ライフスタイル
2024年8月7日

甲子園球児も「日焼け止め」を塗るべきか。疲労軽減に明確なメリットがあった (2/2)

  • 紫外線防御ありの群

資生堂が開発した日焼け止め製剤(SPF50+、PA++++、スーパーウォータープルーフ)を肌に塗布

  • 紫外線防御なしの群

日焼け止めから紫外線吸収剤・散乱剤を抜去した、日焼け止め効果のない基剤を塗布

外でシャトルランをさせた結果

屋外にてシャトルラン形式の運動(60分間で4セット実施)を行い、血中疲労関連因子の一つである血中乳酸値※1の濃度や主観的な運動強度、筋肉痛の感じ方などを調べました。

※1 乳酸は、糖質が解糖系(嫌気的代謝)で代謝・分解されてできる生成物で、筋肉でエネルギーを作るとき、糖(グリコーゲン)が分解されて生成されます。運動時には、生成された乳酸がエネルギー源として再利用されますが、激しい運動をした後に蓄積することが知られており、血中乳酸値を調べることで、運動による疲労の程度を推察することができます。

日焼けするほど運動後に大きな疲労感を感じた

その結果、本実験において、日焼けの度合いを示す肌の赤みが強いほど、運動後に大きな疲労感を感じること(図4)や、紫外線防御無しの群は、紫外線防御あり(日焼け止め塗布)の群と比べて、疲労を感じやすい傾向にあることが分かりました(図2)。

さらに血中乳酸値は、紫外線防御無しの群において、運動直後に有意に上昇しました(図5)。

また、運動後の肌の赤みの変化量が、運動時の血中乳酸値の変化量や酸化ストレスの変化量と比例することも確認しており、以上の結果から、日焼け止めを用いて紫外線から肌を守ることで、運動時の疲労感を軽減できることが推察されました。

日焼け止めを塗ったほうがリカバリーも早い傾向

主観的な運動強度(きつさ)は、運動後半(Set3からSet4にかけて)において、紫外線防御あり(日焼け止め使用)の群の方が紫外線防御なしの群に比べて低値を示し、運動後半になってもきつさを感じにくい傾向にあることが分かりました(図6)。

主観的な筋肉痛は、紫外線防御無しの群でのみ、24時間後に有意な増加を示すことから、紫外線から防御することで、運動後の全身筋肉痛を抑えることができることが示唆されました(図3)。

また、運動の6時間後、24時間後の疲労感も、紫外線防御有り(日焼け止め使用)の群の方が低くなる傾向がみられました(図2)。

これらの結果から、紫外線から防御することで、運動中のパフォーマンスや運動後のリカバリーに良い影響があることが示唆されました。

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本研究は、獨協医科大学基本医学基盤教育部門 講師/早稲田大学スポーツ科学研究センター 招聘研究員 枝伸彦先生との共同研究によるものです。

本研究の成果の一部は、2020年9月24日~26日にWEB開催した第75回日本体力医学会大会にて発表しました。

<Edit:編集部>

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