フィットネス
2024年7月18日

筋トレのタイムを測るメリットと、時間制限を設けたトレーニングメニュー

筋トレの回数と重量は気にしても、「時間」を気にかける方は少ないかもしれません。しかしどのようなワークアウトでも、トレーニングにかける負荷(回数×重量)と同じぐらい、それにかかる時間はとても重要な指標です。

今回は筋トレのタイムを測るメリットと、時間制限を設けたトレーニングメニューを解説します。

時間制限があるかないかで、トレーニング効果は変わる

腕立て伏せを10回3セット行うというメニューがあったとしましょう。これを1分間以内で急いで行うのか、あるいは無制限にゆっくり時間をかけて行うのかでは、トレーニング効果は大きく異なります。

時間の違いをもたらすものは、インターバルの休憩時間であったり、動作そのもののスピードであったりするからです。

クロスフィットで行うワークアウトのほとんどは、普段から以下のいずれかのやり方が指定されます。

1. 制限時間内にできるだけ多くの回数をこなす(As Many Reps As Possible)
2. 決められた回数をできるだけ速いタイムでこなす(For Time)

1は回数、2はタイムを記録しておきます。他人や過去の自分と比較することで、能力と成長度を客観的に測定することができます。

もともと、ほとんどのスポーツにはある種の時間制限があり、好きなだけ時間をかけられる局面はあまりありません。

そのことを考えると、筋トレをスポーツに活かそうと思う人は、時間の概念を持ち込む意味も大きくなります。

時間制限つきトレーニングメニュー

クロスフィットの自重トレーニングとして代表的な“Cindy(シンディ)”を例にして、時間制限を設けたワークアウトをご紹介します。

Cindy1セットの内容は「懸垂5回+腕立て伏せ10回+自重スクワット15回」です。

Cindy(シンディ)ワークアウトメニュー
└懸垂      5回
└腕立て伏せ   10回
└自重スクワット 15回

懸垂5回(鉄棒がない場合は逆立ち腕立て伏せで代用)

鉄棒から両肘を完全に伸ばしてぶら下がり、顎が鉄棒の上にくるまで体を持ち上げる。

腕立て伏せ10回

両腕と両足を伸ばし、体幹を一直線にした状態から、胸が地面に着くまで体を下げる。

自重スクワット15回

両膝と腰を完全に伸ばして直立した状態から、お尻が膝より下の位置にくるまでしゃがむ。

時間制限のバリエーション

AMRAP(制限時間内にできるだけ多くの回数をこなす)

AMRAPとは「As Many Reps As Possible」の略。本来の”Cindy”は、上記セット(懸垂5回+腕立て伏せ10回+自重スクワット15回)を20分で何セットこなせるかを測るものです。

1分1セットのペースで動き続けたら20分で20セット。それくらいが、クロスフィットで1人前とされるレベルといえます。

なお、あえて制限時間を短く設定することによって、短・中距離系のスピードとパワーの向上を目指すこともあります。

For Time(決められた回数をできるだけ速く行う)

たとえば20セットをできるだけ速く行います。さきほどのトレーニングメニューですと20分以内に20セットをこなせたらよいでしょう。

それより時間がかかる人は、筋持久力が不足しているか心肺能力が低いか、あるいはその両方です。

休憩をとりながらで構いませんので、決められたセット数をとにかく終了させることによって、体力と精神力の向上を目指します。

この場合も、あえてセット数を少なく設定し、持久力よりスピードを重視するやり方もあります。

EMOM(一定したペースを保つ)

EMOMは「Every Minute On Minute」の略。毎分開始時に1セットを行い、時計の秒針が次の分になるまで休憩しましょう。つまり、1分以内の1セットを速くこなせばこなすほど休憩時間が長くなります。

動作を速く行って長く休むか、あるいは動作はゆっくり行うものの休憩を短くするか、どちらかの選択です。

ちなみに「20 EMOM」と指示されたら、「1分1セットのペースで20セット行う」という意味。自分のペースを管理する能力と、回復力を高める陸上競技のインターバル走に似た効果があります。

EMOMは負荷を上げることより、あくまでも一定のペースを保つことが目的です。筋トレ初心者は、Cindy1セットを1分以内に行うことは難しいでしょう。

その場合は、懸垂3回、腕立て伏せ5回、スクワット10回などセット内の回数を少なく設定してください。中・上級者は、1分1セットのペースを維持できる時間をできるだけ伸ばしていきましょう。

どのやり方でも、必ず正確なフォームで行うこと

どのやり方で行うにしても、スコアを上げることが目的になってはいけません。常に正しいフォームで動作を行うこと。トレーニング効果を上げるうえで、それが最優先されるべき鉄則です。

逆にいえば、まだ慣れていなくてフォームを習得中の動作は、時間を区切らずに取り組む方が賢明でしょう。

筆者プロフィール

角谷剛(かくたに・ごう)

アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text :角谷剛>