江戸の人々も体幹を鍛えていた?北斎ヨガの魅力にせまる(後編)
生涯に渡り3万点を越える作品を残したという葛飾北斎。そのユーモア溢れる作品の数々は、かの有名な画家ゴッホやセザンヌに影響を与えたともいわれています。そんな北斎が描いた生き生きとした江戸の人々にインスパイアされて生まれた「北斎ヨガ」。
後編では、前回教わった「肚」を意識したエクササイズに加え、北斎ヨガ独特のユニークなポーズを教えていただきます。
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「肚」をいかに意識するか。体幹の強化に繋がるポーズの数々
前編で教えてもらったとおり、ポーズを行なう上で、常に自分の肚に意識を集中させることが、北斎ヨガのポイントのひとつ。肚を使っていないとすぐにグラついてしまいます。さまざまなポーズにチャレンジして、肚の使い方に慣れていきましょう。
◆大地を踏みしめるポーズ
四つんばいになり肘を曲げながらグッと膝を伸ばしていき、お尻を天井へ突き出していくイメージで行なうポーズ。
体重を支えるために腹筋や肩の筋肉を使うのでとてもきつかったです。2人で背中合わせで行なってみると、北斎の絵にそっくり! とても面白いポーズですね。
◆耳つかみポーズ
あぐらを組み、深呼吸しながら腕を内路から回し、反対側の耳をぐっと引っ張っていきます。もう片方の手で下から耳をつまみ、両耳が引っ張られた状態でキープ。
骨盤を床と垂直になるようイメージすると自然と背筋が伸び、姿勢が良くなりました。肩甲骨の筋肉を動かしたり、脇や首を伸ばしたりするので、肩こりにも効くそうです。耳には全身のツボがあるので身体の巡りを良くする効果も期待できますよ。
◆うちわのポーズ
うちわを持った女性の絵がモチーフの、骨盤や背中を意識するポーズです。姿勢を崩さず首を傾けながら膝を曲げていきます。
優雅なポーズに見えてお尻や太ももの筋肉をしっかりと使っているので、見た目よりもハードでした。腰を少しひねる形なので、キープするのがかなりきつい! でも、表情は余裕のこもった微笑みを……。
◆怪力美女のポーズ
片足だけで暴れ馬の紐を抑えている女性の絵がモチーフ。当時実際に実在した女性がモデルなんだそうです。
下半身の筋肉だけでなく、腕の筋肉にもジワジワと聞いている感じがしました。太ももの内側から骨盤にかけての筋肉を使うことで、女性ホルモンの活性化にも繋がっていくんだとか。
◆弓矢のポーズ
背筋を伸ばしながら足を大きく開き、膝を落としていきます。目線の先に的があり、その的に向かって吹き矢を跳ばすイメージで息を思いっきり「フッ!」と吐きます。
目線の先を一点に定めることで集中力を高める効果があるとのこと。実際に精神が落ち着き、ゆったりとした気分に。肚が前に出ないように意識して腰を落とすので、太ももの前側が鍛えられている感覚がありました。
◆蹴鞠のポーズ
胸を大きく開き、片足ずつ大きく上へ蹴り上げていきます。手が下がらないようにしっかりとキープすることが大事です。
リズムよく動かすことで、腸を活性化させる効果があるそうです。腸にはハッピーホルモンと呼ばれるセロトニンを分泌させる働きがあるとのことで、「ヨッ、ホッ」と声を出しながらずっと続けていると何だか本当に楽しい気分になってきました(笑)。
◆ケンパのポーズ
昔の人がケンケン相撲をしていた時の絵のようです。内ももを寄せながら片足首を持ち、バランスを保ちます。
「ハーーー!」と大きな声を出しながらの2人での押し合いっこは、とても難しかったです。ももの前側を伸ばすことで胃の調子を整える効果があるんだとか。また片足でバランスを保つことで、足腰の強化に効果が期待できます。
北斎ヨガを体験して、江戸の人々が活発に身体を動かして生活していたことがわかり、また、「肚」の重要さを強く感じました。肚の概念は今でいう体幹に近いので、今回教わったことを日々の生活の中で意識しながら過ごしていけば、体幹の強化にもつながりそうです。
今は『北斎漫画』の中でも人物画をモチーフにしている北斎ヨガですが、「今後は人物画だけでなく、動物や植物などの動きも北斎ヨガとして展開していきたい!」とオカザキさん。まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような感覚にさせてくれる北斎ヨガを、みなさんもぜひ体験してみてはいかがでしょうか。
[プロフィール]
オカザキ恭和(おかざき・やすか)
神奈川県生まれ。大学卒業後、仕事の息抜きとして始めたダンスがきっかけで身体表現、ダンスに関心を寄せコンテンポラリーダンスやヨガに取り組む。すみだの下町にあるアトリエ兼アートスペースyahiro8(ヤヒロエイト)を拠点に、町と町の人々とつながるイベント公演や企画を中心に活動中
[HP] http://hokusaiyoga.com/
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<Text:こいけおとふみ(オフィス・サウス)/Edit:アート・サプライ(丸山美紀)/Photo:玉井幹郎>