ボルダリング上達のコツ。初心者一番の悩み「腕がパンパンに張る!」を解決するには
もう無理……、腕がパンパンになっちゃって力が入らない……。ボルダリング初心者の多くが体験する感覚です。もし苦痛がインプットされてしまったら、再チャレンジに尻込みするのも無理ありません。でも、その状態になってしまうのは自己流でやろうとするからです。
基本を抑えれば、そこまで身体に負担がかかることはありません。ボルダリングをこれから始める人が抑えておくべきポイントについて、東京・池袋でジムを運営しているオーナー兼インストラクターの沢治奈津子さんに訊いてきました(監修:クライミングスクール・ジムJ&S池袋)。
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《目次》
・ボルダリングを楽しむには最初に基本の動きを身につけるべき
・最初に覚えたい脱力姿勢
・足は壁に直角になるように乗せる
・効率よく横や斜め移動するときは「クロス」を使おう
・動きの基本は「足」→「手」
・前傾壁で遠いホールドを取るための技術「フリ」
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ボルダリングを楽しむには最初に基本の動きを身につけるべき
ジムでのボルダリングは、特別に用意するものがなくても楽しめるとあって、友人同士、カップルでふらりと来て始める人も多いようです。でも、何本かトライしただけでたいてい音を上げるといいます。腕が張ってしまってギブアップとなるからです。
「腕の筋肉に乳酸が溜まると、それ以上続けられなくなります。ボルダリングは、こちらのコースの次はこちらというように何本もトライしながら楽しむものです。それができなくなるのはもったいない(笑)」
沢治さんは実際にそういうケースを何度も見てきているといいます。ボルダリングは確かに自分のペースで楽しめることも魅力のひとつ。でも我流ではペース配分すらできません。最初は専門家にきちんと習ったほうがよさそうです。
最初に覚えたい脱力姿勢
沢治さんが最初に教えるのは、「腕を伸ばして腰を落とす」という姿勢です。
「ここでは、腕の筋力にかかる負担を軽減しなくてはなりません。腕を伸ばして、体重は足で支えるようにします。この姿勢を知らない初心者の人は、どうしてもホールドにしがみついてしまいます。その結果、動かない間も腕の力がどんどん削られていくことになります」
足の筋肉、とくに大腿部の筋肉量は腕の数倍あります。ふだんから体重を支えているため、こうした動きをとっても、かかる負荷は少ないのです。ホールドは指でひっかけてつかむだけにして、腕は脱力するようにします。
「このときに、腰を落として目線を下にやるのも大切です。目線をあげるとアゴがあがってしまって身体のバランスを保ちづらく、腕を引き寄せる動きを誘発しやすいからです」
目線をあげるのは次のホールドを確認するとき。それもチラリと見る程度にします。コースは壁を登る前に確認し、完登までの手順もイメージしておくようにします。これを「オブザベーション(作戦を立てること)」といいます。
足は壁に直角になるように乗せる
初めてボルダリングを経験する人のほとんどは、ホールドに足を乗せるとき、壁面と水平にしたがるそうです。接地面を少しでも多くしたいという理由からでしょう。腕でしがみつくのと同様、背後ががけ下という状況下ではやむを得ない本能的な動きです。しかし、そのようや足の置き方では、脱力姿勢は取れず、また動きが制限されてしまうため、次のポイントに移動しづらくなってしまいます。
「ホールドには、つま先を乗せるようにします。可動域が格段に広くなるので、次の動きが楽になります」
つま先を軸に、かかとをひねればそれだけで身体の向きを変えられます。こうしたひねりは、移動の際のエネルギーにもなります。
効率よく横や斜め移動するときは「クロス」を使おう
横や斜めに移動するときに同じホールドを、いちいち両手で持つと移動にも時間がかかるだけでなく、疲れてしまいます。クロスを使う場合は、手と足を動かす順番を間違えるとバランスを崩してしまうので注意しましょう。
「足の動きも同様です。このとき大切なのは、腕を伸ばしてクロスさせるためのスペースを開けること。しがみついていると、足と壁の間に空間がなくなって、もう一方の足を通すことができなくなります」
動きの基本は「足」→「手」
移動する際には腕にかかる負担を極力減らさなくてはならないというのは前述したとおりです。そのためには足から踏み出す必要があります。たとえば右ななめ上に移動したいとします。
その場合、クロスの動きで左足を右側に踏み出し、着地した際のキック力を利用して左手でホールドをつかみに行きます。こうすれば腕への負荷はほとんど発生しません。逆に、腕を懸垂のように使って身体を持ち上げながら登ろうとすると……、腕がパンパンになるのは時間の問題です。
もしジムに行く機会があったら、クライミングしている人たちの様子をよく観察してみてください。上手な人ほど、その腕はしっかりと伸びているはずです。
理想の動きは、極端な例をあげればサルです。木から木に渡るとき、彼らは腕をほぼ伸ばしたままでいます。だから長時間の木登りも問題なくできるのです。
前傾壁で遠いホールドを取るための技術「フリ」
手を伸ばしても届かなそう……、それくらいの距離にあるホールドを取るための技術「フリ」(=ダイアゴナル)。手と足を対角に置き、そこからねじりの力を利用して移動するというムーブです。
写真を使って具体的に説明しましょう。左上にある遠いホールドを左手で取るために身体を中心にして、対角線上の右下に右足を置き、身体を右にねじります。そうすることで、身体が伸びて左上の遠いホールドが、「力ずく」ではなく、テクニックで取ることができるようになります。
この動きは、写真や文章からイメージしづらいかもしれません。見よう見真似も難しいのでインストラクターから手取り、足取り教えてもらうことから始めるようにしましょう。
【監修/取材協力】
クライミングスクール・ジムJ&S 池袋
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[TEL]03-3986-7461
[営業]火~金 16:00~22:00/土 13:00~20:00/日・祝 12:00~20:00 ※毎週月曜定休(祝日の場合は火曜休み)
[公式HP]http://js-climbing.com/ikebukuro/
<Text:瀬戸嶋 勝+アート・サプライ>