カギを握るのはフェースコントール【マーク金井のゴルフの基本&上達話 #3】
みなさんは、ゴルフはなぜ難しいか、考えたことがありますか? 難しいからおもしろいと思うのですが、僕なりに理由を考えてみて出した結論は、ゴルフが難しいのは、大きく2つの要素があるからではないかと思います。
スコアアップに必要な要素は!?
ゴルフには、野球におけるホームランのように、できる限り遠くへ飛ばす局面もあれば、定められた距離を正確に狙う局面、そして傾斜を読んで、ボールの転がりを考え、108mmしかない狭い穴にボールを入れる繊細さが必要になります。そしていろいろな局面で、使う道具が異なるのです。
300ヤード飛ばしても1打、カップの縁に止まった1cmのパットも同じ1打。いくら大胆に飛ばしても、繊細なパットが上手くできなければ、そこで打数が増えてしまい。本来の目的である少ない打数でカップインすることができなくなります。
ただ遠くへボールを飛ばすだけでは、スコアにつながりません。野球のように広いスタンドに打ち込めばホームランというわけにはいかないし、テニスのように狭いエリア内にボールを打ち込むという正確さを求められつつ、できる限り遠くへ飛ばし。最後に繊細なタッチが要求されます
それぞれの距離に応じてクラブが変わることも、ゴルフを難しくする要素ですが、どの番手のクラブでも、まずはボールを狙ったところへ、できるだけ遠くへ飛ばすことを覚えることが、上達の近道となります。距離やコントロールの必要はありますが、基本的に遠くへまっすぐ飛ばすことができれば、ゴルフは簡単になります。
ゴルフに近いスポーツって何だろう!?
「ボールを狙ったところに飛ばしたい」とゴルフを始めたばかりの人が、イメージするのは、野球のバッティングではないかと思います。野球経験者は、確かにボールを遠くに飛ばせる人が多いです。しかし飛距離は出るものの、狙ったところに飛ばせない人が少なくありません。特にスライスに悩む野球経験者はとても多いです。
僕は、野球よりもテニスとか、卓球などの方が、ゴルフに近いと感じています。それはゴルフボールを、狙ったところに飛ばすには、フェース(面)の向きのコントロールをすることが大切だからです。そしてフェースを上手く使うことで、方向性を保ちつつ、遠くに飛ばすことができるからです。
しかしテニスや卓球よりも、ゴルフが難しく感じるのは、ボールを打つフェースが、テニス、卓球に比べると、はるかに身体から遠いからです。フェースの向きのコントロールを覚えることが、ゴルフ上達の近道です。
ゴルフ上達の鍵は、フェースのコントロールを覚えること
ではバットより長く、フェースが身体から離れているフェース面をどうやってコントロールしたら良いのでしょう。その鍵を握っているのは、両腕の使い方です。ゴルファーのほとんどが、スイングする時、両腕を野球のように使っています。
どこがおかしいの? と思う方がほとんどかもしれません。しかしグリップ位置は先行して、ヘッドは身体から遅れてしまっています。「振り遅れ」という言葉を聞いたことがあると思いますが、この状態が振り遅れです。このバットをクラブに持ち替えると。次の写真のようになります。
両腕をボール方向に振り出すとこの形になってしまい。フェースが開いてインパクトを迎えます。フェースが開いてインパクトすると、ボールは右に飛び出してスライスしてしまいます。それを防ごうとすると、強引に飛球線左方向に引っ張り込む必要があり、アウトサイドインのカット軌道になります。
フェースコントロールの極意は、クルマのハンドル操作にアリ!?
振り遅れを防ぐためには、両腕を同じ方向に使っていけません。ではどうすれば良いのでしょう!? そのコツはクルマのハンドル操作にあります。ハンドルを左に切る動きを思い出してください。その時に左腕は右方向へ、右腕は左方向へ動きます。このハンドルの動きを、クラブを使ってマスターしましょう。
まずはクラブをグリップして体の正面に構えます
テイクバックでクラブを右に傾けます
そこからクラブを左へ傾けてください
簡単ですよね。これは両腕の使い方です。この動きのコツですが、両手の間を支点として左右の握りこぶしを逆方向に動かして下さい。左右の握りこぶしが逆方向に動くことで、右手が左手を追い越すようにするのです。練習場に行かなくても、自宅でこの動きを繰り返すことで、フェースの面をコントロールできるようになります。
クラブを持ってこの動きをやってみると、インパクト以降ヘッドが身体を追い越していくのがわかると思います。この動きをマスターすることができれば、ボールを遠くに正確に飛ばすことができます。インパクト以降で肘が引けてスライスすることもなくなります。
いつまでも、クラブをバットのように振っていると、上達は遅れるばかりです。まずはこの両腕の使い方を徹底的に練習することで、フェースの面画コントロールできるようになり、遠回りすること無く上達できます。ぜひ試してみて下しださい。
[著者プロフィール]
マーク金井(まーく・かない)
クラブアナリスト。ゴルフ誌だけでなく、TV、ラジオなどさまざまなメディアで活躍する、自称「ゴルフ芸人」。ハンデ3の腕前と豊富な知識を活かした、わかりやすい試打レポートには定評がある。最近はクラブ設計者としても活躍、メーカーが作れなかった、アマチュアを救うクラブを設計。悩めるゴルファーのために自らゴルフスタジオ・アナライズを主宰している。最近発売した電子書籍「一生役立つゴルフ」シリーズ3部作は、アマチュアゴルファーを救うコースマネジメントや考え方が話題となり、電子書籍としては、記録的な売上を記録して、書籍として発売される
■ANALYZ
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<Edit:松田政紀(アート・サプライ)/Photo:マーク金井>