フィットネス
2018年8月14日

ランニング超初心者が描いた、フルマラソン挑戦記『マラソン1年生』|スポーツがしたくなる今月の1冊

 暑い夏場は、どうしても外に出ることが億劫になりがち。すっかり運動不足になり、夏が終わる頃には太ってしまう……。そんな経験をしたことのある方は、おそらく多いことでしょう。炎天下での運動は危険とはいえ、スポーツジムや自宅でも取り組める運動はたくさんあります。ぜひ、やる気を引き起こして運動しましょう! 今回は、「自分も運動してみようかな」と思える1冊『マラソン1年生』(著者:たかぎなおこ/出版:KADOKAWA/メディアファクトリー)をご紹介します。

運動不足な作者のマラソン挑戦記

 本書は著者・たかぎなおこさんがランニングを始め、フルマラソンを走るまでの挑戦記。走り始めたキッカケから取り組み、そして走る中で感じたことなどが綴られています。オススメしたい理由の1つが、著者の運動経験です。子どもの頃から運動が得意ではなく、運動不足からフルマラソンを目指し始めたとのこと。そのため、特にこれから運動を始めようという方にとって、より身近なストーリーとして楽しめることでしょう。

 マラソンに関するノウハウ本は、世の中に数多くあります。しかしトップアスリートや指導者による著書はとても専門的かつ参考になる反面、「自分には難しい」「この人だからできること」など、どこか他人事に感じてしまいがち。なかにはハイレベルなトレーニング論を読んでいきなり実践してしまい、かえって怪我・故障に繋がった……なんていう声も聞きます。その点、本書で綴られている取り組みは等身大のもの。多くの方にとってすぐ実践でき、また共感しながら読み進められる内容です。ランニングを始めて感じたこと、抱いた不安などが重なることも多いはず。そのため、ランニングを始めるキッカケの1冊として、多くの方に愛読されています。

読んでいて楽しいイラストや写真が満載

 著者のたかぎなおこさんはイラストレーター。そのスキルを発揮し、親しみやすく楽しげなイラストが盛りだくさんです。多くはコマ割りされた漫画のようになっており、「本を読むのは苦手」という方も楽しめます。そのほか、レースの模様や食べ物、景色などは写真も挿入されています。著者が走りに訪れた場所の写真は、見ているだけで自分も行ってみたくなるかもしれません。イラストや写真が多いと、読みながら話の情景がイメージしやすいでしょう。

 また、ストーリー性もありますので、著者の体験を頭に思い描きながら読み進めると、楽しさが倍増します。それが結果的に運動意欲をかき立て、「ちょっと運動しようか」「自分もランニングを始めてみようか」なんて考えるキッカケになりそうです。

 なお、続編となる『マラソン2年生』ほか、ランニング旅をテーマとした本なども出版されています。気に入った方は、ぜひそちらも読んでみてはいかがでしょうか。

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[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

<Text:三河賢文/Photo:Getty Images>