走ると膝が痛い人へ。5つのエクササイズで痛み対策を|プロが教えるコンディショニング (1/3)
多くのランナーにとって、膝の痛みはもっともやっかいな悩みのひとつです。中には、走るということ自体が膝に悪い行為だと言う人までいます。
確かに走ると膝に痛みを感じる人が多くいるのは事実でしょう。しかし実際には、走るという動作はむしろ膝の関節にいい影響をもたらすとする説も、最近では見聞きするようになりました。
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また、日常的に長い距離を走るランナーの方が、あまり走らないランナーより膝の痛みを経験する確率が低いことを発見した別の研究(*1)もあります。
それでもランナーに膝の故障が多いわけ
このように、ランニングは膝に悪くないとする臨床医学的データが存在します。それにもかかわらず、ランナーたちの間では膝の故障はいまだに珍しいものではありません。
2019年2月に『スポーツ科学と医学ジャーナル』に掲載された論文(*2)によると、ランナーが経験した故障のうち約28%が膝周辺で起きていて、これは身体のどの箇所より多いということです。
また同論文は、膝周辺の故障は男性より女性に起こりやすいともしています。
膝の故障、もっとも多い原因は
故障の原因としては、急に走行距離を増やす、ペースが速すぎる、休息が足りないなど、いわゆる「走り過ぎ」による蓄積疲労が最初に挙げられます。
この他に、ランニングフォームが原因で膝に不自然な負担がかかっている可能性もあるでしょう。あるいは体重が重すぎて、膝が負荷に耐えられていないことも考えられます。
膝を故障してしまったランナーは、こうした要因に一つずつ向き合っていくしかありません。そして、それらへの対策を行うと同時に、膝を支える筋肉群の筋力を向上させることも故障からの回復を早め、再発を防ぐために有効です。
膝を支える筋肉群をバランスよく鍛えるとよい
言うまでもないことですが、膝は腰と足先の真ん中部分にある関節です。走る動作サイクルにおいて膝はその動きの中心となり、多くの筋肉を動かす役目をします。
膝を曲げるとハムストリングス(太股の裏側)が収縮し、大腿四頭筋(太股の前面)が拡張します。そして膝を伸ばすときは、両方の役目が交代します。
このように、ある動作において反対の働きをする筋肉を主動作筋と拮抗筋と呼び、それらの筋力に不均衡があると故障を誘発する大きな原因になります。
そのため、膝を守るためには、その周辺の筋肉群すべてをバランスよく鍛える必要があります。本記事のタイトルを「筋トレ」という単語ではなく「コンディショニング」としたのは、それが理由です。
そのためにおすすめのエクササイズを、いくつか紹介していきましょう。
膝の故障を防ぐコンディショニングエクササイズ
スクワット
- 両足を肩幅ぐらいに広げて、まっすぐに立つ
- お尻を後方に突き出し、お尻が膝より低くなるまでしゃがむ
- 膝と腰を完全に伸ばして立ち上がる
押さえたいポイント
- 背筋の自然なカーブを維持する
- 視線は前方か、やや上向き
- かかとは常に地面につける
- 両膝をやや外側に開く