インタビュー
2017年12月4日

翼は、サッカーの申し子。永遠に10番です。高橋陽一先生が語る『キャプテン翼』に託した夢(後編)│熱血!スポーツ漫画制作秘話 #2 (2/3)

基本はなんとなくこの試合はこっちが勝つんだろうなというところから始まっていますが、それが何対何になるのかはわからないですね。思ってたより点が入ったり、あるいはなかなか入らなかったり(笑)。試合の結果自体が変わったのは中学の決勝、南葛対東邦が初めてですね。あの試合は最初、翼を勝たせるつもりだったんですけど、あれだけ頑張ってる日向小次郎がかわいそうになってきて。その日向の頑張りが、両校同時優勝という流れを呼び込みましたね。

——やはり選手の頑張りは時として大きな力を産むんですね。これまで先生は数え切れないくらいの試合を描かれてきましたが、その中でも特に印象に残っている試合を3つ挙げていただけますでしょうか?

先ほど話題に上がった、南葛対東邦がまず1つですね。それと『ROAD TO 2002』のときのバルサvsレアル・マドリーのクラシコ。これは翼をバルサに入団させたときに自分がいちばん描きたかった試合なので、壮絶な試合展開になったのはご存知の方も多いと思いますが、この試合を描き切れたという部分で印象に残ってます。

あとは、一番最初の南葛vs修哲の対抗戦が何よりも印象に残っています。やっぱり何も手本になるものがない中で、自分なりに考えて1試合描き終えたときに、サッカー漫画ってこうやって描けばいいのかなというのをつかめたという手応えが自分の中で自信にも繋がりましたので。他にも南葛vs武蔵や比良戸戦など、好きな試合はたくさんあります。

「翼は、永遠に10番です」

——試合とともに、数々の必殺技も作品の魅力のひとつですが、技のインスピレーションというのはどこからきているのでしょうか?

まずはこういう技ができたら楽しいなというところからスタートしてますね。現実にはできなくても漫画の世界ならできちゃうので。あとは昔から、他の競技を参考にしたりというのはありますね。若島津健の三角飛びは空手ですし、プロレスの合体技とか空中殺法とかもそうですね。

——先生は最近でもプロレスは観られているんですか?

未だに観てますよ(笑)。特定の団体とか誰かを追いかけてるというわけではないですが。最近だと新日本プロレスのウィル・オスプレイはなかなかすごいですよね。

——おお! 今後オスプレイからインスピレーションを得た技が登場するかも……!? ただ、最近はテクニックの部分などでいうと現実がものすごく進化していて、漫画を超えちゃってるんじゃないかと思う瞬間もあります。

漫画みたいだなと思う瞬間もありますよね。偶然ですけど反動蹴速迅砲とかツインシュートなんかは実際の試合で観れることもありますし、フェイントの技とかも『どうやってるんだろう、これ』と思うものも出てきてますし。なので実際の試合を観ていて、逆に漫画に取り入れたくなるものも多いですよ。無回転シュートなんかもそうでしたし、綺麗なコンビネーションのパス回しとかもみていても、そう思いますよね。

——これは技ではありませんが、翼の“南米式ドリブル”。このドリブルのイメージは、実際の選手に例えるとどの選手に近いでしょうか?

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