インタビュー
2019年6月26日

[特別インタビュー]陸上再転向から6ヶ月。ママアスリート寺田明日香、いざ日本選手権へ! (1/3)

 いよいよ明日開幕する「第103回日本陸上競技選手権大会」(6月27日〈木〉〜30〈日〉/福岡・博多の森)。その名の通り、陸上競技の日本一を決める大会であると同時に、今大会はカタール・ドーハで2019年9月〜10月に開催される世界選手権大会(世界陸上)への出場をかけた選考会でもあります。

 2013年に陸上競技選手を引退し、2016年にママアスリートとして7人制ラグビー(セブンズラグビー)で現役復帰した寺田明日香さん。2018年12月、ラグビー選手から再度陸上選手へ転向し、トラックに戻ることを決意しました。寺田さんにとって、日本陸上選手権は転向後初の大きな試合になります。

 陸上への再転向に際しては、コーチやトレーナーら各部門の専門家たちからなる「チームあすか」を結成。そこから約半年間、どのような練習をしてきたのか、ママアスリートとしての想い、大会に向けた意気込みを本人に聞きました!

チームあすかのコンセプトは「ゆるくいこうぜ」

—— いよいよ日本陸上選手権が目前に近づいてきました。12月から陸上選手に復帰して「チームあすか」で練習に励んできたと思うのですが、具体的にどのようなメンバー構成になっているのでしょうか。

練習メニューやトレーニングを見てくれるコーチとトレーナーのメディカルチーム、食生活を見てくれる栄養士、ケアを行ってくれる理学療法士や鍼灸師、メンタルトレーナーの方々がいます。チームの主軸であるコーチは高野大樹さん。学生時代110mハードルをやっていた方なので、走りとハードルの技術面どちらも見てもらっています。体づくりのトレーナーは、齋藤大輔さんと田中英明さん。2人が週2か週1で入ってくれていますね。

そして、理学療法士の大見武弘さん。鍼灸師は、福島洋平さんと鈴木一登さん 。脳や目など、自分で気がつかない疲れを見てくれるメンタルトレーナーは衣川竜也さんです。

栄養士は廣松千愛さんと奥隅知里さんの2人。月に一度、3〜4日分のご飯を家族分作ってくれます。娘がいるので食育も兼ねてもらっていて、声をかけてもらったら娘も彼女たちと一緒に喜んで作っていますね。彼女たちが作ったものは、嫌いなものでもがんばって食べるんですよ。彼女たちの料理は食卓の彩りが違うので、私が作る料理との違いもわかっていて「今日ママの料理じゃないね、やったー」って喜んでいます(笑)子どもの頃からおいしくて栄養のあるものをしっかり食べさせられて良かったなと思います。メンバーはこんな感じですね。「ゆるくいこうぜ」をコンセプトに、仲良くやっています。

高野さんは新しいことをどんどんトレーニングに取り入れてくれる

—— 具体的な練習メニューなどはどのように決めているのですか?

主軸は高野さんです。試合までのスケジュールを高野さん、齋藤さん、田中さんで共有して、週ごとにトレーニング内容を調整しています。

—— 練習頻度はどれくらいですか?

週に4日間です。火・水・木は午前と午後の二部練、土曜は午前練のみで陸上選手的には少なく感じられますが、1日中、長時間練習しているので負荷は上がっている気がします。

—— 長時間の練習の日とオフの日、というのをしっかり分けられているんですね。これまでで一番手応えを感じた練習や、これはキツかった、というトレーニングがあったら教えてください。

キツいのは低酸素トレーニングですね。あえて空気を薄くした中で自転車を全力で漕ぐ、というものなんですけど、何度やっても苦しいです。短距離でやっている選手はあまりいないかもしれません。手応えを感じているのはロングインターバルハードル。新しく取り入れた高野式の練習法で、普段よりハードルとハードルのインターバルを広げて跳ぶ練習です。助走が長くなれば踏み切るときや跳んでいるときのスピードが速くなるので、その感覚をつかむため何度も走っています。半年間、ほとんどこの練習しかやっていないですね(笑)。

—— 同じ動きを繰り返すことが大切なのでしょうか?

感覚をつかむためといえばそうですね。でも高野さん、100mハードルは全然跳ばせてくれないんです(笑)。

—— えっ、なぜですか?

速さを定着させるためです。「寺田明日香」の強みはスピードなので、そこを磨いてハードルに生かそう、と話しました。私がちょうどいいと感じる感覚で走ってしまうと走りの癖が抜けないので、違和感があっても高野さんが「よかったよ」と言ってくれたときのフォームに修正できるように練習をしてきました。

—— なるほど。ハードルを跳ぶ練習ばかりするものだと思っていました。

もちろん技術は必要です。でも、技術ばかり求めてもスピードは上がりません。体づくり、フォームの修正、スピード、すべて向上するための練習メニューを組んでもらっていますね。高野さんは新しいことをどんどんトレーニングに取り入れてくれるので停滞せずに進めてよかったと思っています。

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