インタビュー
2017年9月7日

アップアップガールズ(仮)・佐保明梨「念願の黒帯をとれて、ようやく自信を持って空手を披露できるようになった」(後編)│アイドルと、スポーツと、青春と。#3 (1/3)

 スポーツにガチで打ち込んだ経験を持つアイドルに、その思い出や競技の魅力について語ってもらうインタビュー連載「アイドルと、スポーツと、青春と。」。

 第3回は、7人組“アスリート系アイドル”グループ「アップアップガールズ(仮)」の佐保明梨さん。小学校3年生で空手を始め、2016年には初段で黒帯を取得。ライブのステージで空手の型や、バット、瓦、氷柱割りを披露したこともある“空手アイドル”として活躍しています。

前編はこちら

アップアップガールズ(仮)・佐保明梨「黒帯の上級生たちがモーニング娘。とは違った意味でキラキラしていて憧れた」(前編)│アイドルと、スポーツと、青春と。#3 | 趣味×スポーツ『MELOS』

 前編では、空手を始めたきっかけや、道場での思い出を聞きました。続く後編では、芸能活動を始めてから空手がどのように活きたのか。また、バット割りや氷柱割りなどのパフォーマンスに向けて、どのようなトレーニングをしているのかについて語ってもらいました。

アイドルであることを隠しながら道場に通う日々

——芸能活動をスタートしたのも、空手道場に通うようになった小学生の頃ですよね。

 そうですね。「ハロプロエッグ」(※)のメンバーになったのが、ちょうど空手を始めたのと同じくらいの時期でした。でも、道場の塾長には芸能活動を始めたことはしばらく隠してました。

(※)ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)の研修生の当時の名称。現在ハロプロ全体のリーダーを務めるアンジュルムの和田彩花や、女優として活躍中の真野恵里菜なども在籍していた

——それはどうして?

 塾長はチャラチャラしたものが大っ嫌いで、ダンスはもちろんなんですけど、空手以外のスポーツも基本的に認めてなくて。「そもそも体の作りが外国人とは違うから、日本人に向いているのは空手なんだ」みたいな考え方なんです。そう言われると、アイドルっていちばん嫌いな分野だろうなと思って。

——では、道場をやめるまでにアイドルをやってることを塾長に話したことはないんですか?

 忙しくなって、練習に出られなくなったときに話しました。でも、そのときは「これからのアイドルは、空手もできないとダメだから、がんばれ」って言ってくれて。意外でしたね、怒られると思っていたので。

ライバル心が湧かないくらいすごい3人と一緒にいたエッグ時代

——道場にライバルはいましたか?

 いました。でも、私は心の中で思うタイプなんですよ。だから、その道場の子にライバル心を抱いていたことは誰も気づいていないと思います。周りの人たちは、きっと私のことを「ひとりでコツコツとがんばってるんだろう」と思ってたはず。でも、私は密かに「絶対にその子に勝ちたい!」っていう気持ちを持っていて。

——どうして表に出していなかったんですか?

 本当にそう思ってるときって、口で言えなくないですか? もちろん、はっきりと宣戦布告をする人もいると思うんですよ、「負けない!」って。でも、そう言えないくらい本気で勝ちたくて。ひとりでメラメラとライバル心を燃やしていました。練習のときも相手のことが気になってチラチラ見てましたね。

——では、エッグの同期に対しても、心の中でライバル心を燃やしていたんですか?

 それはあまりなくて。どちらかと言うと、周りのみんなを見て「すごいな〜」って感じる方が強かったです。なんか、「うわ、芸能人だ」「受かる子って違うな」みたいな。

——佐保さんも一緒に受かったのに(笑)。

 そうなんですよ(笑)。でも、なんで私が選ばれたんだろうって思ってました。当時は、自信がまったくなかったんですね、きっと。

——でも、ハロプロのアイドルたちが集まるコンサートでは大先輩のモーニング娘。や松浦亜弥さんたちに混ざってパフォーマンスをしていましたし、30人以上いるエッグのなかから選抜された4人組ユニット「しゅごキャラエッグ!」にも参加していましたよね。

 そのときは一緒に選ばれた3人(和田彩花・前田憂佳・福田花音)がすごすぎて、対等な気がしなかったんですよ。負けたくないっていうよりは、がんばって追いかけなきゃっていう気持ちが強かったです。「自分がステージに立つ側だ」って自覚がなかったんだと思います。

——そのユニットで一緒だったメンバー3人は、その後スマイレージ(現アンジュルム)のメンバーとしてデビューが決まりましたが、それでも「なんで自分だけ選ばれないんだ」という悔しい気持ちはなかったんですか?

 そうですね。みんながデビューしていった時期は、ようやく自分でも「もっとこうなりたい」っていう目標が持てるようになったときで。レッスンの先生もそれを感じとってくれて、「よくなってきたよ」って褒めてくれるようになったんです。「もっとこうした方がいい」って個人的なアドバイスをもらえるようになったりもして。それからはいろんなことが楽しくなったし、おどおどしなくなりました。

湿布とテーピングがあれば、とりあえずステージには立てる

——佐保さんが所属するアップアップガールズ(仮)は全力で歌って踊るハードなパフォーマンスに定評があります。加えてライブの回数も多いですが、どのようなトレーニングをしているのでしょうか?

 メンバー全員でフィジカルトレーナーの先生のジムに通ってるんですけど、ランニングをしてから何種類かの腹筋を2セットずつ。それに足と腕を鍛える筋トレもやってます。それが終わってから、私は先生にミットを持ってもらって蹴りの練習もします。何分間かずっと蹴り続けるんです。

——バット割りの練習もしているんですね。

 今はそうですね。でも、トレーナーがつくまでは周りから「危ないから」って止められてたんです。以前はひとりで練習していたので、手を青くしていることもあったんですけど、そのうえで「バットも蹴りたい」と言っていたので。

——では、トレーナーがついてからバットを折る練習も始めたんですか?

 はい。トレーナーに会ったときに「バットを折りたいです」って伝えたら、「いいよ、やろう」ってすぐにトレーニングを始めてもらえて。今はミット蹴りのほかに、踏み込み方や蹴る場所の見極め方など、いろんなことを教わっています。

——実際、バットを折るときは痛くないんですか?

 蹴ったあとにバットが折れるとぜんぜん痛くないんですけど、折れなかったときはすごく痛いですね。だから、怖気づかないように踏み込むのが重要です。

——そういった技術面での向上以外に、体力がついたなどの変化もありますか?

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