フィットネス
2020年10月19日

筋肉を効率的に増やす筋トレ方法「ストロングリフト5×5」とは

 筋トレの原則は、一定間隔の休息を挟みながらワークアウトの負荷を段階的に増やしていくことです。トレーニングで疲労した筋肉は適切な休息を与えることで修復され、以前より筋力が向上する「超回復」の理論は、筋トレを行ったことがある人なら知っていることでしょう。

関連記事:筋トレ後に起こる「超回復」とは。効率よく筋肉を作るトレーニングの頻度・休む期間・1週間メニュー例

 ところが、その原則を実行しようとなると、それほど簡単なことではありません。トレーニングする日の間隔が長くなりすぎたり、逆に充分な休息を取らずに連続してトレーニングを行ってしまうのはよくあること。また、ジムでバーベルに向かうと、ついその時の気分で適切でない重量や回数を選んでしまうこともあるでしょう。そこでおすすめしたいのが「StrongLifts 5×5(ストロングリフト ファイブ バイ ファイブ)」というメソッドです。

StrongLifts 5×5メソッドとは

 StrongLifts 5×5は、ワークアウトの回数と頻度を一定に定め、重量を同じぶんだけ毎回増やしていくという非常にシンプルなもの。しかし、とても効果的なやり方で人気があります。このメソッドについて、やり方と注意点をご紹介しましょう。

StrongLifts 5×5の基本ルール

基本のやり方

 5種類のワークアウトを5回5セット、週3回行います。ワークアウトは5種目で、それをセットAとセットBに分けます。

(例)
セットA:スクワット、ベンチプレス、バーベルロウ
セットB:スクワット、ショルダープレス、デッドリフト

 セットAを行ったら次回はセットB、その次はセットAと必ず交互に行います。各種目を5×5(5回5ラウンド)行い、デッドリフトのみ1×5(5回1ラウンド)行います。

 各種目の重量を前回のトレーニング日から2.5キロずつ増やしていきます。ただし、デッドリフトのみ5キロずつ増やしてください。

 同一トレーニング日内では、各種目の重量は変えません。5回5ラウンドをすべて同じ重量で行います。

回数と頻度

 トレーニングは週3回行い、間に必ず1日の休みを入れます(例:月、水、金)。12週間続けましょう。

トレーニング内容の実例

 筋トレ初心者の男性を例にしたスケジュールを作成してみました。以下のようになります。

目標は12週間続ける

 こうして週3回のトレーニングを定期的に行い、毎回重量を少しずつ増やしていきます。ただし、もちろん永遠に増やし続けることは不可能です。目安として、12週間を目標にしてみましょう。

 最初のうちは負荷が軽いので、セット間の休憩はほとんど取らなくてもできるはずです。トータルの時間は、20分もかからないかもしれません。しかし週が進むにつれ、セット間隔は長くなり、トレーニングにかかる時間は長くなっていきます。12週目となると、1時間以上かかる可能性もあるでしょう。

StrongLifts 5x5を始めるときの注意点

1番初めは、物足りないぐらいの軽い重量から始める

 各種目における第1回目の重量は非常に大切です。基本的には、物足りないぐらいの軽い重量で始めます。自分の5RM(5回をやっと挙げられる重量)が分かる人は、その50%で始めてください。筋トレ初心者は、バーにプレートをつけない(20キロ)ところから始めてみましょう。デッドリフトのみ男性40キロ、女性30キロが標準的な初回重量です。

 最初のうちは「これで本当に効果があるのか」と思うぐらい軽い設定でしょう。しかし、心配はいりません。そのうちに、必ずキツくなるはずです。

キツくなってもフォームを崩さない、重量を軽くしない

 5回5セットを挙げられなくなる日は必ずやってきます。その際に大切なことは、あくまでも正しいフォームで行うこと。そして、その日は重量を軽くしないことです。仮に100キロのベンチプレスが2ラウンド目で3回しかできなかったとすれば、100キロのまま3ラウンド目以降を、可能なだけの回数を正しいフォームで行ってください。そして、次にベンチプレスを行う日は重量を前回成功したものより軽くして、たとえば95キロから再開しましょう。

 12週間プログラムの開始前と終了後で、1RM(1回だけ挙げられる最大重量)の値を比較して効果を測るとよいでしょう。多くの人が、このプログラムによって自己記録を更新します。

各種目でチェックするべき重要ポイント

 回数と重量はもちろんですが、各動作を正しいフォームで行うことも重要です。ここで、各種目でチェックするべき重要ポイントを挙げておきます。このポイントがひとつでも欠けた場合は、挙上回数に含めません。

スクワットの場合

・しゃがんだときは、お尻を膝より低い位置まで下げて1秒停止。
・立ち上がったときは腰と膝を完全に伸ばす。

ベンチプレスの場合

・背中をベンチから浮かさず、両足も床につける。
・バーを下ろしたときはバーを胸につける。
・バーを挙げたときは肘を完全に伸ばす。

バーベルロウの場合

・バーを下げたときは肘を伸ばす。
・バーを挙げるときは腰と膝を曲げたまま、肘を体の後方まで引っ張る。

ショルダープレスの場合

・腰と膝は常に伸ばしたままとし、反動はつけない。
・バーを下げたときはバーを肩につける。
・バーを挙げたときは肘を完全に伸ばし、バーが頭の真上にくるところで1秒停止。

デッドリフトの場合

・肘を伸ばした状態から始める。
・バーを挙げるときは腰と膝を完全に伸ばす。
・バーを下げるときはスピードをコントロールしてゆっくり下ろす。

専用アプリもあわせて使うと便利

 必須というわけではありませんが、専用アプリをダウンロードして使うと便利です。その日の重量と回数を入力すると、次回のメニューを自動的に指示してくれます。また、成長の様子をグラフで確認することも可能です。下の写真は筆者のアプリ使用例としてご覧ください。

・Stronglifts 5x5 Weight Lifting
《ダウンロード》iOS(iPhone)Android

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text & Photo:角谷剛>