナイン」では、将来どのスポーツを始めても対応できる運動能力を鍛えています。

 レッスンによって心や体の成長だけではなく、隠れた才能や新しい可能性、その子に適したスポーツまで分かるのだとか。「忍者ナイン」の運動教育を前後編にわたって探ってきた本企画。後編では、気になるレッスンの中身をご紹介します。

 「忍者ナイン」を運営する株式会社拓人こども未来スポーツ事業本部FC運営部課長の櫻井貴史さんに、「忍者ナイン」流の運動教育を伺いました。

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バトルを通じて運動+コミュニケーション能力を鍛える

 まず気になるのは、コース編成。2歳から小学3年生までを指導しているそうですが、どのように分けているのでしょうか。

「年少から年長までの幼児を対象とした中忍コース、小学校1~3年生向けの上忍コース、そして、2歳児とその保護者による親子コースの3種類のコースがあります」

 親子コースは、運動することの楽しさを教えるための入門編コースだそう。中忍コースと上忍コースは、原則同じ曜日に開催されます。

「中忍、上忍コースはともに80分のコースになります。まず、中忍コースですが、最初の40分で『Ninja300』というカリキュラムを行ないます。前編でご紹介した『走る・跳ぶ・投げる・打つ・捕る・蹴る・組む・バランス・リズム』の9つの運動能力を高める300のプログラムをここで指導していきます。例えば、“走る”という動作なら、35個のプログラムがあり、腕の振り方や股関節の使い方をマスターする練習、そして、それらを連動させる練習などがあります。1回の授業で、だいたい3つのプログラムを実施していきます」

▲基本の動作を練習する「Ninja300」

 後半40分は、前編で紹介した「Ninjaバトル」を実施するそう。

「上忍コースが合流して中忍・上忍混合の9人チームによる対抗試合『Ninjaバトル』を行ないます。前編でもお話したとおり、全員が活躍しないと勝てないルールとなっていて、子どもたちが作戦を考えて対戦します」

 試合内容は「忍者ナイン」ならではのオリジナル競技になっています。

「例えば、2メートルほどのロ-プを5本並べ、両サイドに分かれたチームがロープを引っ張りより多くのロープを取った方が勝ちという、棒引きのようなゲームがあります。9人で5本を取り合うので、足の速い子を遠いところに取りに行く、いくつかのロープは捨てて決めたロープだけを確実に取りに行くなど、子どもたちはさまざまな作戦を練るわけです。また、1本だけ3ポイントのロープを作るなどルールを頻繁に変更するので、そのたびに子どもたちは作戦を考え直していきます。1つのゲームで3、4ヵ月戦った後、チャンピオンのチームを決めます」

▲「Ninjaバトル」では、白熱の試合が展開!

 大人がやってもおもしろそうなバトルですよね! この内容なら運動能力だけでなくコミュニケーション能力も鍛えられそうです。

「『Ninjaバトル』が終了すると、中忍コースはレッスン終了になります。上忍コースはこの後に『Ninja 300』を行ないます。中忍コースの後半と上忍コースの前半が合同で行われる形です」

 兄弟で通わせている保護者にとっては、2つのコースがほぼ同時に行われることで送迎が一度に済むのもポイント高いですね。

スポーツ適性ナビがその子にぴったりのスポーツを提案

 子どもたちの隠れた才能や得意なスポーツを見つけることを理念としている「忍者ナイン」。その方法もスポーツ科学に基づいて行なわれているそうです。

「『忍者ナイン』では、普段のレッスンの他に年に2回『スポーツ適性ナビ』を行なっています。これは、動作分析シミュレーションシステムを使用して9つの運動動作の能力を測定するのです。データ化された子どもの能力とさまざまなジャンルのプロスポーツ選手の分析データなどを照合することで、システムがその子に適したスポーツを提案してくれます」

▲「スポーツ適性ナビ」で、子どもの運動能力を"見える化"

 測定では、数値や記録ではなくある意外なものをチェックしています。

「すべての項目のフォームをチェックし、60点満点でそれぞれに点数を付けます。たとえば、『走る』項目だったら、全力疾走する姿を動画で撮影しフォームをシステムとマッチングすることで体が上手に動かせているか確認します」

 フォームを測定するのには、誰もが納得する理由がありました。

「子どものうちは体格に個人差もありますし、フォームがめちゃくちゃでも体格がカバーしていい記録を出してしまう子もいます。そういう子は、他の子が大きくなり体格が追いついてくると伸び悩んでしまいます。逆に、小さい頃に体が小さくて記録が出せない子でもフォームをしっかり身につけていれば、体が大きくなったときに他の子よりもいい記録を出せるわけです。だからこそフォームが重要なのですよ」

 経過が良ければ将来結果が自ずとついてくるということですね。なんだかまるで人生の教訓を聞いているようです……。

ビリだった徒競走で1位に! 子どもたちに眠る可能性を引き出したい

▲スポーツ科学に基づいたプログラムで、心と体の成長を実感

「忍者ナイン」の指導内容はよく分かりましたが、実際に受講している保護者たちの反応も気になるところです。

「保護者の方からは、運動会のリレーで選手に選ばれた、去年はビリだった徒競走で1位になったなど、さまざまな声が寄せられています。また、内気だった子が人前で発表ができるようになった、一人っ子のお子さんが小さな子を面倒見てあげられるようなったなど、体だけでなく心の成長も感じられる方もいらっしゃるようです。小学生のコースになると、教室の2、3割にサッカーや野球などの特定のスポーツ教室に通っているお子さんがいるのですが、『忍者ナイン』で培った運動能力が役立ち試合でレギュラーに選抜される子もいますよ」

 心と体の成長を目的とした「忍者ナイン」。今までに類を見ないこのスポーツ教室は、教室を飛び出しさまざまなところで授業を展開しています。

「2015年に第一号教室が開講するまで、約4年の年月をかけてじっくりと準備を進めてまいりました。それだけに、皆さんに自信をもってお勧めできるいいプログラムだと自負しております。最近では、地域の教育委員会や学校などで呼ばれて子どもたちに指導したりすることもあります。そのような感じでレッスン以外でも草の根のように『忍者ナイン』が広まっていけたらと考えています」

 最後に、子どもの習い事に悩む保護者の方に向けてこんなメッセージをいただきました。

「メディアで活躍するようなトップアスリートたちは、小さい頃からそのスポーツを習っていたことで世界が注目する功績を残している印象が強いですが、そのようにスポーツ選びが成功した人は実際ごくわずかです。日本では、早くから特定のスポーツを習わせることが多いですが、逆に子どもの可能性を決めつけてしまっている気がします。たくさんの種目に出会い得意なスポーツを見つけることで、子どもの無限の可能性を引き出してあげることができるのではないでしょうか」

 子どもの得意な能力やスポーツを見つけたいのは、親も子も同じ。子どもたちが自信をもって前向きに進める力を、親である私たちが育ててあげたいですね。

《関連サイト》
忍者ナイン
http://www.ninja9.jp/
※レッスン内容は教室によって異なる

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<Text : 岸野智子(H14)>