
毎日ジョギングの驚くべき効果|3km・5km…「1kmだけ」でも体は変わる【医師監修】 (3/3)
毎日ジョギング、いつ走るのが効果的?
結論から言うと、最もおすすめなのは朝のジョギングです。朝は代謝を高め、脳と体を同時に目覚めさせる効果があります。しかし、昼や夜のジョギングでももちろん大丈夫です。時間帯ごとの特徴を理解して、効果的に行いましょう。
朝ジョギングの効果とやり方|代謝アップ×脳の活性化
朝のジョギングは、1日のスイッチを入れる最強のルーティンです。朝日を浴びることでセロトニンが分泌され、気分の安定や集中力の向上につながります(*)。
また、寝起き後の有酸素運動は脂肪をエネルギーとして使いやすく、脂肪燃焼効率が上がるのもポイントです。
*Frontiers in Psychology, 2022
■朝ジョギングのやり方
1.起床後は血圧や体温が安定していないため、20〜30分ほど経ってからスタートするのが理想です。
2.コップ1杯の水分補給と5分のストレッチで体を温めましょう。
3.走る前にバナナやヨーグルトなど100〜200kcalの軽食をとると、エネルギー切れを防げます。
ペースは1kmあたり6〜7分程度。会話できるくらいの呼吸が目安です。走り終えたら30分以内に朝食をとり、代謝をさらに上げましょう。「ごはん+納豆+味噌汁」や「パン+卵+チーズ」など、炭水化物とたんぱく質を組み合わせた食事が最適です。
昼ジョギングの効果とやり方|運動効率アップ×気分転換
昼は体温が高く、筋肉の動きがスムーズな時間帯です。仕事・勉強・家事育児の合間に走ることで、リフレッシュ効果も得られます(*)。昼食後すぐは避け、2〜3時間あけてから走るのが理想です。
■昼ジョギングのやり方
1.走る前に水を200〜300ml補給し、呼吸が整う範囲のペースをキープします。
2.炎天下では熱中症のリスクがあるため、16時以降など日差しが弱まってから行うのがおすすめです。
3.走行後は豆腐や鶏むね肉、プロテインなどでたんぱく質補給を心がけましょう。
*Journal of Biological Rhythms, 2019
夜ジョギングの効果とやり方|副交感神経を整えて快眠へ
夜のジョギングは、副交感神経を整えてリラックス効果を高めるのに適した時間帯です。日中の緊張状態がほぐれ、眠りに入りやすい体のリズムを作ります。
実際に、定期的な有酸素運動が睡眠の質を向上させ、入眠までの時間を短縮することが報告されています(*)。ジョギングのように軽い運動であれば、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌も促され、自然な眠気を感じやすくなります。
■夜ジョギングのやり方
1.夕食前に走る場合は、おにぎりやフルーツなど軽い補食をとるとエネルギー切れを防げます。
2.走るのは就寝の2〜3時間前までが理想的です。
3.ペースは呼吸が弾まない程度をキープし、心拍数を上げすぎないようにしましょう。
走り終えたあとは3〜5分のストレッチで体をゆるめ、ぬるめのお風呂に入るとリラックス効果がさらに高まります。夜ジョギングは「眠れない夜の軽い運動」としても取り入れやすく、快眠習慣づくりにおすすめです。
*Frontiers in Psychiatry, 2021
時間帯別ジョギングまとめ
時間帯 | 主な効果 | おすすめ度 | ポイント | 注意点 |
朝ジョギング | 代謝アップ・脳の活性化・メンタル安定 | ★★★★★ | 起床後20〜30分空ける・軽食+水分補給 | 血圧変化に注意 |
昼ジョギング | 運動効率向上・集中力リセット | ★★★★☆ | 昼食2〜3時間後・日差しを避けて走る | 昼食2〜3時間後・日差しを避けて走る 炎天下・脱水に注意 |
夜ジョギング | 副交感神経活性・快眠促進 | ★★★☆☆ | 就寝2〜3時間前・ストレッチ後入浴 | 就寝2〜3時間前・ストレッチ後入浴 強度を上げすぎない |
長く走らないとダメ?1km・3km・5kmを走る効果
ジョギングの効果は、1kmでも代謝を刺激する効果があり、3kmでは脂肪燃焼、5kmでは心肺機能の強化が期待できます。自分の体力や目的に合わせて、無理のない距離設定を選びましょう。
1kmジョギングの効果とやり方
「時間がない」「運動が苦手」という人でも取り入れやすいのが、1kmジョグです。1kmは約6〜8分で走り切れる距離。短時間でも心拍数を穏やかに上げ、血流を促します。
体温が上がることで代謝が刺激され、自律神経のリズムも整いやすくなります(*)。特に朝の1kmジョグは、眠気を取り払い脳のスイッチを入れるのに最適です。
*Journal of Applied Physiology, 2015
3kmジョギングの効果とやり方
3kmジョグは、脂肪燃焼を目的にする人におすすめの距離です。体が温まり、脂肪がエネルギーとして使われ始めるタイミングが、走り出して15〜20分後になるためです。
1kmあたり6〜7分ペースで約20分。このリズムを保つことで、呼吸や心拍が安定し、脂肪燃焼ゾーン(心拍数60〜70%)に入りやすくなります。
有酸素運動による体脂肪の減少だけでなく、下半身の筋持久力向上にも効果的です(*)。
*Medicine & Science in Sports & Exercise, 2018
5kmジョギングの効果とやり方
5kmジョグは、体力向上やストレス解消を狙う人におすすめです。約30〜40分の運動で全身の酸素供給能力が高まり、心肺機能が強化されます。
定期的に走ることで、血中コレステロールや血圧の改善にもつながると報告されています(*)。
*Journal of the American College of Cardiology, 2014
距離別ジョギングまとめ
距離・ 目安時間 |
主な効果 | 向いている人 | ポイント |
1km 約6〜8分 |
代謝刺激・自律神経の安定 | 忙しい人・初心者 | 朝に軽く走って体を起こす |
3km 約20分 |
脂肪燃焼・スタミナ強化 | ダイエット目的の人 | 週4〜5回、会話できるペースで |
5km 約30〜40分 |
心肺機能アップ・体力維持 | 健康維持・ストレス発散 | ペースを落として長く走る |
毎日走るデメリットと医師がすすめる回復法
ジョギングを毎日続けることは健康的ですが、休息を軽視すると体に負担がかかります。走ることで得られる効果を保つためにも、適切な回復とケアが欠かせません。
使いすぎによるケガに注意|疲労は『サイン』として受け取る
毎日走ると、筋肉や関節にかかる微細なダメージが蓄積しやすくなります。筋肉や腱の回復が追いつかない状態で走り続けると、「オーバーユース症候群」と呼ばれる障害につながることがあります。
代表的なのは、膝蓋大腿疼痛症候群(ランナー膝)、シンスプリント、足底筋膜炎など。こうした症状は、「少しの違和感」から始まるケースが多く、無理をして続けると慢性化します。
スポーツドクター・スポーツ整形外科医、樋口 直彦 先生は「軽い痛みや張りは『限界の手前』を知らせるサイン。2日以上違和感が続く場合は、思い切って休む勇気が大切です」と言います。
疲労を回復させる『超回復』を意識する
筋肉は、トレーニング中ではなく休息中に成長することが分かっています。これは「超回復」と呼ばれるプロセスで、筋繊維の微細な損傷を修復しながら強くなっていく現象です。
この回復には48〜72時間が必要とされ、毎日走り続けると修復が間に合いません。ジョギングの場合でも、週に1〜2日の休養日を入れることで、パフォーマンスの向上が期待できます。
走らない日は、ストレッチやヨガ、ウォーキングなどアクティブレスト(軽い運動)がおすすめです。血流を促進し、筋肉に溜まった疲労物質を効率よく流せます。
免疫力の低下を防ぐ|走りすぎは体調不良の原因に
過度な運動は、体を守る免疫システムにも影響を与えることが知られています。強度の高いトレーニングを休みなく続けると、コルチゾール(ストレスホルモン)が慢性的に増え、免疫力が低下するリスクがあります(*)。
その結果、風邪を引きやすくなったり、傷の治りが遅くなったりすることも。疲労感が強い時は、しっかり眠り、栄養を取って体を回復させることが最優先です。
*Frontiers in Immunology(2020)
疲労回復を早める3つのセルフケア法
ジョギングを習慣化するためには、「走った後のケア」をセットにする意識が大切です。疲れを感じにくくし、筋肉痛を和らげるための基本を紹介します。
ケア法 | タイミング | 効果 |
1.ストレッチ | 走行後すぐに5〜10分 | 筋肉の緊張をほぐし、血流を促進 |
2.タンパク質補給 | 走行後30分以内 | 筋肉修復と超回復をサポート |
3.睡眠 | 毎日7時間以上 | 成長ホルモンの分泌を促し、体をリセット |
走るだけでなく、休むこともトレーニングの一部です。疲労を翌日に持ち越さない工夫が、継続のコツになります。
フォームと呼吸の基本|ケガを防いで効かせる走り方
正しいフォームと呼吸を意識することで、ジョギングの効果は大きく変わります。姿勢が崩れたり呼吸が浅くなったりすると、疲れやすくケガの原因にもなります。
正しいフォームのポイント
背筋を伸ばし、骨盤をやや前に傾けるイメージで走ります。視線はまっすぐ前方、腕は軽く後ろに引くように振りましょう。足の着地はかかとではなく、足裏全体で衝撃を分散させるのが基本です。
脚を大きく上げたり、ストライドを広げすぎたりする必要はありません。リズム良く「トントン」と軽く地面を蹴る感覚でOKです。
呼吸は「2歩吸って2歩吐く」リズム
呼吸は浅くならないよう、鼻から2歩で吸って口から2歩で吐くリズムを意識します。このペースが体内の酸素供給を安定させ、心拍数を一定に保つコツです。
走るときに肩や腕に力が入ると呼吸が乱れやすいため、上半身はリラックスさせましょう。余分な力を抜くだけで、呼吸が深くなり走りやすくなります。
ジョギングを長く続けるコツ|三日坊主を防ぐ習慣術
ジョギングを「続ける」ことが最大の成果につながります。意志の力に頼らず、仕組みで続けるのがコツです。
朝のルーティンに組み込む
「起きたら走る」を決めておくと、迷いが減ります。起きた直後にウェアを着る、靴を玄関に出しておくなど、「行動のきっかけ」をつくるだけで継続率が上がります。
記録を「見える化」する
アプリで距離や時間を記録するのも効果的です。グラフで成果が見えると、走るモチベーションが自然に湧いてきます。
「1kmだけルール」でハードルを下げる
疲れた日でも「1kmだけ走る」と決めておくと続けやすくなります。いざ走り始めると意外と調子が上がることも多く、継続のきっかけになります。
小さなご褒美を設定する
お気に入りの音楽を聴く、週末は新しいウェアを使うなど、「走るのが楽しみになる仕掛け」を作りましょう。楽しさが続くことが、最も強いモチベーションです。
監修者プロフィール
なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニック
院長 樋口 直彦 先生
帝京大学医学部卒業後、いくつかの病院で勤務し、院長を経験後、2021年1月に医療法人藍整会 なか整形外科の理事長に就任。バレーボールVリーグ「サントリーサンバーズ」のチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。
<Edit:編集部>