ギア&アクセサリー
2019年8月1日

「コンプレッションウェア」の秘密を探ってみた。デメリットは? ランニングや筋トレ時におすすめなのは?

 最近のスポーツウェアって、昔に比べると体にピッタリとフィットするタイプのものが増えてきましたよね。さらにそのなかには、密着を通り越して体を締め付ける「コンプレッションウェア」と呼ばれるものまであります。

 日本語にすると着圧服。一見すると「動きづらいんじゃないか?」とか「苦しくないの?」と思ってしまいますが、実はコンプレッションウェアには運動時に多くのメリットがあるのだとか。そして、そのメリットはトップアスリートだけでなく、一般のスポーツ愛好家にも当てはまるものだそうです。

 コンプレッションウェアには、いったいどんなメリットがあるのか。また、私たちが選ぶときは、どんな観点で選べば良いのでしょうか。コンプレッションウェアの人気ブランド「C3fit」を展開するゴールドウインに聞いてみました。(記事初出:2017年9月25日)

実はメリットだらけだったコンプレッションウェア

 お話を伺ったのはゴールドウインでC3fitの商品企画を担当する平山壮一さん。C3fitでは、下半身全体をサポートするタイツモデルを中心に、ふくらはぎ部分だけを加圧するゲイタータイプや上半身のウェア、ソックスなどトータルで製品展開しています。

「着圧する衣服というのは、女性向けのむくみを軽減するストッキングのように以前からありました。C3fitは、いわばそのスポーツ版。着圧を掛けることで運動時に体に良い効果を与えます」

 なるほど! ではその効果とはどのようなものなんでしょうか?

「コンプレッションウェアの一般的なメリットとして、体をしっかり締め付けることで、関節や筋肉のブレを押さえます。それによって運動効率が格段に上がって、動きやすさが増すんです」

 走っている様子をスローモーション映像で見ると、太ももなど大きな筋肉が想像以上に揺れているのがわかります。その揺れは、スポーツにとって不要どころか、はっきりいって邪魔なもの。揺れを取り除くことで足運びがスムーズになるのだとか。

 また、コンプレッションウェアのなかには、よりブレを押さえることに特化したタイプもあります。

「インパクトエアーというモデルは、膝や腰をより強くサポートする設計です。それによって『テーピングを履く』というようなイメージで着用でき、長距離ランニングやトレッキングなど、膝が痛くなりやすい運動時におすすめです」

 テーピングは関節への負担を減らしたり、余計な動きを押さえたりする上で固定力やホールドする力は強いですが、手間も掛かるし、毎回テープを換えるのでコストも気になります。でも、コンプレッションウェアなら着るだけでいいし、また繰り返し使うことができます。

 現在のコンプレッションウェアは、着圧によって関節や筋肉のブレを押さえて動きやすさを向上させるものと、テーピングのように膝や腰などを強くサポートしてダメージを受けにくくするもの、この2種類が主流なんだとか。

運動時に着用することで疲労が軽減&リカバリー効果あり⁉

 さらにC3fitには、ほかのコンプレッションウェアにない独自の特長があるそうです。

「私たちの代表的な製品の『インスピレーション』というタイツは、足首からふくらはぎ、太ももと段階的に着圧が弱くなっていきます。それによって履くだけで血行を促進する効果があり、運動能力の向上はもちろん、疲労回復時の着用にもオススメです」

 足は「第二の心臓」と言われますが、それは脚部の筋肉の収縮によって血流の循環を補っているから。全身の血流のうち心臓よるものは約8割といわれており、残りの約2割は心臓以外の全身の筋肉で生み出されているのだとか。C3fitの一部の製品は、厚生労働省の基準に沿って着圧を適切に設定しているので、履くだけで血行を促進する効果がある「一般医療機器」としても登録されています。

「血流は、栄養や酸素を全身に送り届けて、溜まった疲労物質を回収する役割を持っています。血流を促すことで、その効果がアップします。だから、運動時に着用することで運動効率の向上だけでなく、運動後の疲労回復時の着用もとても有効です。僕もランニングをよくするんですが、運動中はロングタイツを履いて、運動後はシャワーを浴びてからゲイターに履き替えてリラックスしています」

 へー、それは良いことを聞きました。

どんなスポーツにもフィットするコンプレッションウェア

 では、わたしたち一般のスポーツ愛好家がコンプレッションウェアを着るとき、どんな観点で選べばよいのでしょうか。

「コンプレッションウェアは、どんなスポーツにでも使えます。サッカー、ラグビー、バスケ、バレー、野球、どのフィールドでもアンダーウェアとして利用できますそのなかでも、膝や腰を守りたいというニーズがあるなら、サポートタイプをオススメします」

 なるほど、基本的にコンプレッションウェアは運動全般にメリットがあるんですね。

「あえて言うなら、ラグビーやサッカーのようなコンタクトスポーツの場合は、タイツだけでなく上半身のウェアも合わせての着用をオススメします。ラグビーの日本代表も着用しています」

「そのなかでも、私たちの段階着圧モデル『インスピレーション』は、運動時からリカバリーまで万能に使えます。なので、まずはコンプレッションウェアを試してみたいという人には、インスピレーションのゲイタータイプが値段の面からもおすすめです。脱ぎ履きがしやすいですから、普段使いにもいいですよ」

 コンプレッションウェアは、締め付けるというイメージのため、多くの人が「動きにくいのでは」という先入観を持ちがちです。そこでC3fitでは、滑らかな生地を使ったり、縫い目をテープで覆ったりとできるだけストレスなく着用できるような工夫をしているのだとか。

 実は予想以上に、いろいろなメリットがあったコンプレッションウェア。スポーツウェアが運動時のパフォーマンスを支援してくるのはわかりますが、運動していないときにもメリットがあるというのは、ちょっと驚き。個人的にも、これはぜひ試してみたいものです。

<参考サイト>
・C3fit 公式サイト https://www.goldwin.co.jp/c3fit/
・ゴールドウイン株式会社 https://www.goldwin.co.jp/

<Text:青山祐輔(H14)>