フィットネス
2019年3月21日

マラソンのエイドっていつ寄ればいいの?ランニングドクターに素朴なギモンを聞いてみた (2/2)

―― エイドステーションに寄るタイミングや注意点を教えてください。

大会のときよく、「こまめに十分に水分補給をしてください」とアナウンスがあります。なので、初心者の方はこまめに水分を摂りがちですが、ナトリウムを含んでいない水分をたくさん摂りすぎると水中毒になってしまうこともあるんです。

水中毒になると脱水症状のようにふらふらしてしまいますが、これを脱水症状と勘違いをしてどんどん水分を摂ってしまうととても危険。必ず経口補水液を飲むなどして対策しましょう。飲むときにもポイントがあります。“のどが渇く前に”飲むのではなく、“のどが渇いてから”すぐに飲むようにしてください。

―― 水分はどれぐらい摂ったらいいですか。

もちろん体格や天候なども関係するので一概には言えませんが、だいたい1時間に400ml(ミリリットル)から800ml程度が目安です。ほとんどの大会では5キロごとに給水ポイントがあります。気温が低い日や小柄なランナーや少し遅めの市民ランナーはカップの半分以下の50 ml~100ml程度、気温が高い日や体格の大きい人は、カップの半分以上100 ml~150 mlを目安に摂るといいでしょう。

給食の食いだめもおすすめしません。胃の動きが悪くなってしまい吐いてしまうリスクがあります。給食は摂りすぎず、少しずつ、気持ち悪くならない程度にしておきましょう。

―― 水分&エネルギー補給におすすめのものはありますか。

最近はエネルギー補給用、筋肉疲労対策用のアミノ酸系のものなどいろんな種類のジェル(補給食)があります。それを携帯してコンパクトに補給するランナーも増えていますが、多くのマラソン大会のエイドにおいてあるトマトやバナナもおすすめです。みずみずしい水分たっぷりのトマトはグルタミン酸などの疲労回復成分を含み、活性酸素を減らしてくれるので紫外線対策にもなります。注意した方がいいのは食物繊維が豊富に入っているもの。大腸にガスができて腹痛の原因になってしまいます。

―― 走っている途中にわき腹が痛くなるのは、給水や給食のせいですか?

わき腹が痛くなるのは、ペースを飛ばしすぎているときに起きてしまうことが多いです。これは、横隔膜や筋肉や内臓へ酸素を運ぶ血流不足が原因とされているので給水や給食とほとんど関係ありません。もし痛くなったら、酸素が足りないことが原因なので、スローダウンして深呼吸をしてみてください。

わき腹が痛くなるのは、給水のせいではなかったのですね……! であればどんどん水を摂取したいところですが、給水はのどが渇いてからすぐに摂るようにして、水中毒には十分注意したいものです。

参加するマラソンコースが分かったら、エイドステーションの位置を確認して、どこに何が置いてあるか、いつ寄るのかなど事前にシュミレーションしておくといいかもしれません。

そして、水分&エネルギー補給にはトマトもぜひ試してみましょう!

[プロフィール]
中村集(なかむら・しゅう)
集クリニック院長。日本体育協会公認スポーツドクター。日本消化器病学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。1980年、東邦大学医学部卒業後、同大橋病院第3外科、同佐倉病院勤務。その後、一宮温泉病院(山梨県)にて訪問診療などの地域医療、回復期リハビリテーション医療に携わる。現在、杉並区で在宅医療に尽力する傍ら、NPO法人日本医師ジョガーズ連盟(JMJA)理事兼ランニングドクターや「かくれ脱水」委員会委員も務める。

<Text & Photo:アート・サプライ/写真協力:一般財団法人東京マラソン財団>

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