インタビュー
2018年2月14日

「バク転の練習を続ければ、人生観が変わりますよ!」池谷幸雄が語る体操の魅力(後編) (2/2)

成人だと「昔体操をやっていて、感覚を取り戻したい」とか、ダンス、チアリーディングや演劇、パフォーマンスなどのお仕事で、必要にかられて習いに来る方もいます。でも一番多いのは、やはり「ずっと昔から憧れていたけど、チャレンジできなかった」方たちです。専門の器具も必要ですし、ちゃんとした知識がないと安全の確保も難しいため、バク転を教えてもらえる環境自体が少ないんですよ。

――運動な苦手な人でも通えるのでしょうか。

もちろん! ぜひ来てください。基本的な準備体操からバク転の練習まで、それぞれの能力に合わせて丁寧に指導していますので。実際、全然運動をしたことのない方や、50~60代の方も通われていますよ。そもそも、後ろに回転するという動きは人間の自然な動作にはありませんから、運動が得意な人でも感覚を掴むのは大変なんです。子どもたちに混じってやるのは恥ずかしいとか、最初の柔軟でつまずくのではとか、そういうことを一切気にせず、とにかくチャレンジしてみてください。

バク転の練習が心身によい影響を与える。これがバク転の魅力

――運動がまったくできない大人が、バク転ができるようになるには、どれくらいかかるのでしょうか?

1年くらいです。といっても、土日の2日間ここに通うだけでは無理ですよ(笑)。早寝早起き、バランスの良い食事、体重の管理、など普段の生活を整えることからはじまり、平日は柔軟と筋トレに加えて、器具ナシでできる基礎練習をしっかりこなす。これを休みなく毎日やれば、1年後にはバク転らしきことができるようになります。バク転は簡単なことではありません。でも、頑張ればできるようになることなんです。

――では最後に、バク転を志す全ての大人たちにメッセージをお願いします。

バク転ができるかどうかは、実はあまり重要ではないんです。バク転の練習をすることによって、生活が変わり、体が変わり、気持ちが変わる。バク転という目標に向かって努力することが生活のすべてに影響して、プラスαの“良いこと”がたくさんついてくる。そこがバク転の魅力であり、なにかを目指すことの“意味”ではないかと思います。体力がないとか柔軟性がないとか、そんな理由で躊躇する必要はありません。少しでも憧れがあるのなら、ぜひ、体験してみてください。きっと、人生観が変わりますよ!

[プロフィール]
池谷幸雄(いけたに・ゆきお)
1970年生まれ。4歳の頃より体操をはじめ、学生時代に才能が開花。その後、ソウルオリンピックで団体・個人種目別床運動で銅メダル獲得。バルセロナオリンピックでは団体で銅メダル、個人種目別床運動で銀メダルを獲得。引退後は、スポーツキャスターとしてTVに多数出演するほか、ラジオ・雑誌・CM・舞台・映画など幅広く活躍。現在『池谷幸雄体操倶楽部』を設立し、後進の指導にあたっている。
【『池谷幸雄体操倶楽部』公式サイト】http://www.iketaniyukio.com/
【公式ブログ】http://www.diamondblog.jp/official/yukio_iketani/

<Text:長谷川京子(H14)/Photo:岩渕正樹>

1 2