【マラソンタイムを縮める練習】坂道を走る効果とは (1/2)
「もっと速く走りたい」というランナーは、試行錯誤しながら日々のトレーニングに取り組んでいることでしょう。ジョギングはもちろんLSD(ロングスローディスタンス)やペース走、インターバルなど、練習方法は多様です。
今回は、走力アップを目指す人におすすめしたい「坂ダッシュ」について紹介します。上りと下りを走ることで、どのような効果が期待できるのか? 具体的なトレーニングメニューも取り上げますので、ぜひ参考にしてください。
坂ダッシュで得られる効果とは
坂ダッシュと聞くと、坂を思いきり駆け上がるシーンをイメージする方が多いでしょう。もちろん、それも有効なトレーニングです。ただし走力アップを目指すなら、ぜひ“下りダッシュ”も取り組んでみてください。上りと下りそれぞれの効果を解説します。
上りダッシュの効果
心肺機能が向上する
上り坂では同じペースでも、平地と比べて息が上がりやすくなります。これは心肺に強い刺激が加わっているためです。この状態でトレーニングを継続すると、心肺機能の向上が見込めるでしょう。なお、下り坂でもピッチを落とさずハイペースで走れば、同様に心肺機能の向上が見込めます。
力強い蹴り出しができる
上り坂を走るときは、ハムストリングスやお尻(大臀筋)など、脚の裏側にある大きな筋肉が自然と使われます。これら筋肉によって地面を蹴り出し、身体を上前方方向へ押し出さなくてはいけません。その結果、力強く蹴り出せるダイナミックな走りが獲得できます。
下りダッシュの効果
衝撃耐性を高める
下り坂ではどうしても上下動が大きくなり、上から落ちるような形で走ることになります。そのため、平地と比べて足が地面から受ける着地衝撃も大きくなるでしょう。これを繰り返し走ることで、着地衝撃への体勢が高まります。つまり衝撃に耐えられる筋力が身につき、疲労しにくくなります。
最大スピードの向上を目指すことができる
下り坂では身体を前傾させてヒールアップ(踵を上げる)だけで、自然と重心移動が生まれて身体が前に進みます。ここに反発や蹴り出しの力を加えることで、平地では出せないようなスピードで走ることができるでしょう。これを“オーバースピードトレーニング”と呼びます。繰り返すことでそのスピードに必要となる動作に身体が慣れ、最大スピードの向上が見込めます。
坂ダッシュトレーニングのやり方
坂ダッシュは身体への負担が大きいため、高頻度で行わないようにしてください。週3日以内に留め、疲労度合いを見ながら組み込むことをおすすめします。
インターバル走
「上り坂ダッシュ→下りジョグ」を繰り返します。スピードは全力の8割程度とし、最後まで落とさないようにしてください。坂道の勾配や長さにもよりますが、10~15本程度を目安に行いましょう。
なお、走力アップを目指すなら、逆の「下り坂ダッシュ→上り坂ジョグ」も同様に実施します。ただし、下り坂ダッシュは下肢への負担が大きいため、回数は上り坂より少なめにしましょう。