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ハードル界が今アツい!W日本記録保持者に聞いた強さの秘密とは?高山峻野×寺田明日香[新春特別対談](後編) (1/3)

 2019年シーズン、日本のハードル界では男女ともに日本新記録が出るメモリアルイヤーになりました。樹立したのは、男子110mハードルの高山峻野選手と女子100mハードルの寺田明日香選手。

 高山選手は中学校からハードルを始め、2015年から2年おきに日本選手権3度優勝。そして2019年に13秒25をマークし、男子110mハードルの日本記録を塗り替えた最強ハードラーです。

 一方、寺田選手は高校からハードルを始め、インターハイを3連覇したのち日本選手権も3連覇しました。23歳のときに一度陸上を引退し結婚・出産を経て、7人制ラグビーへ転向後、2019年に陸上競技へ復帰。日本新記録12秒98をマークした最強ママハードラーです。

 年齢もキャリアも違うふたりですが、日本タイ記録にたどり着くと数週間後の試合で日本新記録を更新。さらに100mの自己ベストを更新し、世界陸上へ出場という共通点があります。

 日本を代表するトップハードラー同士であるものの、今回がきちんと話す初めての機会とのこと。対談後編では日本新記録を出したときの状況や、世界陸上に出て得たもの、東京五輪に向けての課題について語っていただきました。

日本新記録が出たときはお互い調子が悪かった

—— おふたりとも昨年(2019年)はずっと安定した結果を出して、日本記録までたどり着いていますが、記録は狙って出したのですか。

高山:僕の場合は完全に予想外でしたね。日本選手権に合わせてピーキングしていたので、夏場に一回ダッと落として秋シーズンへ向けてあげていこうとコーチとも話していました。でもそれが落ちなくて8月に記録が出たので、世界選手権は絶対に落ちるだろうなとビクビクしていたんです。でも意外とよかったのでびっくりして。

寺田:そうなんだ。じゃあ8月に福井で日本記録を出したときは?

高山:すごく調子が悪くて、インターバルタイムもワーストくらいで、計算をすると13秒6~7くらいしか出ないと思っていたんです。それでモチベーションがすごく下がっていたけど、走る直前に同じゼンリン所属の城山正太郎くんが日本記録を出したので、それでやるしかないと思ったら出ちゃったんです。アドレナリンのおかげですね(笑)。

寺田:私もあのときは13秒00の日本記録タイだったけど、本当に調子が悪かった。城山くんの日本記録をサブトラックで聞いて、「いいなー」って思っていました。日本選手権からピーキングもしてなかったので、「どうせ出ないし」ってウジウジしていて。でも召集所へ行ったら少し時間が押していて、ゆるキャラや高平(慎士)さんと塚原(直貴)さんが出たレースなどを見たらかなり気持ちも緩んで……。諦めていたのに出てしまいました(笑)。

高山:あの福井の大会は雰囲気もすごい良かったですね。日本選手権よりも観客は盛り上がっていて、日本でああいう大会を作るのは難しいからすごいなと思って。

寺田:本当にそうだったよね。

—— お互いに調子が悪かったから、逆にリラックスできたんですかね。

寺田:逆に吹っ切れたかもしれない。

高山:僕もそうですね。寺田さんは、12秒97の日本新の時はどうだったんですか?

寺田:あのときは、とにかく1本目で記録を出して帰りたかったんです。自分で車を運転していったので、2本目まで走ったら絶対に渋滞にハマって帰るのに3時間以上かかるという、家庭の事情で。そういえば、スタートラインに立ったらハードルが低く見えて。「これジュニアの高さじゃないかな」って、真剣に確かめたくらいなんです。

高山:僕も低く見えるときはありますね。ハードル選手って調子がいい時は低く見えるけど、悪い時は高く見えて「無理だろう」と思ったりするのがけっこうありますね。

—— じゃあ、13秒25の時は低く見えたんですか。

高山:いや、特にそんなことはありませんでした(苦笑)。

寺田:ハハハハ(笑)。

世陸に出て感じたこと

—— 2019年の世界陸上(カタール・ドーハ)は、高山選手が2大会連続で、寺田選手は2009年以来10年ぶりと、ともに2回目の世界陸上出場でしたが、自分ではどういう大会にできましたか。

高山:ピーキングは失敗したと思ったし、海外の試合だったので絶対に記録は出ないと思っていたんです。アップも全然動いていなかったけど、レースになると自然に体が前に出たので、これはいけるぞと思って。でも、今日はいけると思った瞬間にダメでしたね。それが準決勝でした。

寺田:私も、高山くんは決勝に行くと思った。

高山:僕も心の中では、準決勝の時は「絶対にいける」と思って臨んだけど、それが良くなかったですね。やっぱり僕は、あんまりプラスに考え過ぎない方がいいんだと思いました。

—— どんな目標を持っていたのですか。

高山:前回は予選落ちをしていたので、なんとしても準決勝にはいきたくて。だから予選ですべてを使い果たそうと思っていました。そこをクリアできたのが、唯一の収穫ですね。

寺田:私はかなり調子が落ちていて、ドーハに到着した日、本番4日前の練習で動かなくて絶望して、今できることをやるしかないと思って挑みました。ただ私は今回、経験として出られればいいとも思っていたので。そこで自分がどう動くか。あとは海外の選手がどう動くかを見てみたかったので、そこはかなり収穫ですね。もちろん満足はしていないけど、レース中にいろいろ考えることもあって。自分のペースで走るのか、前について行くかという選択肢の中で、結局、行きたいという方を取ったらハードルをこすってしまったけど、そういうのも経験しなければわからなかった。冷静に行かなきゃいけないというのもわかるし、先行されても譲っちゃいけない部分もやっぱりあるというのもわかったし。それはすごく良かったかなと思っています。

—— 高山選手も準決勝レース、5台目までは先頭争いをする大健闘。収穫でしたね。

高山:いや、ダメですね。あのときインターバルのベストが出ていたので、速すぎて、足をさばききれなかったんです。ただそれを日本で経験するのは難しいので、また同じことが起こり得るかもしれない。そういった面では不安しかないですね。

寺田:でもそれも、経験しなければわからないことでしょう(笑)。私の場合は目指す動きがかなり明確になりました。というのは、たとえば「この選手のような動きをしたい」という場合、どうしたらこの動きになるかというのが流れの中ではわかるけど、かみ砕いてはわからないというか、その感覚がわからなくてできなかったんです。だから準決勝の前には、出場する選手のウォーミングアップを、2時間くらい至近距離でずっと見ていたんです。それで、この動きができたら12秒6で走れるし、できなかったら走れないというのがかなり分かったので、そこが良かったと思います。

高山:僕の場合は、特にそういうのは無いですね。男子のハードルは跳び方がけっこうそれぞれで、共通するのは右リードか左リードくらいなので、その意味ではあまり参考になる選手はいなかった。ただひとつわかったのは、アップの段階でスプリントの練習をするけどそれがみんなめちゃくちゃ速いということです(笑)。

寺田:そうそう、みんなすごく速かったね。

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