2018年11月20日

著名トレーナーが教える『マラソンで絶対にしてはいけない35のこと』│スポーツがしたくなる今月の1冊

 いよいよマラソンシーズンが到来。自己記録の更新を目指す方はもちろん、はじめてマラソンに出場するという方も多いことでしょう。大会本番に向けて、練習や勉強を続けている方は少なくないはずです。書店に足を運ぶと、山ほどランニングに関する本があります。しかし、あまりに数が多いため、どれがいいのか迷ってしまうのではないでしょうか。そこで今回は、マラソンランナーにオススメの書籍『マラソンで絶対にしてはいけない35のこと』(著者:中野ジェームズ修一/出版社:講談社)をご紹介します。

逆説的に学ぶランニングのハウツー

 世の中にはさまざまなランニングメソッドが存在し、書籍ではその方法論を記されたものが多く見られます。「●●すれば速くなる」「怪我を防ぐには▲▲しよう」など。本書もまた、ランナーにとっていわゆるハウツー本であることは変わりありません。しかしタイトルからも分かる通り、“何をすればいいのか”ではなく“何をしてはいけないのか”という逆説的な内容となっています。

 たとえば食事なら食べてはいけないもの、ストレッチで行ってはいけないものなど。読み進める中では、これまで普通だと思って行っていたものが、実はやってはいけなかった……という発見があることでしょう。そして本書では、それらを35個に絞って、理由とともにくわしく解説しています。1つ1つ自身の行動と照らし合わせ、チェックしながら読み進められるはずです。

レース前から当日、走った後まで。かゆいところに手が届く

 マラソンで大切なのは、レース本番だけではありません。前日の準備から当日スタートするまで、あるいはゴール後にも注意すべき点がたくさんあります。もちろん、日々の練習で心がけたいこともあるでしょう。本書ではそうしたタイミングごとに章分けし、「してはいけないこと」について解説されています。

 大会当日に本書を持って出かけ、移動しながらスタートまでの動きを確認する。タイミングごとに開くべきページが分かれているため、身近なバイブルとして活用しやすいはずです。

動きはイラストや写真で解説!

 ストレッチのように動きのある内容は、文章だけだとイメージしきれません。そのため、本書では具体的な動きについて写真やイラストを添え、「どうすればいいのか」「何がダメなのか」が分かるように工夫されています。なお、著者はadidas(アディダス)のアドバイザーであり、トレーナーとして有名な中野ジェームズ修一氏。写真では、自らが出演して動きを体現されています。そのため、細かな動き1つ1つにおいても参考になる部分が多く、信頼性も高いでしょう。

 マラソンは独学でトレーニングに取り組んでいる方が少なくありません。もちろん、自ら考えて実践することはすばらしいのですが、中には誤った方法で、かえってパフォーマンスを低下させているといったケースが見られます。これはトレーニングのみならず、大会前後やレース中の過ごし方なども同じ。その行動を変えるだけで、目標に近づけるかもしれません。本書はこれまでの行動を見直し、軌道修正するためにオススメできる1冊です。

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

<Text:三河賢文/Photo:Getty Images>