2017年9月15日

GPSウォッチ「ForAthlete 935」レビュー。精密さと使い勝手のよさで走りの質をグレードアップ!

 ガーミンというメーカーをご存知でしょうか? 日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、航空機や船舶などで使われているGPS機器を供給しており、実はその道ではよく知られたGPS専門メーカーなのです。

 同社では近年、スポーツやアウトドア向けのGPSデバイスを数多く発売しています。その中でも今回注目したのが「ForAthlete 935」。ランニング向け製品の最上位モデルで、国内外のトップアスリートにも利用されているそうです。果たしてその性能はいかなるものか、実際に試してみました。

距離や平均ペース、走行ルートなどを記録

 ランニングを習慣にしている人なら、専用のスマホアプリを利用している人も多いはず。いつも持ち歩いているスマホで、運動管理ができるのは便利ですよね。でも、スマホは軽いものでも100gを越えるため、本気で走る人にはその重さが気になることもあります。

「ForAthlete 935」は単体で49gとかなり軽量。さらに、時計だけでランニングに関するさまざまなデータを計測、管理できるのです。

 もちろん、ランナー向けに開発されただけあって、使い勝手や測定内容も洗練されています。測定できるのは、距離、タイム、平均ペース、心拍数、走行ルートなど。付属の「ランニングダイナミクスポッド」を利用すれば、ピッチ(1分あたりの歩数)、接地時間(足が地面に付いている時間)、左右の接地時間のバランス、歩幅、上下動(体が上下に動く振れ幅)など、より詳細なデータを取ることができます。

機能は豊富、使い方はとてもシンプル

 装着自体は普通の腕時計と同じです。ただ、時計の裏側にあるセンサーで心拍数を測定するため、動かないように少しきつめに締めます。バンドがシリコンゴム製で、普通の腕計よりかなり柔らかめにできているので、きつく締めても痛みやきつさは感じません。

 基本の操作は左側に3つ、右側に2つあるボタンですべて行います。残念ながらタッチパネルは搭載されていませんが、操作体系はシンプルで、最初だけ説明書を見て操作すれば、1度で覚えられるほど簡単なものです。表示部分には半透過型液晶が採用されています。最新のスマホの画面と比べると、ちょっとくすんだように見えますが、太陽の出ている炎天下でも、真っ暗な夜中でも画面が見えるというすぐれものです。

 電源は充電式で、専用のケーブルを使ってUSBポートから充電します。持続時間は通常の時計として使用した場合は最大2週間、GPSをオンにした測定モードの時は最大21時間の使用が可能です。毎日、1時間程度のランニングをしている人なら、1週間に1度充電すれば充分にもちます。

実際にランニングしてみましょう

 ランニングを記録するときは、時計の右側上の「START STOP」ボタンを1度押します。すると、運動の種類に応じたアプリの選択画面になるので、左側の真ん中と下側の「UP」と「DOWN」の2つのボタンでスクロールさせ、「ラン」を選択したら再び「START STOP」ボタンをプッシュ。そうするとランニング測定用の「ラン」アプリが立ち上がるので、画面に「GPS」と表示されてGPSの受信が確認できたら、みたび「START STOP」を押せば測定開始です。

 走っている間は、設定によって一定区間、または一定時間が経過するごとにバイブや音で通知できます。メトロノーム機能を使えば、ピッチ数(1分あたりの歩数)を指定して、バイブや音を鳴らすことができ、一定のペースで走るトレーニングもできます。時計自体は49gと非常に軽量なため、走っている間は邪魔になるようなことはありません。走り終えたら、「START STOP」ボタンで計測を止め、「保存」を選べば記録終了です。

驚くほど豊富なデータ、GPSの測定精度はピカイチ

 時間や走行距離、平均ペース、平均心拍数と最大心拍数、ピッチといったランニングの結果は、「ForAthlete 935」上で確認できます。ただ、データをもっと詳細に見るなら、スマホやPCとの連携は必須です。スマホなら専用アプリ「Garmin Connect Mobile」を、PCからは専用ウェブサイト「Garmin Connect」を利用することで、データを見たり、過去のデータと比較したりできます。

 “〇〇kmを過ぎたあたりから疲労によってピッチが乱れはじめている”、“上り坂と下り坂で走り方が変わっている”、“左右のバランスが崩れている”、“疲れやすい効率の悪い走り方をしている”などなど……。データを細かく見ていくと、自分の走りに対する新たな発見があるでしょう。走るたびにその内容を振り返り、次のランニングに活かす事で、タイムや距離を伸ばしたり、怪我をしにくい走りを身につけることができます。

 もうひとつ、データを見ていて驚いたのは、記録されたルートの正確さです。以前に別のスマホアプリで計測した場合、ルートがジグザグに揺れたり、連続した曲がり角が上手く記録できなかったりして、走行距離の誤差が大きくなりがちでした。しかし、「ForAthlete 935」の場合、記録されたルートがかなり正確です。


 その理由は「ForAthlete 935」が、準天頂衛星「みちびき」という日本独自の位置情報取得のための人工衛星の送信する電波に対応しているためです。従来のGPSだけだと、数メートルの誤差が発生するような場合でも、「みちびき」に対応していれば誤差は数センチメートルにまで小さくなるのだそうです。「ForAthlete 935」のGPSの精度も、そのたまものです。

ちなみに「みちびき」の情報サイト(http://qzss.go.jp/usage/products/list.html)には、対応する製品一覧が掲載されていますが、それを見るとガーミンの製品が他社よりも多いことが一目瞭然。この辺りは、GPS専業メーカーだからこそのポイントかもしれません。

ランナーの要望を詰め込んだ夢のデバイス?

 今回はランニングに関する機能だけレビューしましたが、「ForAthlete 935」には数多くの機能が搭載されています。プリインストールされているアプリ(運動)にはトライアスロンや水泳、スキー、ゴルフがあり、後から追加もできます。また、運動時だけでなく、日常生活での歩数や階段の昇降、心拍数、睡眠時間などを測定する活動量計としても利用できます。

 さらに、スマホとBluetoothで接続している場合は、メールや電話の着信、カレンダーの予定を通知といった、便利な機能も利用できます。つまり、「ForAthlete 935」は、単なるランニングのための道具ではなく、スマートウォッチでもあるのです。

 スマートウォッチと言えば、Apple WatchやAndroid Wareなどが普及しており、こうしたデバイスでも運動のためのアプリがいろいろと登場しています。ですが、「ForAthlete 935」はGPS専業メーカーであり、長らくスポーツ向けデバイスを開発してきたガーミン製だけあって、使い勝手や機能の面で一日の長があります。

 筆者もこれまでスマホのランニングアプリを愛用しており、その機能に満足していました。しかし、今回「ForAthlete 935」を使ってみて、その機能の豊富さと、よく考えられた使い勝手に、かなり物欲をそそられました。さすが、トップアスリートも使っているだけのことはあります。

 気になるのはお値段ですが、「ForAthlete 935」の実売価格は約5万円余りとスマホ並み。スマホを買い換えたばかりの筆者には、おいそれと手が出せません。うーん、悩ましいです……。

<Text & Photo:青山祐輔>