ウェルネスフード
2024年2月14日

チョコレートのカフェインがもたらす効果とは。脂肪燃焼、疲労回復…取り過ぎのデメリットも

甘いチョコレートにカフェインが含まれていること、皆さんはご存じでしょうか? いきなりですが、カフェインについてのクイズです。全部で4つ。Yes か No でお答えください。

  • クイズ1:カフェインにはダイエット効果が期待できる?
  • クイズ2:板チョコ1枚が含むカフェインの量はコーヒー1杯のカフェインの量と同じ?
  • クイズ3:カフェインの取り過ぎは不安感を増大させる?
  • クイズ4:カフェインには疲労感を取り除く働きがある?

順番に答え合わせをしながら、チョコレートとカフェインについて考えていきましょう。

1.カフェインとダイエット効果について

カフェインはコーヒー豆、紅茶や緑茶、マテ茶などの茶葉、カカオ豆、ガラナなどに含まれる天然食品成分のひとつです。市販品ではエナジードリンクや栄養ドリンク、かぜ薬、鎮痛剤などの薬にも含まれます。

カフェインには中枢神経に刺激を与え、交感神経を優位な状態にさせる働きがあります。それにより覚醒作用や血管収縮作用・利尿作用・脂肪燃焼作用が働き、適量を摂取することで次のような効果が期待できます。

  • 疲労感の緩和
  • 眠気の防止
  • 集中力が高まる
  • 頭痛の軽減
  • むくみの予防
  • ダイエット(脂肪燃焼)

ここでクイズ1の答え合わせです。

「ダイエット効果は期待できる?」これは、Yesです。

カフェインによる脂肪燃焼サポート

先述の通り、カフェインは交感神経を刺激します。交感神経は、脂肪分解に必要な脂肪分解酵素リパーゼを活性化させる働きがあり、脂肪燃焼効果を促進させます。

この脂肪燃焼の効果をより高めるために、カフェインを摂取した上で運動をするトレーニーもいます。

関連記事:カフェインは筋トレやダイエット効果を高めるのか。1日の摂取量と中毒症状を防ぐ飲み方、コーヒー豆知識[管理栄養士監修]

カフェイン中毒気味な編集部のコメント
「興奮作用があるカフェインは、かつてドーピングの対象になったことがあります。2004年以降、世界アンチドーピング機構による禁止薬物リストから外されていますが、今も監視プログラムに指定されているとのことです(上記の記事参照)」

カフェイン摂取のタイミングは運動直前?

では、運動をするどのくらい前に、カフェインを取れば良いでしょうか。

答えは30~90分前です。

かなり時間の幅がありますが、これはカフェインの摂取から効果が実感できるまでに個人差が大きいためです。

ちなみに、脳を覚醒させるまでの所要時間は15~30分と言われています。

関連記事:運動前にカフェインを飲むと、脂肪燃焼が高まるってホント?

また、カカオには「テオブロミン」という成分が含まれています。テオブロミンにはリラックス効果のほか脂肪の蓄積を抑える作用があるとされています。

カカオはテオブロミンを含む数少ない食品で、とくに高カカオに多く含まれています。テオブロミンを摂りたいときは、高カカオチョコレートや高カカオのココアなどは手軽です。

カカオに含まれるカフェインとテオブロミン。この2つがダイエットの効果を高めます。

なお、テオブロミンは人間には有益な成分ですが、犬や猫などのペットには中毒を起こすものです。チョコレートは絶対に与えないでください。

2.チョコレートとカフェインの関係

カフェインというと、どうしてもコーヒーやお茶を連想しがちです。しかし、カカオ豆にも含まれています。従って、カカオ豆を含むチョコレートにもカフェインは含まれています。

では、ここで質問2です。「板チョコ1枚が含むカフェインの量は、コーヒー1杯のカフェイン量と同じか」。

答えはNoです。

コーヒー1杯(150ml)あたりのカフェイン量は約90mgです。これに対して、板チョコ(50g)1枚あたりは約14mg。カカオマス70%以上の高カカオチョコレート(50g)でも42~60mgです(※1)。

ちなみに、他の飲み物とも比べてみました。

カフェイン量が多い飲み物一覧

  • エナジードリンク1本約36~150mg
  • コーヒー(150ml)約90mg
  • 紅茶(150ml) 約45mg
  • コーラ(1缶355ml) 約45mg
  • 煎茶(150ml) 約40mg
  • 高カカオチョコレート(50g) 約42~60mg
  • 板チョコ(50g) 約14mg

このように見てみると、カフェインとチョコレートの関係性を考える場合、高カカオかどうかが重要なポイントとなります。

通常の板チョコの場合、チョコレートと相性のいい飲み物、たとえばコーヒーや紅茶を一緒に飲むこと、これがカフェインの摂取量に影響を与えると考えたほうが良いかもしれません。

3.カフェインの取り過ぎにおける心身への影響

ここまでカフェインの効果について、疲労感の緩和や眠気の抑制、そしてダイエットにも効果があることを見てきました。

ただ、物事は「過ぎたるは及ばざるがごとし」とも言います。過剰に摂取してしまうと、かえって逆効果ともなります。

ここで、クイズ3の答え合わせです。「カフェインの取り過ぎは不安感を増大させる?」の答えはYesです。

カフェインを過剰摂取すると、中枢神経系を過度に刺激し、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠、下痢、吐き気などの健康被害をもたらすことがあります(※2)。

カフェインは1日にどのくらい摂っていい?

カフェインの摂取許容量については、個人差が大きいことから、日本においても国際的にも明確に設定はしていません。

ただ、カナダ保健省によると、成人の1日における最大カフェインを400mgまでと定め、マグカップ3杯以内を目安としています。

カフェインの影響を受けやすい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性はマグカップ2杯まで。自律神経が乱れやすい人も、摂取量を控えたほうが良いとしています。

カフェイン中毒気味な編集部のコメント
「朝に紅茶1杯、出勤時にコーヒー2杯は必ず飲んでいます。場合によっては午後の早い時間にもう1~2杯ほど紅茶を飲みます。中途覚醒が常態化していましたが、午後の紅茶をやめると寝つきがよくなり、朝もノンカフェインの飲み物にすると中途覚醒も起きにくくなったと感じています。(自分の場合は)睡眠ドリンクやサプリメント、運動より、カフェインの量とタイミングを調整することで睡眠の質によい影響を感じました」

4.カフェインは疲労回復にいい?

では、最後のクイズの答え合わせです。「カフェインには疲労感を取り除く効果がある?」答えはNoです。

あれ、と思う方の多いのではないでしょうか。疲れたときコーヒーを飲んだり甘い物(チョコレートなど)を食べたりする人も多いでしょう。この場合、疲労回復ではなく、カフェインの持つ覚醒作用により集中力が高まり、疲労感を感じにくくさせているにすぎません。

本当に休息が必要なときは、カフェインではなく適切な栄養補給や休息が必要になります。

カフェインの健康被害を予防するには

カフェインはコーヒー以外の食品、煎茶や紅茶などにも含まれています。そして、お茶うけとしてチョコレートも一緒に食べてしまうと、総量では多量となるケースも想定しておく必要があります。

厚生労働省はホームページで、以下の3点を注意喚起しています。

  • カフェインを含む薬との併用(薬の添付文書を読むこと)
  • アルコールとの併用(アルコールの過剰飲酒にもつながる)
  • エナジードリンクを何本も飲むこと

カフェイン中毒気味な編集部のコメント
「かぜ薬にもカフェインが入っていることがあり、風邪のときに困ったことがあります。夜に飲むことを考えてカフェインが入っていない薬も常備薬に加えました」

カフェインは「自分に合う適量」を摂取する

カフェインは、適度に摂取する分には効果が得られます。

しかし、過剰に摂取するとかえってマイナスの効果となること。また、疲労回復と言っても、実際には疲労を取り除くのではなく「感じにくくさせている」ということ。

この2点の理解は大事なポイントです。

※1 国民生活センター『高カカオをうたったチョコレート(結果報告)
※2 厚生労働省『食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~

著者プロフィール

佐藤城人(さとうしろと)


心理カウンセラー・心理セラピスト・気功師範。過去にアルコール依存症を患った経験があり、それを克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出会う。各種依存症やインナーチャイルドを抱える方、さらには摂食障害の悩みなど、これまで10年間で約5000名様の悩みをサポート。摂食障害の回復プログラムの中で「正しさよりも心地良いダイエット法」を提唱する。2019(令和元)年一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会を設立。現在はカウンセラー・セラピストの養成にも力を入れている。
https://www.in-ct.org/

<Edit:編集部>