求められるのは、スピード、パワー、アジリティ。アメフトの身体能力テストを現地アメリカで取材してきた (2/2)
中高生の若い選手たちが集まり、身体能力テストを受ける
会場となったロングビーチ市立大学のフットボール場には何百人もの若い選手たちが集まり、いくつかのグループに分かれて以下の身体能力テストを受けました。
・40ヤード(約37メートル)走
・垂直跳び
・20ヤードのシャトルラン
・膝を地面につけた状態でのボール(2.7キロ)投げ
発育途上の中・高校生たちですから、重量の重いベンチプレスは行われません。ただし、求められている能力は基本的にNFLと同じ。つまり、スピード、パワー、アジリティの3ポイントです。こうして集められた結果が、中学生なら高校のコーチ、高校生なら大学のコーチに共有され、選手たちの奨学金などを左右します。
結果は競技パフォーマンスに直結するか
NFLスカウティング・コンバインの1番のメリットは、各地でプレイする選手たちを同じ条件下でテストすることによって、より公平な能力比較ができるという点です。時間と費用を大幅に節約できる経済的側面も見逃せません。
一方、こうしたテスト結果がアメフトの競技パフォーマンスに反映するかどうかについては、疑問を呈する声も少なくありません。コンバインの結果がよくても、プロ入り後に結果が出なかった選手もおり、その逆もまたしかりです。
有名な例として、NFL史上最高QB(クォーターバック)の呼び名も高いトム・ブレイディ(ニューイングランド・ペイトリオッツ)選手は、コンバインでの記録が平均以下で、その年のドラフトでは6巡目(全体199位)という低い評価でした。しかしその後、スーパーボウルを6回制覇したブレイディの活躍は周知の通りです。とはいえ、今後もNFLスカウティング・コンバインの結果には引き続き注目が集まりそうです。
[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
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<Text & Photo:角谷剛>