助けて~!仕事行きたくない!連休明けはなぜ「会社に行きたくない」気持ちになるのか
日曜日の夕方、あるいは連休最終日の夜。カレンダーを見た瞬間に襲ってくる、あの重苦しい気持ち。
「明日から仕事か……」というため息とともに、胸が締め付けられるような感覚。連休明けの朝、目覚まし時計を止めながら「会社に行きたくない」と強く思ってしまう。
この感情を抱いているのは、あなただけではありません。多くの働く人が、連休明けに同じような憂鬱を経験しています。
なぜ連休明けに「会社に行きたくない」と感じるのでしょうか。予防法は? 実際にその状態になったときの対処法を、AGO global株式会社・湯山 卓先生が解説します。
なぜ連休明けは会社に行きたくないのか?
連休明けに会社に行きたくない気持ちは、単なる「怠け」や「甘え」ではありません。心理学的・生理学的なメカニズムが働いています。
生活リズムの乱れにより体内時計のズレが起きている
連休中は、平日とは異なる生活リズムで過ごすことが多くなります。夜更かしをしたり、朝寝坊をしたり、食事の時間が不規則になったりと、体内時計が平日モードから休日モードへとシフトします。
3連休以上になると、体内時計が完全に休日リズムに適応してしまいます。そこから再び平日の早起きリズムに戻すのは、想像以上に身体への負担が大きいのです。
これは軽度の「時差ボケ」に似た状態で、「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」と呼ばれています。

朝起きるべき時間に体が「まだ休息が必要」と判断しているため、強い倦怠感や眠気を感じ、「会社に行きたくない」という気持ちが増幅されます。
心理的な切り替えができていない
連休中、仕事から解放されて自由に過ごせる時間は、心にとって貴重なリラックス期間です。
好きなことをして、ストレスから離れ、自分のペースで生活できる。この快適な状態から、再び仕事モードに切り替えることは、心理的な抵抗を生みます。

仕事にストレスを感じている場合、連休は「避難場所」のような役割を果たします。
その避難場所から再びストレスフルな環境に戻ることへの抵抗感が、「会社に行きたくない」という強い感情として現れるのです。
休日に好きなことをしているとき、脳内では「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンや、快楽物質ドーパミンが分泌されます。
連休中にこれらが高い状態が続いた後、仕事という刺激の少ない(あるいはストレスフルな)環境に戻ると、これらの神経伝達物質のレベルが急降下します。
この落差が、憂鬱感や意欲の低下として現れます。脳が「楽しいことからつまらないことへの移行」を嫌がっているのです。
「休み明けのタスク」が多い、面倒な仕事が待っている
連休明けには、溜まったメールの処理、滞っていた業務の再開、会議の調整など、多くのタスクが待ち構えています。
頭の中で「あれもこれもやらなければ」とタスクリストが膨れ上がり、圧倒されてしまいます。
この状態では、まだ何も始まっていないのに、すでに疲れてしまいます。休み中に仕事のメールをチェックしていた場合、溜まっていく未処理の案件を見て、休み中から憂鬱になるという悪循環に陥ります。

仕事の嫌なことを“予期”し、不安や憂うつを感じている
日曜日の夕方から夜にかけて、翌日の仕事を想像して憂鬱になる現象は「サザエさん症候群」や「ブルーマンデー効果」として知られています。
これは「予期不安」の一種で、実際に嫌なことが起きる前から、それを想像して不安や憂鬱を感じる心理メカニズムです。
人間の脳は、将来の脅威を予測して準備する能力を持っていますが、この機能が過剰に働くと、まだ起きていないことへの不安で現在を苦しめてしまいます。
職場環境にストレスが多い
そもそも職場に大きなストレス要因がある場合、連休はそのストレスから一時的に解放される時間です。
その解放感の後に、再びストレス源に向き合わなければならないという現実が、強い抵抗感を生みます。この場合、「会社に行きたくない」は、職場環境の問題を示す重要なサインでもあります。
湯山先生からも、以下のコメントが。
湯川先生:
人事の現場では、連休明けの欠勤やパフォーマンス低下を「個人のやる気」の問題にしがちですが、実際には「社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)」という生理的な不一致が原因です 。
また、自律神経の観点から言えば、連休中のリラックスモード(副交感神経優位)から、仕事の戦闘モード(交感神経優位)へ急激にギアを入れ替えようとすると、心身に強い摩擦が生じます 。
「会社に行きたくない」と感じるのは、あなたがこれまで一生懸命働いてきた証拠でもあります。自律神経のバランスを整えるには、自分を責めず、小さなステップで日常に戻っていくことが近道です。
「会社に行きたくない」を予防することはできる?
連休明けの憂鬱を完全に消すことは難しいかもしれませんが、予防策を講じることで、その程度を軽減することは可能です。
予防策1 連休中も生活リズムをある程度維持する
完全に平日と同じ生活をする必要はありませんが、起床時間と就寝時間を平日から大きくずらさないことが重要です。
理想的には、平日との差を2時間以内に抑えることで、体内時計の乱れを最小限にできます。
たとえ夜更かしをしても、翌朝は比較的早めに起きて、日光を浴びることで体内時計をリセットしましょう。その後、昼寝を30分程度とることで、睡眠不足を補うことができます。
予防策2 連休最終日は「助走日」として位置づける
連休最終日まで全力で遊ぶのではなく、最終日は「仕事モードへの助走日」として、ゆったり過ごすことを推奨します。
家でのんびり過ごす、軽い片付けをする、翌日の準備をするなど、心と体を徐々に仕事モードに切り替えていきます。

また、連休最終日の夜は、軽いストレッチやお風呂にゆっくり浸かるなど、リラックスする時間を設けましょう。
ただし、寝る直前のスマホやPCは避け、睡眠の質を高めることが大切です。
予防策3 休み中は仕事のことを考えすぎない
休暇中に仕事のメールをチェックし続けたり、仕事のことばかり考えたりすると、脳が十分に休まりません。可能な限り、休暇中は仕事から完全に離れることが理想です。
緊急の連絡手段だけは確保しつつ、基本的には「休暇中」のステータスを明確にし、仕事のメールアプリを一時的に削除したり、通知をオフにしたりすることも検討してください。
予防策4 連休明けのスケジュールを軽めに設定する
可能であれば、連休明け初日は重要な会議や締め切りを入れず、比較的軽めのスケジュールにしておきましょう。
いきなり全開で働くのではなく、徐々にペースを上げていく方が、心理的負担が少なくなります。
予防策5 連休明けに楽しみを用意する
連休明けの週に、何か楽しみなことを予定しておくと、出勤へのモチベーションが少し上がります。
美味しいランチの予約、仕事帰りに立ち寄りたいカフェ、週末の予定など、「これがあるから頑張ろう」と思える要素を意図的に配置しましょう。
また、連休明け初日の朝食やランチを、少し特別なものにするのも効果的です。好きなパンやスイーツを用意しておくだけで、朝起きる小さな動機付けになります。
予防策6 連休前に仕事を整理しておく
可能な限り、連休前に仕事を区切りの良いところまで進めておくことで、連休明けの負担が軽減されます。緊急性の高いメールへの返信や、簡単に終わるタスクは連休前に片付けておきましょう。
また、連休明けに対応すべき事項を簡単にメモしておくことで、休み明けに「何をすべきだったか」を思い出す時間を短縮できます。
どうする?「会社に行きたくない」ときの対処法
予防策を講じても、それでも「会社に行きたくない」という気持ちになってしまった場合の対処法を紹介します。
対処法1 「とりあえず5分」「とりあえず出社するだけ」と小さく考える
大きなタスクは圧倒的に感じますが、小さく分解することで取り組みやすくなります。
「今日一日働く」ではなく、「とりあえず布団から出る」「とりあえず着替える」「とりあえず家を出る」と、ハードルを下げていきます。
出社してしまえば、意外と仕事モードに入れることもあります。「とりあえず午前中だけ」「とりあえず昼休みまで」と、小刻みに目標を設定することで、一日を乗り切りやすくなります。
対処法2 朝のルーティンを整える
朝起きて最初の行動が、その日のトーンを決めます。好きな音楽をかける、美味しいコーヒーを淹れる、簡単なストレッチをするなど、気分が少し上がる朝のルーティンを作りましょう。

また、前夜に翌日の服や持ち物を準備しておくことで、朝の決断疲れを減らすことができます。朝の負担を減らせば減らすほど、出勤のハードルが下がります。
対処法3 通勤時間を「移行期間」として活用
通勤時間を、「プライベートモード」から「仕事モード」への移行期間として意識的に使いましょう。好きな音楽を聴く、ポッドキャストを聞く、読書をするなど、気分が上がる活動を取り入れます。
あるいは、通勤時間に軽い瞑想や深呼吸をすることで、心を落ち着かせることもできます。「通勤=苦痛」ではなく「通勤=自分の時間」と捉え直すことが鍵です。
対処法4 初日は「慣らし運転」と割り切る
連休明け初日から完璧を目指す必要はありません。「今日は慣らし運転の日」と割り切り、溜まったメールの整理や簡単なタスクから始めましょう。
重要な判断や創造的な作業は、脳が仕事モードに完全に戻った2日目以降に回すのも一つの戦略です。自分に「初日は60%の力で良い」と許可を与えましょう。
対処法5 同僚と憂鬱を共有する
「連休明けしんどいですね」と同僚と共有するだけで、気持ちが少し軽くなることがあります。自分だけが特別につらいわけではないと分かると、孤独感が和らぎます。
ただし、あまりにもネガティブな話ばかりになると逆効果なので、「でも今週末にはまた休みですね」など、前向きな要素も混ぜることがポイントです。

対処法6 ランチや休憩時間を充実させる
一日の中に楽しみを作ることで、「会社に行きたくない」気持ちが少し和らぎます。
美味しいランチを食べに行く、午後のおやつを用意する、休憩時間に外の空気を吸うなど、小さな報酬を自分に与えましょう。
対処法7 帰宅後のリラックスタイムを確保
仕事から帰った後に、自分をケアする時間を意識的に設けることも重要です。
好きな映画を見る、ゆっくりお風呂に入る、趣味の時間を持つなど、「仕事は仕事、プライベートはプライベート」と切り替えることで、翌日への憂鬱が軽減されます。
対処法8 「今日できたこと」を認める
一日の終わりに、「今日できなかったこと」ではなく「今日できたこと」に目を向ける習慣をつけましょう。どんなに小さなことでも、出社できたこと自体が素晴らしい成果です。
「今日も一日よく頑張った」と自分を労うことで、自己肯定感が上がり、翌日への活力につながります。
会社を休んだほうがいい心身のSOSサイン
「会社に行きたくない」という気持ちが、単なる連休明けの憂鬱を超えて、心身の限界を示すサインになっている場合があります。
以下のような症状が見られる場合は、無理に出社せず、休むことを検討してください。
身体的なSOSサイン
朝起きられない、起き上がれない
目覚ましが鳴っても体が動かない、ベッドから出ることが物理的に困難激しい頭痛やめまい
立っていられないほどの頭痛、頻繁なめまいや吐き気動悸や過呼吸
仕事のことを考えると心臓がドキドキする、呼吸が苦しくなる胃痛や下痢
連続して胃痛や下痢が続く、食欲が全くない不眠が続く
3日以上まともに眠れていない、夜中に何度も目が覚める体の震えや発汗
仕事のことを考えると体が震える、冷や汗が止まらない精神的なSOSサイン
涙が止まらない
理由もなく涙が出る、朝起きた瞬間から泣いている強い希死念慮
「消えてしまいたい」「死にたい」といった考え(希死念慮)が頭から離れない強い絶望感
「もう無理だ」「これからも良くならない」という絶望感パニック発作
突然の強い不安、恐怖、動悸、呼吸困難などの発作強い離人感
現実感がない、自分が自分でないような感覚極度の集中力低下
簡単な作業もできない、数分前のことも忘れる行動面でのSOSサイン
身だしなみが整えられない
シャワーを浴びる気力がない、着替えることができない引きこもってしまう
休日も外に出られない、人と会いたくない過度のアルコールや薬物への依存
お酒や薬で気分を紛らわせようとする頻度が増えている攻撃的な行動をしてしまう
些細なことでイライラする、物に当たる、周囲に攻撃的になる
上記の症状が2週間以上続いている、休日に休んでも回復しない場合は医療機関の受診を検討しましょう。
また、好きだったことに全く興味が持てない、人生に意味を感じられない状態が2週間続いた場合は、無理に出社せず、まずは心身を休めることを優先してください。
家族、友人、産業医、カウンセラーなど、信頼できる人に状況を話してみるのもよいでしょう。心療内科や精神科を受診し、専門家の診断を受けることも検討してください。
監修者プロフィール
AGO global株式会社
湯山 卓(世界のアゴタク)先生
・日本小児口腔発達学会学会員
・ORFS口腔機能支援士(認定番号10800号)
・あご体操でうつがみるみる消えていく(河出書房)
・AGOメソッド創始考案者
https://www.agoglobal.co.jp/
<Text:外薗 拓/Edit:編集部>


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