骨盤のゆがみを改善する簡単ストレッチ。「足踏み」でセルフチェックしてみよう
新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務やデスクワークが増えました。スポーツジムの休館から、運動不足になった人は多いかもしれません。そのような状況下、目を向けてほしいのが「骨盤」です。骨盤のゆがみはよくない姿勢だけでなく、長時間同じ体勢でいることも原因のひとつと考えられています。
よく「脚を組んで座る癖があるから、反対側でも組んで整えるようにしている」という話を聞きますが、これは複合的なゆがみを引き起こします。また、猫背のように姿勢が悪い人は、骨盤の後傾やズレを自覚しているケースが多いですが、「私は姿勢がいいから大丈夫」と思っている人の中にも、実は骨盤が前傾して反り腰になっている人もいます。
今回は骨盤のゆがみを自分で確認する方法と、改善ストレッチについて解説します。自分で姿勢がいいと思っている方も、ぜひ確認してみてください。
骨盤がゆがむと、どうなるの?
骨盤がゆがんでいると、以下のような不調に繋がりやすくなります。
1)関節痛
骨盤がゆがむと、足に均等に体重が乗らず、片方だけに必要以上の負担が加わり続けることになります。結果として、股関節・膝・足首といった関節を傷めやすくなります。
2)神経痛
骨盤がゆがむと、骨盤周辺の筋肉に偏りが出ます。その結果、縮んで硬くなってしまうところが出てくるでしょう。筋肉が縮み固まり続けていると、関節や骨に必要以上に負担がかかり、ときには潰れてしまいます。そうなると、骨の中にある神経にも負荷がかかり、神経痛が出てしまいます。背中が曲がった高齢者は、多くがその症状です。
3)内臓の不調
骨盤は内臓の受け皿になっています。その受け皿がいつも傾いていると、内臓に負荷がかかり、正常に働かなくなる、血流が悪くなるなど不調が出てしまうでしょう。骨盤は想像している以上に重要なのです。
骨盤のゆがみのチェック方法
骨盤のゆがみをチェックしてみましょう。床に目印を付け、目をつぶったままその場で足踏みをしてください。前後左右を確認し、周囲に何もない空間で行うといいでしょう。
このとき、腕は肩と水平になるまで上げ、膝は股関節と同じ高さまで上げることがポイントです。
前後左右どの方向でも15cm以上動いてしまった人は要注意。15cm以上動いたあとに元へ戻っていた人も注意が必要です。また、向きが変わってしまった人も骨盤がゆがんでいるかもしれません。
骨盤のゆがみを改善するには
骨盤には多くの筋肉が関わっており、それらが固まっていると骨盤はゆがんでしまいます。したがって、骨盤のゆがみを戻すには、周辺の筋肉をほぐすストレッチが有効です。骨盤に関わる主な筋肉は、以下の5種類です。
1.「腸腰筋(ちょうようきん)」
⇒骨盤の中を通り、背骨と太ももの骨についている筋肉
2.「臀筋(でんきん)」
⇒お尻の筋肉
3.大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
⇒太ももの前の筋肉
4.大腿二頭筋(だいたいにとうきん)
⇒太ももの後ろの筋肉。ハムストリングとも呼ばれる
5.内転筋(ないてんきん)
⇒太ももの内側についている筋肉
腸腰筋ストレッチ
マットなどを敷いた床で行いましょう。
脚を前後に開きます。膝は曲がっても構いません。手を脚の間の床につき、後ろ脚の股関節を伸ばします。左右両方で行ってください。
臀筋ストレッチ
イスに座って行います。
片脚の足首を、もう片方の脚の膝に乗せます。乗せた脚を横に開き、身体を前に倒すと、お尻の筋肉を伸ばせます。左右両方で行いましょう。
大腿四頭筋ストレッチ
マットなどを敷いた床で行いましょう。
仰向けになり、片脚を後ろへ深く折り曲げてお腹を引っ込めると、大腿四頭筋を伸ばすことができます。左右両方で行ってください。体が固い人は、上体を起こして行っても構いません。
両脚同時に行う方法もありますが、左右の筋肉は強さも柔軟性も均等ではありません。そのため、できれば片方ずつ行った方がいいでしょう。
大腿二頭筋ストレッチ
マットなどを敷いた床で行いましょう。
長座(両脚を伸ばして座った状態)から片脚を曲げ、あぐらをかくように横へ開きます。前屈すると、大腿二頭筋を伸ばすことができます。左右両方で行ってください。
こちらも、大腿四頭筋と同じ理由から片方ずつ行った方がよいでしょう。
内転筋ストレッチ
立った姿勢で行いましょう。
お相撲さんの四股を踏む体勢のように、両膝を180度横に開き、床と平行になるよう中腰の姿勢となります。このとき、手は両膝に置いてください。片方の肩を入れるように膝を押すと、押された方の脚の内転筋を伸ばすことができます。このストレッチも、左右両方で行いましょう。
なお、どのストレッチも約20秒、呼吸を止めず脱力しながら行うようにしてください。
<プロフィール>
赤堀達也(あかほり・たつや)
1975年・静岡県出身。小中大でバスケを指導し、独創的理論・論理的指導で体力テスト低水準校が県大会優勝するなど選手育成を得意とする。最高戦績は全国準優勝。
2019年度より旭川大学短期大学部准教授として、この理論を応用した幼児体育・健康の研究を行い北海道の子どもの体力向上に努める。またパーソナルストレッチやスポーツスタッキング、部活動改革にも取組む。
[HP] https://mt-a.jimdo.com
<Text:赤堀達也>