インタビュー
2021年1月14日

ラストアイドル奥村優希「バスケで大怪我を経験したことで忍耐力が身についた」(後編)│アイドルと、スポーツと、青春と。#33 (1/2)

 スポーツにガチで打ち込んだ経験を持つアイドルに、その思い出や競技の魅力について語ってもらうインタビュー連載「アイドルと、スポーツと、青春と。」。

 今回話を聞いたのは、アイドルグループ・ラストアイドルの奥村優希さんです。小中高の9年間にわたってバスケットボールを続け、中高では県ベスト8も経験。不運にも高校時代に大きな怪我を負ってしまったものの、バスケを通じて得た経験は現在のアイドル活動にも活きているとか。

 後編では、高校時代のエピソードと、バスケで得た学びがどのような糧になっているのかを語ってもらいました。

前編:ラストアイドル奥村優希「バスケをやっていない自分は想像できなかった」(前編)│アイドルと、スポーツと、青春と。#33

大怪我をきっかけに変わった価値観

――強豪高校にスポーツ推薦で入ると“活躍しなければ“というプレッシャーを感じそうです。

そうですね。今でも覚えてるのは、普通のパスが強すぎて取れなかったんですよ。推薦で入ったから「上手なのかな」って注目されてるのに、パスも取れないなんて……って落ち込んで。帰り道に幼馴染とふたりで「もう無理だ、やめようぜ」って冗談で言い合ってましたね。

――後ろ向きな気持ちが変わったのは、どんなきっかけがあったのでしょうか。

5月に最初の遠征が決まっていたのですが、1年生は3人しか連れて行かないと言われていて。必死に練習していたら、なんとかその3人に入れたんです。それでまた頑張ろうと思えるようになりました。ただ、遠征から帰ってきたら過去に経験したことがないくらい疲れてたのを覚えていて。布団も敷かずに寝ちゃったんですよ。

――それくらいタフな遠征だったんでしょうね。

試合をしただけだから体力的にはそうでもなかったはずなので、緊張とかで精神的に疲れたんだと思います。

――そこまでは順調だったのに、その後、大怪我をしてしまったんですよね。

はい。高1の秋、10月の大会が終わった後の練習試合で。パスをもらって一歩踏み出した瞬間に激痛が走って、その後も立てないくらいの強い痛みがあったので病院に行ったんですけど、MRIを撮っても「靭帯が切れてるかどうかは手術で開けてみないとわからない」と言われてしまって。

――それは判断に迷いますよね。

手術したら回復が遅れるということだったので、そのときは少し休むことにしました。でも、練習に復帰した直後にダッシュの切り替えでまた痛めてしまって。それで手術することになったんです。

――復帰するまでにどれくらいかかったんですか?

普通なら8ヶ月はかかると言われたんですけど、意地でリハビリを6ヶ月で終えて復帰しました。

――その6ヶ月間は練習に参加できず、見学することしかできないわけですよね。

正直、自分がいるはずのポジションに別の選手がいる光景を見て「何をやってるんだろう……」って嫌になることもありました。でも、絶対に復帰すると決めていたので、ヒザを曲げるだけでも痛かったんですけど、筋トレを必死で頑張ったり、週2でおもりを上げるリハビリに通ったりしていました。

――途中で投げ出したくなった瞬間もあったのでは?

人生で1度だけ部活をサボったことがあって。リハビリに行くと嘘をついて遊びに行ったんですけど、まさかの大雪で電車が止まってしまって。それで帰れなくなってしまい、親にバレちゃいました(笑)。一生忘れられないですね、あの大雪は。悪いことはするもんじゃないなと学びましたね。

――怪我をしたことで得たこともあったのでしょうか?

中学まではずっとレギュラーだったから、誰かにポジションを取られるっていう経験をしたことがなくて。でも、挫折を味わったことで、忍耐強くなれたと思います。あの経験がなかったら、ラストアイドルで2期生アンダーになったときに「アンダーなんて無理!」と思ってやめていたかもしれません。でも、諦めずに続けたことで選抜にも入ることができました。

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