ランニングの“ロング走”を楽しむ秘訣を、長距離ランナー村場伸也さんに聞いてみた (2/2)
「私の場合、ランニングフォームのお手本にしているランナーが4名います。辛くなってきたときは、そのランニングフォームをイメージし、1つ1つ見直しながら立て直しますね。走るのが厳しければ、まず早歩きから。徐々にジョギングへ繋げて、丁寧に一歩一歩進んでいきます。原点に帰って走りを見直す、つまりスタートした時の気持ちに戻るとも言えるかもしれません。これまで一緒に走ってきた人から学び、良いと思ったことは真似ましょう。お手本が複数あれば、走ることのルーティンを変えながら前へ進むことができます」
辛いときというのは、確かにランニングフォームも崩れてしまっています。その崩れがさらに負担を増やし、悪い循環を生み出してしまうでしょう。身近なランナーでもトップアスリートでも、自分の中でお手本とできるランニングフォームを見つけておくのは、安定して走り続けるうえでも支えとなるかもしれません。自分の走りを見直し、できることを見つけて取り組む。そうすれば“走る”ことに心を向き続けられることでしょう。
「どんな走りをするかは、その人の自由なんですよ。だから、自分らしいレース、走りを心がけたら良いと思います。たとえば私の場合、どんなにしんどくても笑顔で走ります。『本州縦断・青森~下関1521kmフットレース』に出場した際も、道中で見つけた変な看板と写真を撮るなどして、笑いを絶やさず走り続けました。辛いときこそ、走る以外のことに気持ちを向け、頭を切り替えると良いかもしれませんね。特に下らないことほど良いと思います」
確かに私もウルトラマラソンを走っている際、周囲の景色に目を向けたり、レースとは全く関係のない仕事のことなどを考えたりしていると、いつの間にかかなりの距離を進んでいたという経験があります。走ることは身体の運動ですが、やはり脳も大いに関わっているのでしょう。走ることが辛ければ、走ること以外のことを考える。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
そのほか、レースに挑戦する際には、事前にレースを想定した装備で走ってみることも大切とのこと。例えばバックパックは、同じ荷物でも詰め方で感じる重さが異なり、ランニングフォームにも影響を与えるそうです。細かな調整を行い、実際に走りながら自分なりにしっくりくる方法を探す。こうした過程もまた、楽しみの1つと言えるのではないでしょうか。
[プロフィール]
村場伸也(むらば・しんや)
1971年生まれ、大阪府出身、高知県在住。小学4年生から社会人2年目までは、短距離(100m/幅跳び)選手として活躍する。その後、2007年よりランニングを始め、ウルトラマラソンを中心にさまざまな超長距離レースへ挑戦。2017年に「本州縦断・青森~下関1521kmフットレース」を走破。現在は高知県内のフィットネスジムでトレーナーとして活動中。
[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com
<Text&Photo:三河賢文>
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