2018年4月19日

e-Sportsやパラグライダーも!アジア版オリンピック「アジア競技大会」の魅力・歴史・実施種目とは

 2018年8月にインドネシア・ジャカルタで開催されるアジア競技大会。「アジア地域のオリンピック」とされるビッグイベントですが、オリンピックでは開催されないマイナー競技(スカッシュ・カバティ・セパタクローなど)が多数行われるのが特徴です。大会の歴史や、どのような種目が行われるのか、その概要をご紹介しましょう。

アジア大会の歴史

 アジア競技大会(以下、アジア大会)は、アジア・オリンピック評議会(OCA)が主催するアジア地域を対象にした国際総合競技大会。1951年の第1回夏季大会(インド・ニューデリー)から始まり、冬季大会は1986年に札幌で初開催されました(原則4年ごとに開催)。日本では夏季が2回、冬季は4回も開催されており、冬季大会については全8回のうち半分を日本が占めていることになります。

<日本開催年と2000年以降の開催地>

◎夏季大会
・第3回(1958年):日本/東京
・第12回(1994年):日本/広島
・第14回(2002年):韓国/釜山
・第15回(2006年):カタール/ドーハ
・第16回(2010年):中国/広州
・第17回(2014年):韓国/仁川
・第18回(2018年):インドネシア/ジャカルタ

◎冬季大会
・第1回(1986年):日本/札幌
・第2回(1990年):日本/札幌
・第5回(2003年):日本/青森
・第6回(2007年):中国/長春
・第7回(2011年):カザフスタン/アスタナ・アルマティ
・第8回(2017年):日本/札幌

 インドでの第1回大会では戦後間もないということもあり、実施競技は陸上と水泳(競泳・飛び込み・水球)、サッカー、バスケットボール、ウエイトリフティング、自転車のわずか6競技のみ。この大会には日本も参加しており、全57種目中24種目で金メダルを獲得するという成績を収めました。

 その後、東京五輪の6年前にあたる1958年に、初の日本開催(東京)が実現。少しずつアジア大会は活気にあふれていきます。特に1986年のソウル大会以降は競技数・種目数が劇的に増え、アジア大会ならではといえる多種多様な競技が展開されるようになりました。

<1982年以降の競技数、種目数の変化>

・1982年ニューデリー大会:21競技、196種目
・1986年ソウル大会:25競技、269種目
・1990年北京大会:29競技、313種目
・1994年広島大会:34競技、337種目
・2014年仁川大会:38競技、439種目
・2018年ジャカルタ大会:42競技、484種目

アジア大会ならでは! たくさんのマイナー競技を実施

 アジア大会の魅力といえば、五輪では見ることのできないマイナー種目にあふれていること。日本ではなじみの薄い競技ばかりですが、ヨーロッパや南アジアでは大人気のスポーツであるケースもあり、アジア大会の正式競技として採用されています。ここでは、その代表例として一部をご紹介しておきましょう。

<スカッシュ>

 テニスのようなラケットを用いる、イギリス生まれの室内球技。四方を壁に囲まれたコートと小さいゴムの球を使用し、2名(ダブルスは4名)がラケットを使用してボールを交互に打ち合います。公益社団法人日本スカッシュ協会によると、世界185か国約2000万人がプレイしているとのこと。競技スポーツとしてだけでなく、生涯スポーツとして誰でも楽しむことができるのが特徴です。

<カバディ>

 南アジアで長い歴史を持ち、アジア大会には1990年から採用。ひとことで説明すると「集団鬼ごっこ+格闘技」のような競技で、コート内でさまざまなテクニックを駆使して相手をタッチして得点を重ねます。レイダーと呼ばれる攻撃者は「カバディ、カバディ」と言い続けなければいけないという珍ルールが有名ですが、高度な戦術や反射神経などが必要とされる奥が深いスポーツです。

<セパタクロー>

 いわゆる、サッカーとバレーボールが合体した球技。頭と足を使ってバレーボールをプレイする、とイメージすればわかりやすいでしょう。コートやネットの高さはバドミントンと同じで、選手はキックとヘディングのみで相手コートにボールを落とさなければいけません。華麗なオーバーヘッドキックは、観るものを魅了すること間違いないでしょう。

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<クリケット>

 名前は聞いたことはあるけれど、ルールまでは知らないという人が多いのではないでしょうか。しかし実は、サッカーに次いで世界2位の競技人口を誇る人気スポーツです。ヨーロッパで野球が広まらないのは、クリケットがそれだけ人気を博しているからだと言われているほど。内容は野球に似ており、投手が投げるボールを打者が打って得点を稼ぎます。しかし細かいルールはまったく異なり、ファウルゾーンがない、10アウトまである、捕手以外は素手で守るなど、日本人にはなじみの薄いものとなっています。

<パラグライダー>

 2018年大会から新種目として採用された競技。種目は「アキュラシー」と「XC(パイロン)レース」と呼ばれるもので、前者はランディング(地面に着陸すること)の精度を競う競技、後者は決められた地上の目標を決められた順番に巡回し、その時間や達成度を競います。

2022年大会から「e-Sports」が正式種目に

 さらに2022年大会には、「e-Sports」と呼ばれる対戦型競技ゲームが正式種目として認定。今年8月の第18回大会では、デモンストレーション種目として実施されることになっています。いったい、どのような盛り上がりを見せるのでしょうか。

 五輪とはひと味違った趣を持つ「アジア大会」は、2018年8月18日~9月2日までの期間で開催されます。

参考サイト
日本オリンピック委員会(JOC)アジア競技大会
公益社団法人日本スカッシュ協会
日本カバティ協会
一般社団法人セパタクロー協会
日本クリケット協会
パラグライディング競技委員会

<Text:松永貴允/Photo:Getty Images>