脳疲労を回復させる方法は「睡眠」にあり!専門家が教える“脳の疲れをとる方法”(後編) (1/2)
前編では、入眠から2時間の睡眠の質を高めることで効率よく疲労回復できる「濃縮睡眠」というメソッドを教えてもらいました。後編では、「濃縮睡眠」でとくに大切な脳疲労解消にフォーカス。
脳疲労が溜まっていると睡眠の質は低下し、睡眠の質が悪いと脳疲労が溜まりやすくなる。この負のスパイラル、どのようにして抜け出すとよいのでしょうか。引き続き、睡眠セラピストの松本美栄さんに伺います。
前編:効率よく疲労回復できる眠り方「濃縮睡眠」とは。“理想の睡眠時間”に惑わされない!(前編)
──最近よく聞く「脳疲労」。どんな状態を指すのでしょうか? また、脳疲労が溜まるとどんな症状が現れてくるのでしょうか。
脳疲労とは、活性酸素によって脳が酸化し、それによって脳の機能が低下している状態を指します。
脳疲労が溜まると、認知機能が低下します。そうなると物事に対する意欲が出なくなります。うつ病や認知症などにも見られる症状ですね。好きなことは何とかできるけれど、そのほかに対するやる気が出なくなる。あとは、記憶力や集中力、判断力の低下も見られます。
コミュニケーション能力も低下します。人とのトラブルが出やすくなったり、言葉の受け止め方が敏感になったり、思考がネガティブになりやすいです。逆に、イライラしたりカッとなりやすいパターンもあります。
体の症状としては、倦怠感が出やすくなります。
食の変化も起きますね。食べ過ぎ、飲み過ぎなどです。食べ物のチョイスも変わってきますよ。刺激物、脂っこいもの、辛いもの、しょっぱいもの、高カロリーなものなどが食べたくなります。
──現代人は脳疲労が溜まりやすいと聞きますが、どんなことが脳疲労の原因につながるのでしょうか。
やはり睡眠不足が挙げられます。寝ないと脳は回復しないので、脳疲労が溜まります。それからストレスですね。活性酸素が溜まると脳も酸化します。
栄養不足もよくありません。脳の機能が低下してしまい、活性酸素が発生しやすくなります。添加物の多いもの(加工食品やお菓子、高カロリーなもの、インスタント食品を多く摂取し続けると栄養不足に陥り、脳疲労が溜まりやすくなります。
あとは運動不足です。血流が悪くなります。
冷え、肩こり、長時間のスマホやデスクワークなどによる姿勢の崩れも血流悪化や眼精疲労を招き、脳に十分な血液が届かなくなって脳疲労につながります。
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まだまだある! 脳疲労の原因
情報過多も原因のひとつですね。テレビやネットなどを見続けて脳がパンクしてしまう。
現代社会は脳疲労の原因だらけです。なにもしないと溜まっていく一方だと思ってください。
──脳疲労があまり溜まっていない人はいるのでしょうか?
はい、いると思います。意識してケアをしている人です。
私のクライアントさんを例に出すと、経営者や優秀なビジネスマンの方は睡眠を大切にしており、健康への意識が高い傾向にあります。そういうことが仕事の生産性につながると意識していて、マインド面も勉強しています。きちんとケアを行っている人は、脳疲労が溜まりにくいと言えるでしょう。
あとは、自然をとり入れる生活や、自然豊かな環境に身を置いている人などでしょうか。
こんな症状があれば脳疲労状態かも! 脳が疲れているサイン
脳が疲れているサインとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 刺激物や甘いものが無性に食べたくなったとき
- 暴飲暴食してしまうとき
- アルコールの量が増えたとき
- 忘れ物やケアレスミスが増えた、続くとき
- いらいらしやすいとき
- やる気がでないとき
- 集中力が続かないとき
- もの忘れしやすいとき(記憶力が低下)
- 考えがまとまりにくいとき
- 趣味をやらなくなったとき
──脳疲労が溜まっていても、睡眠で取り除けますか?
はい、取り除けます。脳疲労が溜まる原因のひとつが睡眠不足なので、質の良い睡眠を継続してとることで脳疲労も解消できると思います。