自分が走るとしたら何区?【箱根駅伝】全10区(コース)の特徴 (3/4)
たくさんのドラマが生まれる復路。粘り強さが武器になる
6区:箱根・芦ノ湖~小田原 20.8km
5区の「山上り」に対して、6区は「山下り」。最初の4㎞ほどは上りだが、その後一気に下る。ペース配分が難しく、さらに急カーブでの切り替えしも必要で、足への負担が非常に大きい。下りきってから中継所までの3㎞で足が出なくなってしまう選手も。
牧野さんの解説:
少し上ってから下りになるので、まずそこで切り替えが必要です。山下りでは、きつい傾斜を一気に下った後に傾斜が緩くなると、上り坂に感じるほど足が出なくなります。体が山側に倒れるとスピードを殺してしまうので、しゃがんでいるような姿勢で谷側に体重をのせて、足が前へ前へ出る走りができる人はどんどん先に行けます。
7区:小田原~平塚 21.3km
スタート時は箱根の山から吹く冷たい風で冷え込み、太陽が高くなるにつれ気温が上がってくるので、寒暖差が大きく、体がうまく対応できないと大ブレーキがかかってしまうことも。ペースを整え、往路のタイム差を縮めておきたい区間である。
牧野さんの解説:
平坦に感じますが細かなアップダウンがあって、全体的には下り基調。前半自重できて足に余力を残せる人は、後半強いですよ。最初はゆっくり入って後半とばすことができる。前半とばしすぎて後半ガクッとくるケースは毎回見られます。裏の4区もそうですが、7区も我慢強さが求められますね。
8区:平塚~戸塚 21.4km
3区と逆で8区は追い風を受けることが多い。後ろからの風と日差しに体力を奪われることで、後半の失速につながることも。優勝争いやシード権争いが次第に見えてくるので、ここでライバルを引き離しておきたい。
牧野さんの解説:
戸塚に向かって上り基調になるので、8区はきついんです。ここも、一人で走って、コツコツ上って、後半にいかに強い走りでスパートできるかが勝負になってきますね。スピードがあるというよりは、スピードが落ちない選手が向いています。
9区:戸塚~鶴見 23.1km
「花の2区」の裏で、復路のエースが配される。襷を受けて、いきなりの下り坂。その後の距離が長く起伏も多いので、冷静な走りが必要。優勝争い、シード権争い、鶴見中継所での繰り上げスタート回避のためのタイムとの闘いと、箱根駅伝ならではのドラマが数多く見られる区間である。
牧野さんの解説:
トップを走るチームは、9区をしっかりと走ることができれば優勝は確定です。それを追うチームはここで離されると、逆転優勝は厳しい。9区の選手がどういう戦い方ができるかが非常に重要なんです。「復路の花」ですからね。充分な走力を持っていて冷静にペース配分ができる人に走ってもらいたいです。