脇汗の臭い対策!臭う原因と直し方、流れ落ちる脇汗の止め方[皮膚科医監修] (1/2)
季節問わず気になる「わき汗」。そんな汗の悩みにフォーカスし、わき汗が出る理由やニオイの原因・対策について、渋谷スクランブル皮膚科の皮膚科医である下方征(しもかた・ただし)先生に聞いてみました。
脇汗の臭いが気になる! 原因と臭いが強い人の特徴
どんな人も脇の臭いはあるが、その強さは異なる
「多かれ少なかれ、どの人にもワキのニオイはあります。しかし、アポクリン腺が発達している人では、ワキのニオイはより強くなります。アポクリン腺から出る汗にはタンパク質、糖質、脂肪酸、ステロイド、鉄分、アンモニアなどが含まれていますが、これらを含む汗が皮膚にいる細菌(皮膚常在菌)によって分解されることで、臭いの原因物質が発生し、体臭やワキガ臭となります」(下方先生)
「ニオイの違いやワキガの程度についてはその人の常在菌の種類によっても左右されます。一方で、アポクリン腺が発達していない方では、ワキガ特有のニオイがすることは稀ですが、汗をたくさんかいた後に何もケアをしなければツンと酸っぱい汗のニオイがします」(下方先生)
ちなみに…気になるワキガチェック!
もしかして腋臭(わきが)!? ワキガかどうか分からなくて不安。気になる人は、以下の4項目をセルフチェックしてみましょう。
下着のワキの部分に色がつく
「アポクリン腺から分泌される成分によって、白い下着のワキの部分が黄ばむことがあります」(下方先生)
その日の終わりにワキの皮膚を触ると、ワックスを塗ったようなベトっとした感じがする
「アポクリン汗は脂肪酸を含み、ワキの皮膚を触れたときにベタつきがあります」(下方先生)
耳垢が湿っている
「アポクリン腺が発達している人の場合には、耳垢がカレーペーストのようなベタついたものになります。アポクリン汗が出ない人の場合には、クッキーのクズのような乾いた耳垢が出ます」(下方先生)
家族にワキガの人がいる
「アポクリン体質かどうかは、遺伝によります。そのため、家族がワキガの場合には自身にもワキガの可能性があります」(下方先生)
わき汗の臭いや量を抑える対策方法
いよいよ脇汗の量を抑える方法です。まずは以下のポイントを意識しましょう。
1.汗を拭く
「皮膚に付着した雑菌が繁殖してにおいが発生します。汗をかいたらこまめにボディシートなどでふいて雑菌を拭きとりましょう」(下方先生)
2.脱毛をする
「ワキ毛が雑菌繁殖場になり、ニオイが強くなることがあります。医療レーザー脱毛は汗のケアもしやすくなるため、ニオイ予防にも有効です」(下方先生)
3.クリニックで治療する
「ボトックスを注射して、汗を止める治療があります。またワキ汗を止めるマイクロ波治療や手術があります」(下方先生)
4.制汗剤など使用する
「汗を抑える効果(制汗)、肌を弱酸性に保ち雑菌の繁殖を防ぐ効果(抗菌)のある商品を使うと効果的です」(下方先生)
5.脇汗パッド(パッドつきインナー)を使う
「脇汗パッドも脇汗対策としてはひとつの手段となります。脇汗をすばやく吸収してくれるので、菌が繁殖しにくく、ニオイを抑える効果が期待できます」(下方先生)
ちなみによく聞く汗対策としてのベビーパウダー。あせも予防にはいいけれど、匂いや汗自体を減らす効果は期待できないそう。
「ベビーパウダーは胸やおしりの『あせも』を防ぐ効果はありますが、汗自体を減らすことはできません。ワキガの場合には拭き取りを怠ると、ニオイを悪化させる要因になることもあります」(下方先生)
ベビーパウダーは、あせもやべたつき対策には良さそうですね。
脇汗の量が気になる! 流れ落ちる脇汗対策
ワキ汗は他の箇所より量が多いような……気のせい?
実は、頭や背中のほうが汗量は多いのです。
「ワキ汗は体の他の部位よりたくさんの汗をかく印象があるかもしれません。しかし実際は頭や背中のほうが、ワキよりずっとたくさんの汗を出します。ではなぜ私達は頭や背中の汗よりも、ワキ汗が気になるのでしょうか。それは、汗をかき始める際、最初に出るのがワキ汗だからです。ワキとおでこは体温の変化に非常に敏感で、体温が上がり始めようとするごく初期、まだ体温がそこまで上がっていないときから汗をかき始めます。一方で頭や背中は、いよいよ体温が上がり始めた後半に、大量の汗を出し始めます。少し暑いなと思ったときに出始めるワキ汗に私達は敏感で、生活上の支障を感じるのです」(下方先生)
わき汗対策にミョウバンもひとつの選択肢
制汗剤にも使われており、わき汗ケアに期待できます。
「ミョウバンには、汗を抑える、肌を弱酸性に保ち、雑菌の繁殖を防ぐ、アルカリ性のニオイ成分を中和するという3つのはたらきがあります。制汗剤にも使用されているので、わき汗対策として効果が期待できるでしょう」(下方先生)
ボトックス(ボツリヌストキシン注射)で脇汗と臭いを抑える
汗を抑えるためにボトックスを考えている人もいるのでは。汗の量と臭いを抑える効果は期待できますが、ワキガ対策にはならないので注意!
「ボツリヌストキシン注射は、ワキやおでこの汗を抑える治療に使われます。1回の注射で、約4~6か月にわたって汗を抑えることができ、汗の量に悩んでいる方には効果的です。汗の量の減少に伴い汗のニオイも減らすことはできますが、ワキガの原因であるアポクリン汗は抑えることはできません」(下方先生)
なお、ボトックス以外でも新しい治療方法があるそう。
「汗の量も、ニオイも抑えたい場合には『ミラドライ』という多汗症の新しい治療機器(厚生労働省の認可あり)での治療がおすすめです。マイクロ波をワキに照射することで、汗の腺を破壊します。メスなどは使わず、入院の必要も無いため外来で治療が可能です」(下方先生)