幼いころからボールを蹴ってきた“エリート”ではない、だからこそ器械体操の経験が自分の武器に。元サッカー日本代表・福西崇史(後編)│子どもの頃こんな習い事してました #10 (3/3)
塾には行かせています。他の子も行っているので、人並み程度にです。勉強に関してはガミガミ言えない。僕自身、子どもの問題集を見ても解けませんから(笑)。
――将来、サッカー選手になりたいと言ったら?
厳しいし、ケガしたら終わりだぞ、ということは言います。「それでも選びたいなら選べ。苦しむことになるかもしれないが、それはお前が選んだ結果だ」と。もちろん手伝えることは手伝います。一般の人よりも手伝えることは大きいでしょうね。ただ、他の競技を選んだとしても、できる範囲では手伝いますよ。
――本人の希望にまかせるという点は、福西さんご自身の父親に似ていますね。
影響ありますね。親への反発があって、自分が親になったら違う育児をしようという人もいるかもしれないけど、僕は父を尊敬しているし、いいところは見習っていこうと思っています。ただ、僕はすぐ怒っちゃうので、それは気をつけないといけないですね。目を見て挨拶しないとか声が小さいとか、それでもう、すぐにイライラしちゃうんですよね。
――最近は、サッカーはできるだけ小さいころに始めないと……と考える親御さんも多いと思います。
僕は小学4年生から始めて、本格的に練習しだしたのは中学から。「もっと小さいころからやってたらどうなっただろう」と思うことはありますが、勝負は始める時期ではなく、これからどうするかということだと思います。
親御さんは、本人の気持ちを大事にしながら、今後どう手伝っていくかを考えるといいのでは。尻を叩いて伸びる子もいれば、自由にさせたほうが伸びる子もいる。子どものことは親が一番よく知っているはず。
――サッカーをがんばってきた子どもが「もうやめたい」と言い出したらどうすればいいですか。
何が原因か、本人がどういう思いでサッカーをしてきたか、周りがどれくらいサポートしてきたか、過程も含めてまず話すこと。その上で、最後に決断するのは、やはり子ども自身だと思う。もしかしたら違う道に才能があるかもしれませんしね。やめると決めてそのケアをするにしても、続けようと思い直して応援するにしても、やはり何よりも親子のコミュニケーションが一番大切だと思います。
▼前編はこちら
小学生のころはサッカーよりも体操、夢はオリンピック金メダリストでした。元サッカー日本代表・福西崇史(前編)【子どもの頃こんな習い事してました #10】 | 子育て×スポーツ『MELOS』
[プロフィール]
福西崇史(ふくにし・たかし)
1976年生まれ。愛媛県出身。サッカー解説者、指導者。小学4年生のときにサッカーを始め、愛媛県立新居浜工業高校在学時に高校総体に出場。高校卒業後ジュビロ磐田に入団、総合的に優れた身体能力でジュビロ黄金期を支えた。その後、FC東京、東京ヴェルディで活躍。1999、2001、2002、2003年、Jリーグベストイレブン選出。2002年、2006年に日本代表選手としてFIFAワールドカップ出場。2009年現役引退、Jリーグの功労選手賞を受賞。2016年3月、Jリーグの特任理事に就任。
<Text:安楽由紀子/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:玉井幹郎>