フィットネス
2023年7月18日

【二重あご解消】“ガムを噛むこと”でフェイスラインが引き上がる可能性 (2/2)

効果的なガムの嚙み方「ガムトレ」

効果的な「ガムトレ」のポイントとしては、口を閉じてもぐもぐと噛む、奥歯で左右交互に噛む、少し多めの量のガムを噛むことがおすすめされています。

1.口を閉じてもぐもぐと噛む
 →口周りの筋肉の運動になります
2.奥歯で左右交互に噛む
 →奥歯で噛むことで筋肉が大きく動きます
3.少し多めの量のガムを噛む
 →板ガム1枚or粒ガム2粒以上がおすすめ

ロッテ噛むこと研究部 コメント

ガム咀嚼は口周りの筋肉や表情筋に作用することが報告されており、継続したガムトレーニングがフェイスラインにも影響するのではと考え、今回の研究を行いました。

今回の研究結果から、8週間のガムトレーニングにより左右のフェイスライン角度が増加し、顎下の皮膚のたるみ等に影響することで、フェイスラインが引き締められたことが示唆されました。

他にも、ガムを食後に噛むことでカロリー消費が4時間にわたって高まったり、ウォーキング中に噛むことで歩行速度が速くなり消費カロリーが高まるといった結果も報告されています。美容以外でも、継続的にガムを噛むことが、自律神経のバランスを改善し気分が改善されることで、唾液中の免疫物質の濃度が増加する研究結果も得られています。

ガムを噛むことで頭皮血流が増加するという結果や、習慣的にガム咀嚼時間が多い方が頭頂部の毛髪径が太いという結果も得られているため、今後はガムを継続的に噛むことによる毛髪の質や発毛への影響をより詳細に研究を進めていく予定です。

ガムは何かをしながら噛むことができますので、忙しい毎日を送る方々にも取り入れやすいトレーニングだと思います。美容や健康、心にもメリットをもたらしてくれるガムはまさに一石三鳥。ぜひ日常の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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専門家プロフィール

石野由美子(いしの ゆみこ)


歯科衛生士。日本咀嚼学会認定健康咀嚼指導士。日本口腔筋機能療法(MFT)学会副会長。日本成人矯正歯科学会理事。フェイスニング公認講師。二子玉川ガーデン矯正歯科勤務。昭和大学歯科病院口腔機能リハビリテーション科に非常勤勤務し、口腔機能障害に対する口腔リハビリテーションを専門に行う。著書に『愛され笑顔をつくる口元エクササイズ「若返り! モデルスマイル塾」』(小学館)。

研究結果概要

【掲載紙】
アンチ・エイジング医学ー日本抗加齢医学会(2023年19巻3号、49-53)
ガム咀嚼によるフェイスラインへの影響 ―オープンランダム化並行群間比較試験―
著者:松井 美咲、菅野 範、大澤 謙二、岡林 一登(所属:株式会社ロッテ 中央研究所)

【研究背景・目的】
近年、小顔にあこがれる女性は多く、小顔に見せるための努力や工夫をしたり、美容医療の利用率も増加しています1,2)。小顔阻害要因の一つであるたるみは、加齢とともに起こりやすいと言われており、見た目の印象を大きく左右します3-5)。顔には様々な筋肉が存在し、表情筋と呼ばれている表情を作るために必要な筋肉や、咀嚼に必要な咀嚼筋などがあります6,7)。これらの筋肉をマッサージやフェイシャルエクササイズなどにより鍛えることによるたるみ改善を目指した美容器具やメソッドも多々存在します8-10)。咀嚼によるトレーニングは直接肌に触れることなく簡便に咀嚼筋を動かし、連動して舌筋や表情筋など多くの筋肉へ作用することが報告されています11-13)。
本研究では8週間ガムを継続して咀嚼するトレーニングを行うことによるフェイスラインへの影響を、オープンランダム化並行群間比較試験により評価することを目的としました。

【研究方法】
対象:健康な21-49歳代女性56名
方法:8週間にわたり、1回2粒×10分間のガム咀嚼を毎食前に1日3回するガム咀嚼群と無摂取群に分け、フェイスライン角度(左右)、皮膚弾力性(右頬、顎下)、体重・BMI・体脂肪の測定やアンケートを介入前後で実施いたしました。

【結果・考察】
ガム咀嚼によるフェイスラインへの影響を検討した結果、8週間のガム咀嚼トレーニングにより無摂取群と比較して、左右のフェイスライン角度が有意に増加し、顎下皮膚弾力性における振幅最大値の有意な低下が認められました。また、アンケート結果から、試験前と比較し、顔のラインや肌状態の改善を感じている割合がガム咀嚼群で有意に多い結果も得られています。よって、ガム咀嚼による咀嚼筋などへの作用がフェイスラインの引き締めや顎下の皮膚のたるみに影響を及ぼした可能性が示唆されました。

参考文献
1)ユニ・チャーム株式会社 (「小顔」に関する意識調査) : https://www.atpress.ne.jp/news/82479
2)株式会社リクルートライフスタイル(美容医療の利用に関する実態調査):https://www.recruit.co.jp/newsroom/recruitlifestyle/uploads/2020/12/RecruitLifestyle_HBA_20201203_001.pdf
3)B Tidderman, DM Burt, D Perrett. Prototyping and Transforming Facial Textures for Perception Research. IEEE Comput. Graphics Apple. 2001 ; 21 : 42-50.
4)長崎芙美, 村上泉子. 見た目年齢判断に影響する要因-30代と40代女性の素顔での検討-. 日本化粧品技術者会誌. 2016 ; 50 : 17-24.
5)大慈弥裕之. 容貌老化のメカニズム. 日本抗加齢医学会. 2014 ; 10 : 877-884.
6)T V Arx, MJ Nakashima, S Lozanoff. The Face - A Musculoskeletal Perspective. A literature review. Swiss Dent J. 2018 ; 128 : 678-688.
7)AJ McComas. Oro-facial muscles: internal structure, function and ageing. Gerodontology. 1998 ; 15 : 3-14.
8)H Nishimura, I Okuda, N Kunizawa, et al. Analysis of morphological changes after facial massage by a novel approach using three-dimensional computed tomography. Skin Res Technol. 2017 ; 23 : 369-375.
9)西銘亮, 唐井直子, 榊原桜. 表情筋ローラーの及ぼす効果. 名古屋文化短期大学研究紀要. 2018 ; 13-19.
10)金子剛, 宮田晃史, 児玉朗. 化粧品美容液とフェイシャルマッサージを併用した際の,顔のたるみとほうれい線に対する効果. 診療と新薬. 2019 ; 56 : 763-768.
11)増田裕次. 口から食べるということと脳 1.咀嚼運動のメカニズム. 日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学. 2016 ; 36 : 231-234.
12)SW Herring, AF Grimm, BR Grimm. Functional heterogeneity in a multipinnate muscle. Am J Anat 1979 ; 154 : 563-576
13)服部佳功.三次元咬合力に基づく咬筋の機能的分化に関する研究.東北大歯誌 1991;10:1-11.

(※)投稿論文 ガム咀嚼によるフェイスラインへの影響-オープンランダム化並行群間比較試験-,アンチエイジング医学一日本抗加齡医学会誌、V01.19N03 052-053(250-251)

<Edit:編集部>

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