甘やかされて育った人に共通する傾向とは。臨床心理士監修 (2/2)
甘やかされて育つと、大人になってこんな場面で困りやすい
甘やかされて育った傾向は、社会に出てから具体的な場面でつまずきとして表れることがあります。代表的な3つのシーンを見てみましょう。
1.仕事で注意・指摘を受けても改善しにくい
これまで叱られたり否定されたりする経験が少ないと、上司や同僚からの指摘を「攻撃された」「周りが悪い」と感じやすくなります。
本来は成長のためのアドバイスでも、強く落ち込んだり、反発したりしてしまい、フィードバックを受け止めるのが難しくなることがあります。
また、自分中心に物事を考えやすいため「そこまででもないだろう」と軽く受け流し、改善への意識が働かない傾向も見られます。それにより周囲の信頼を失ったり、スキルアップの機会を失うことも。
2.地道な下積みや雑務に不満を抱きやすい
すぐに評価や成果を求めてしまい、「なぜ自分がこんな仕事を」と感じて、地味な作業を続けられないことがあります。結果が出るまで努力を積み重ねる場面で、もどかしさを抱えやすいタイプです。
3.恋愛でパートナーに求めすぎてしまう
「自分の希望は満たされて当然」という感覚が残っていると、恋愛でも相手に多くを期待し、尽くしてもらうことが前提になりがちです。相手の事情や気持ちへの配慮が後回しになり、関係が一方通行になってしまうことがあります。
いずれの場面も、「相手が悪い」「環境が悪い」と感じやすいのが特徴です。しかし、他責思考ではなく「自分にできることはなかったか」と振り返る習慣を持つだけで、つまずきはぐっと減っていきます。
甘やかされて育っても改善できる?
甘やかされて育った傾向は、年齢に関係なく改善できます。ポイントは、「気づき」と「小さな経験の積み重ね」です。ここでは、身近に思い当たる人がいて困っているときと、自分自身に思い当たるときに分けて紹介します。
身近に「困ったな」と感じる人がいるとき
身近に、甘やかされて育った傾向のある人がいて困っているときは、次のような関わり方が役立ちます。
何でも肩代わりしない
よかれと思って手を出し続けると、本人が経験から学ぶ機会を奪ってしまいます。本人ができることは、本人に任せましょう
境界線を引く
「これは引き受けるが、これはあなたの役割」と、線引きを言葉で伝えます。曖昧にすると、依存が強まりやすくなります
結果を本人に体験させる
失敗やその結果を、過度に守らずに本人に経験させることも成長のためには必要です
責めずに、事実を伝える
人格を否定するのではなく、「この行動がこういう影響を生んでいる」と具体的に伝えるほうが届きやすくなります
ただし、相手を「変えよう」とコントロールするのではなく、「自分はどこまで引き受けるか」を整えるのが基本です。変わるかどうかは、最終的には本人次第だからです。変わらないことによるデメリットは本人が引き受けることです。
「もしかして自分かも」と感じたとき
「自分は甘やかされて育ったかもしれない」と気づけたなら、それはすでに大きな一歩です。自覚することがもっとも難しいからです。次のような工夫から始めてみましょう。
「思いどおりにならないこと」に慣れる練習をする
小さな我慢や不便を、あえて避けずに経験してみる。耐性は、少しずつ育てることができます
小さな責任を引き受ける
「自分で決めて、結果も引き受ける」場面を意識的に増やすと、自立の感覚が育っていきます
指摘を「敵」ではなく「情報」として受け取る
注意されたときは「成長のヒントかもしれない」と捉え直してみましょう。改善方法が分からなければ相談してみましょう
相手の立場を想像する習慣を持つ
「この人は今どんな状況だろう」と考える癖をつけると、自分中心の視点から少しずつ抜け出せます
感謝を言葉にする
助けてもらったことを「当たり前」にせず、言葉にして伝えるだけで、人間関係は大きく変わります
「なんで私がしないといけないの?」と思ったときは要注意!
してもらって当然という考えが染み付いている証拠。「なんで私が?」と思ったときには「人生、何事も経験」「勉強させてもらいます」と言い換えるといいかもしれません。
このスキルが高まると、パートナーとのトラブルや子育てでのイライラの軽減にもつながります。将来のために、今から練習しておくという心持ちで取り組んでみてください。
監修者プロフィール
鎌田怜那(かまだ・れいな)
一般社団法人マミリア代表理事。臨床心理士、公認心理師。
【所属学会・協会】
・日本臨床心理士会
・日本公認心理師協会
・日本心理臨床学会
・日本アタッチメント育児協会
公式サイト https://mamilia.jp/
<Text:外薗 拓 Edit:MELOS編集部>










